眠りは、はじまり。

くらしのすべては眠りにつながる。

日本人の5人にひとりは自分の睡眠の質や量に
何らかの問題があると思っている、
という統計結果があるそうです。

たしかに、睡眠時間が長くても、短くても、
現代人はみんなどこかに後ろめたさを感じているようにも見えます。

一方で、生きるために必要な生理現象とあって、
真面目に考えるあまりに眠れなくなってしまっている人もちらほら。

では、そんな私たちがぐっすり眠るためにはどうすればよいのでしょう。

次ページのインタビューでお話を伺ったNPO睡眠文化研究会の
鍛治恵さんは、日中の過ごし方次第で「眠りはつくれる」といいます。

そして「眠りを考えることは、生き方を考えること」だとも。

ここでは、まだまだ知らない眠りの秘密を知り、すこし安心し、
おおいに楽しみながら自分だけの「いい眠り」のつくり方を探っていただきたいと思います。

あなたの眠りをつくろう。

起きた瞬間、今日の眠りは決まります。

光を浴びると体内時計がリセットされ、新しい一日をカウントしはじめます。朝、動き出した体内時計は、起きてから約16時間後に「そろそろ寝る時間ですよ」と呼びかけてきます。

  • 熱めのシャワーで目覚める

    何とかベッドから出たけれど、なかなか眠気が覚めない。そんな時は熱いシャワーを浴びて体をあたためるのがおすすめです。大きな血管が集まる首の側面や、後ろにシャワーをあてると、あたたまった血液がすぐに体をめぐり、ばっちりと体が目覚めます。

  • 寝坊は、土曜日だけ

    週末の「寝だめ」は、寝不足を解消してくれそうですが、体内時計を狂わせる原因に。月曜日にすっきり起きるためには、寝坊は土曜日だけに。そして、週末と平日の起床時刻の差は、「2時間位」までにするのが理想です。例えば平日7時に起きているなら9時前後までにはベッドを出ましょう。

  • 香りと上手くつきあう

    香りを味方にすることは、眠りへの近道。朝と夜で香りを変えて、気分を入れ替えてみませんか。朝の目覚めには、グレープフルーツやティートリーのさわやかな香り、眠る時にはベルガモットやスウィートオレンジ、ラベンダーなどの落ち着いた香りがおすすめです。

  • いつもの曲で

    音とリラックスには、深いつながりがあります。起きるときは、テンポのよい曲を。眠る前には、歌詞のない曲がよいといわれていますが、慣れ親しんでいる演目なら「落語」でも問題ありません。静かに流せば、スムーズに眠りにつけます。

生活すべてが眠りにつながります。

昼間の時間をどんな風に過ごすかで、今晩の眠りは決まります。その仕組みは食欲と同じ。昼間のうちに脳や体をしっかり動かして「眠りのお腹」をすかせておけば、夜には自然と眠りに落ちることができます。

  • 朝の楽しみをつくる

    朝、どう目覚めるかは、よりよい眠りと深くつながっています。ぱっと起きて、すぐに活動を開始することは、上質な眠りの第一歩。おいしい朝ごはんを用意しておけば、朝、ベッドから出るのが楽しみになります。

  • 夕方には軽い運動を

    一日のうちで体温が一番高くなる時間に運動をして体温を上げておくのも、夜、寝付きをよくするコツ。デスクワークの方は、いすに座ったままで手足をのばすだけでも効果的です。帰り路は自転車で少し遠回りしてみるのはどうでしょう。

  • 分食のすすめ

    夕食は就寝の3時間前にとっておくのが理想ですが、仕事などでむずかしいという方には「分食」がおすすめです。本来とりたい時間帯に一食目を軽くとり、体に「夕食だ」という合図を。二食目は帰宅後にまた少し、消化によいものを。

  • 昼寝は15分

    目覚めの直後は、頭が一番すっきりしている状態。午後の眠気は人間が本来もっている生理的なリズムによるもの。コツは、ベッドには横にならずに、いすで15分。どうぞ、アラームをお忘れなく。

眠れる体をつくりましょう。

眠りは、深部体温が下がった時にやってきます。それには、一度体を温めてから体温を下げるのが近道。ぬるめのお風呂につかれば、ぽかぽかと温まった体からだんだんと体温が下がり、自然にここちよい眠気がやってきます。

  • 「むずかしい本」を用意する

    なかなか寝つけないときにおすすめなのが、むずかしい本を読むこと。読み進めているうちに不思議と眠気がやってきます。異界に旅ができる海外の写真集、読み慣れた小説もおすすめ。手や腕が疲れる「重たい本」や、仕事関係の本は避けましょう。

  • 頭をからっぽにする

    できれば、頭の中から余計な心配事は追い出してから眠りたいものです。今日あったいいこと、明日の予定や楽しみなど一日の終わりに記録をつけて、気持ちよく眠りに集中しましょう。

  • だんだん暗くする

    眠る前に光が目に入ると、体内時計が影響を受けて寝つきが悪くなってしまいます。ですから、夕食を食べ終えたら一つ電気をオフに、片付けを終えたらもうひとつオフに。直接目に入る光をオフに、照明器具だけでなく、PC・スマホなどのディスプレイも眠らせ、眠りに備えましょう。

  • じんわりあたためる

    古くから世界で「眠りのお供」として親しまれているハーブティ。中でもカモミールやラベンダーは、リラックスを誘うといわれている香りで、鼻と口から湯気をゆっくり体に入れると、自然とゆったりした気分になります。

気持ちよく眠るための工夫。

落語や漫画で思い切り笑ってから眠りにつく。音楽を聞いて、だんだんリラックスしてそのまま夢の中へ。メガネをはずす、家族と話す、日記をつける、むずかしい本を読む…「なんとなく、これをすると眠れる」という入眠のきっかけは、人それぞれです。

  • 足と首をあたためる

    厚手のくつしたを履けば、布団の中でもあたたく過ごせます。コツは、足の血流を妨げないようゴムのゆるいものを選ぶこと。放熱は裸足の方がスムーズなので眠る前には脱ぐようにします。また、やわらかい布を首まわりにまくと布団と体のすきまが埋まり、あたたかく眠れます。

  • いい空気と眠る

    いい眠りのためには、寝室の温度・湿度にも目を配りましょう。エアコンは秋冬なら18~23度くらいの少し低めの温度に設定し、加湿器の電源をオン。サーキュレーターで空気を循環させれば体に直接風が当たらず、ベッドの中との温度差も少ない、ほどよい空気環境が保てます。

  • やっぱりパジャマ

    パジャマは眠りのことだけを考えてつくられた、いわばユニフォーム。肌触りや吸湿性、かたち、すべてが快適に眠るために計算されています。着替えれば気持ちが切り替わって眠りのスイッチはオンになり、寝付きやすく。お腹をしめつけるジャージも、Tシャツも、今日で卒業です。

  • トイレの電気はつけない

    夜、目覚めて部屋の明かりをつけると、目が冴えてしまい、その後は寝付けなくなってしまうことも。トイレに起きる時には、足下をやさしく照らす明かりがあれば十分です。「持ち運べる明かり」を使えば、室内灯の強い光を浴びることなく用事を済ませることができます。

さあ、ベッドも衣替えしよう。

室温・体温・湿気をうまく調整することが、快適な眠りのコツです。
寝具は眠っている間中、環境を整えてくれる大切な味方。
素材、手触り、弾力など、季節に合わせたものを選んで眠りをもっと楽しみましょう。

    • 【まくら】

      やわらかい羽根素材ですっきり目覚める。

    • 【掛ふとん】

      梅雨時期までは、持っておきたい羽毛ふとん。

    • 【カバー・シーツ】

      麻や綿に衣替え。

    寝具も、重ね着で調整 ─ 生き物たちが冬眠からさめて、活発に活動をしはじめる季節です。暦の上では春といってもまだまだ冷える日もある不安定な時期。カバー・シーツは麻や綿といった春夏使用に衣替えしても、一枚薄手の羽毛ふとんがあると安心して眠れます。

    • 【まくら】

      そば殻など、頭の熱を逃がしてくれるものを。

    • 【掛ふとん】

      なにもかけないのは×。タオルケットなど汗をよく吸って、放出するものを。

    • 【カバー・シーツ】

      マットレスで眠るなら、麻などの素材を使ってみても。

    家で一番涼しい場所を探す ─ 寝苦しい日にはイ草ユニット畳とともに、ベッドを飛び出し、敷ふとんでひんやりとした場所で寝てみるのもいいでしょう。そのかわり、体に掛けるケットには湿気を上手に取りのぞくしっかりとした素材を。タオル地やガーゼ地など、凹凸の多い織り方を選びましょう。

    • 【まくら】

      ゆっくりと沈み込むやわらかな感触の低反発ウレタン枕。

    • 【掛ふとん】

      春と同じく、軽くてあたたかい羽毛ふとんを、一枚。

    • 【カバー・シーツ】

      綿には天然の吸湿機能がそなわっています。

    秋服の気持ちよさを寝具にも─少し肌寒くなってきた秋には、ふれるだけでもふんわりとあたたかいフランネルがおすすめです。秋の夜長には、ゆっくりと沈み込むやわらかな感触の低反発のキルトまくらを。

    • 【まくら】

      空気を含み頭をつつみこむダウン混がおすすめ。

    • 【掛ふとん】

      あたたかい空気の層をつくれる、羽毛がたくさん入った二層式の掛ふとんを。

    • 【毛布】

      空気をたっぷり含んだ鹿の子毛布。

    空気の層を味方に ─ 寒い日には毛布やふとんを重ね掛けして空気の層をつくりましょう。その上で、目を配りたいのはカバー・シーツの素材や毛布の厚みです。たっぷりとした毛足が空気を含み、一晩中あたたかい寝床を保つことができます。