

Found MUJIキルギスでは、昔ながらの遊牧民の知恵を見つめなおし、
1点ずつ手づくりされる羊毛フエルトの商品と、キルギスのくらしをご紹介します。
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無印良品では、地域の特産物であるフェルトづくりを産業として軌道に乗せ地域活性化につなげることを目指し、生産管理体制づくりや品質管理体制づくり等の支援をJICAとともに行ってきました。
2010年末より始まった、MUJIとキルギスの地域活性化事業は、共にものづくりと向き合いながら、今年で10周年を迎えます。
中央アジアに位置するキルギス共和国は、いくつもの国と国境を接する内陸国であり、ロシア文化の影響も色濃い多民族国家です。国土全体の約40%が標高3000mを超えますが、砂漠は無く気候に恵まれ、美しい自然が豊富なことから中央アジアのアルプスとも呼ばれます。
シルクロードの道中であったとも言われるイシククリ湖周辺に点在する村々には、古来からの遊牧や羊毛フェルトの生産で生計を立てる人々がくらします。
Found MUJI キルギスでは、昔ながらの遊牧民の知恵を見つめなおし、一点ずつ手作りされる羊毛フェルトの商品をご紹介します。
シルクロードの道中であったとも言われるイシククリ湖周辺に点在する村々には、古来からの遊牧や羊毛フェルトの生産で生計を立てる人々がくらします。
Found MUJI キルギスでは、昔ながらの遊牧民の知恵を見つめなおし、一点ずつ手作りされる羊毛フェルトの商品をご紹介します。
羊毛フェルトつくりの作業をする職人のほとんどが地域の女性達です。フェルトは小もの入れだけでなく、クッションや敷ものなどの日用品をはじめ、帽子やスリッパなどの身に纏うもの、遊牧民の移動式住居「ユルタ」にも使われます。原毛の色を生かしたものだけではなく、キルギスの植物による植物染めで色付けをした羊毛フェルトも楽しめます。
キルギスでは人を家に招き、料理でもてなすことが美徳とされています。食卓に並ぶ、煌びやかな柄が描かれているこのガラス食器は、どの家庭の食卓にも必ずあり、もてなしの象徴でもあります。客人は、ロシアやウズベキスタンの影響を受けた色とりどりの料理で祝福されます。「ユルタ」のくらしの名残もあり、床に料理を並べて食事をとる昔ながらの方法が、今の家庭でも多く見られます。
無印良品はもともと、ものをつくるというよりは、「探す、見つけ出す」という姿勢で生活を見つめてきました。
永く、すたれることなく生かされてきた日用品を、世界中から探し出し、それを生活や文化、習慣の変化に合わせて少しだけ改良し、適正な価格で再生する。その活動を「Found MUJI(見出されたMUJI)」と名付け、さらに世界の細部にまで入り込みながら深めてきました。
良いものを探す目を磨き、そのもののエッセンスを残しつつ、それらを現代の生活に合わせて仕立て直していく活動です。
Found MUJI公式Instagramを開設しました。今後の取り組み内容はこちらでご覧ください。
フェルト作りには、綺麗な羊毛が必要です。刈られた羊毛はよく洗浄され、小さな不純物まで取り除かれます。羊毛をフェルト化させるには2種類の技法があります。1つ目はニードルテクニック。先端が鋸状の針を何度も羊毛に刺して繊維を絡ませてフェルト化させる方法です。2つ目はウェットテクニック。羊毛に石鹸水を浸し手で揉み込む事で、熱と圧力とアルカリ成分により繊維を縮絨させて形作る方法です。これらの技術を駆使して手作りされた羊毛フェルトの最大の特徴は、無縫製という点であり、繊維同士の絡みだけで丈夫な羊毛フェルトが作られます。細部まで表現できるニードルテクニックは、型を使い精緻な形状を作り上げます。ウェットテクニックは、小物入れ等を作る際に用いられ、特に大きいものを「アラキーズ」と呼び、羊毛を簾で巻き縮絨をし敷物になります。
羊毛
あたたかい時期に刈取られた羊毛は、洗浄乾燥をしたのちに、手作業で小さな不純物まで取り除く。羊は冬までに毛が生えて元通りになる
ニードルテクニック
立体的なフェルトを作る場合は型を使い、ユキヒョウの斑点も正確に表現できる
ウェットテクニック
石鹸とぬるま湯で羊毛の繊維同士を絡ませフェルト化させることでシートや袋形状などを形成する
アラキーズ
数人がかりで羊毛フェルトを簾で巻き、転がしたり蹴ったりして縮絨させて作る。キルギス語でアラは模様、キーズはフェルトシートの意味
ペトログリフは羊毛フェルトのモチーフになっています。キルギスの各地で、岩石に動物の絵が彫られたペトログリフ(岩絵)が発見されています。紀元前2000年頃から紀元7世紀頃までのものとされるペトログリフには、羊、ラクダ、犬、ヤギ、アルガリ、ヤクなどが描かれています。動物に加え、戦士や踊り子などが描かれていることもあり、古代の人々も動物と共に暮らしていた様子がうかがえます。彫られた岩絵のペトログリフや、伝統模様には、人々の願いや想いが込められています。
ヤギ
アルガリ
鳥
走る犬とカラス
犬
世界、無限
植物染めの染料は、身近な植物から作られます。グレーの羊毛に植物染めをすると、味わい深い色を染色できます。また、キルギスにはウスマ(大青)を使った藍染があります。蓼藍に比べ背の低いウスマはアブラナ科の越年草です。古くはその葉液を眉毛に塗る眉墨の風習もありました。キルギスの藍作りでは、日本の伝統的なすくも法、沈殿藍法といった様々な技法をキルギスの風土に合わせて独自に変化させて染色しています。
すくも法
葉をすり潰し丸めて乾燥
水分を与え発酵させる
堆肥状になればすくもの完成
沈殿藍法
水に葉を浸し重しを乗せ陽に当てて発酵させる
葉を取り除き石灰を入れかき混ぜて酸化させる
底に沈殿した藍を取り出し、クリーム状になるまで乾燥させる
藍建て、染色
藍(沈殿藍・すくも)をアルカリ溶液に溶かし染料を還元させ染液にする
染料液中が黄色く還元し、藍の華ができたら染色可能。染色後のウールを牛乳に浸け色落ち防止
軽く簡単な構造でありながら、丈夫で過ごしやすい「ユルタ」は、他国の移動式住居とは異なった作りになっています。
壁となる骨組み(ケレゲ)を組み立てる
扉の枠を取り付け、天窓に繋がる骨組みを組み立てる
布や簾(チー)を巻きつけて補強する
全体を羊毛フェルトで覆う
羊毛の糸で織り上げた紐(ウルムック)を羊毛フェルトに巻き、扉を取り付け全体を装飾する
2枚のフェルトを重ねて模様を切り抜き作られます。一つの行程で二つの模様ができる敷物「シルダック」の作り方です。
チョークで羊毛フェルトに下絵を描く
2枚重ねて切り抜く
色を互い違いに縫い合わせる
2つのシルダックの完成
良き父母となり子を守る
キルギスの食卓で特徴的なものはガラス食器です。煌びやかな柄が描かれているこのグラスは、どの家庭の食卓にも必ずあり、もてなしの象徴でもあります。1年で長く厳しい冬を迎えるキルギスでは、夏期に収穫される果物をジャムにして、冬の間の常備食として備えます。食卓に並んだたくさんのデザートグラスには、アプリコット、ラズベリー、シーバクソンなどのジャムが盛られ、他にも自家製ジュース、バターやはちみつが盛られます。
祭りやお祝い事、親戚や友達の集まりの際、卓上に直に敷き詰められている小さなパンがあります。「ボルソック」と言い、溢れる祝福を表現しています。材料は小麦粉、酵母、水、塩、マーガリン、卵、牛乳です。甘く作りたい場合は砂糖を入れ、生地を練り、5ミリぐらいの厚さで菱形に切り、油で揚げます。素朴で優しい味です。