建築家 隈研吾さんへのインタビュー

一番使う時は、出張先で乗り物に乗っている時です。空港から街へ移動する一時間の間に、いくつもの案件をこなせるようになりました。

—— まず、iPadはどのようなきっかけでお持ちになったのですか?
僕は海外出張が多いんです。その行く先々で、所員が作成した図面などを、ほぼ毎日チェックしなければならないんですが、その際に使っていたのがケータイ電話だったんですね。ケータイのメールにデータを送ってもらって、それをあの小さな画面で見ていた。拡大したりしてね。でも、そうやって拡大すると部分しか見れない。全体が見れないんですよ。部分だけを見ていっても全体に到達しないですよね。建築では特に全体のバランスを把握しないといけないですから。そういったところにフラストレーションが溜まってたんです。
—— iPadとMUJI NOTEBOOKを購入してから、仕事はどのように変化しましたか?
以前は、ケータイのメールを確認してから、電話をかけて口頭で指示をしていました。あ、僕はキーボードが苦手だからパソコンは使わないんですよ。だから電話のみ。MUJIノートを使うようになってからは、図面を受け取ってから「いいよ」「ダメだ」だけじゃなくて、「こうしよう」といったふうに、具体的な指示をその図面に書き込んで送り返せるようになった。そのことが大きいですね。ケータイのメールには、線を書き入れたりできませんから。
—— パソコンが苦手な隈さんにとっても、MUJI NOTEBOOKなら使いやすいということですか?
そうですね。こんな僕でも使えるところが画期的だと思います。実は、pdfに指示を入れられる、別のアプリも持っていたんだけど、ちょっと高機能すぎだった。僕にとって必要のない機能もあったので。MUJIノートのほうが、操作が簡単だし、十分ですよ。
—— MUJI NOTEBOOKを使用するシーンについて教えてください。
一番使う時は、出張先で乗り物に乗っている時です。空港から街へ移動する一時間の間に、いくつもの案件をこなせるようになりました。街に着いたら、そこではもう人が待っているから、その人と仕事の話になってしまう。だから車や電車での移動時間を有効に活用できるようになったことは助かります。
—— では、そのような時間に書かれたスケッチなどを見せてもらえませんか?
某所で計画中の別荘のプロジェクト。
屋根の形状をどうするか、モデリングしたものを送ってきたのに対して、勾配がキツすぎる、こんなふうにならないの?という指示を書き込んでます。
中国・杭州の、中国美術学院美術館のプロジェクト。 真上から見たスケッチです。
(左)中国のインテリアの仕事。
六角形のハニカム構造だけど、一部、ソリッドな状態にしてもいいよという指示。

(中)ロンドンの、とある庭のデザイン。そこの垣根のスケッチです。

(右)イタリアのサンペリグリーノのプロジェクト。
そこのファサードでは、高さが違うものを、全部同じ縦の線で統合するっていうアイデアを書き留めたもの。

—— MUJI NOTEBOOKの書き心地はいかがでしょうか。
とても滑らかですよね。何にも問題ないです。ただ、送られてきた原稿に赤字を入れたりする際に、小さな字が書きにくいなあとは思います。図面をチェックする以外に、原稿の仕事もあるので。
—— 拡大鏡というツールがございますが…(拡大鏡ボタンのありかを隈さんに説明)
へえ…わあ…素晴らしい。これは便利ですね。さっきも言ったように、今までは電話で指示を伝えてたんですよ。たとえば「四段目の、三行目にある「の」を「で」にしてよ」とか(笑)。キーボードで打って修正を入れるのが嫌だから。僕は、原稿も基本的には画像として処理してるわけ。だからこのアプリのように、直感的に書き込めるのはいいですよね。
—— これまでお話してきた以外の使い方をしているものがあれば教えてください。
プレゼンテーションの時などに、用意してあるものとは別のものに話が及ぶ時があるんです。「あの時設計したホテルのあの部分が…」みたいな。そういった際に、過去の作品を画像で紹介できるのがいいですね。画像としてストックしておけるので。わざわざカタログをたくさん持っていかなくて済むし、荷物が減るので助かってます。
隈 研吾 建築家 | 1954年横浜生まれ。1979年東京大学建築学科大学院修了。コロンビア大学客員研究員を経て、「隈研吾建築都市設計事務所」主宰。2009年より東京大学教授。1997年「森舞台/登米町伝統芸能伝承館」日本建築学会賞受賞、同年「水/ガラス」アメリカ建築家協会ベネディクタス賞受賞。2002年「那珂川町馬頭広重美術館」スピリット・オブ・ネイチャー国際木の建築賞受賞。近作に根津美術館。著書に「負ける建築」(岩波書店)等。

隈研吾(建築家)

MUJI NOTEBOOK
価格:450円

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