ゆらぎに寄り添う。養生日和
寝たまま簡単。秋の“重だるい”に効く自律神経ケア

2026/09/22
取材と文・山本加奈 撮影・藤井由依
くでけん・つかさ。せたがや内科・神経内科クリニック 院長。医学博士。「自律神経失調症外来」「気象病・天気病外来」などの患者のニーズに応えた専門外来を立ち上げ、数多くの患者を診察。わかりやすい解説がSNSやメディアで話題となりメディア監修も多数。近著に『自律神経 これ1冊ですべて整える』(東洋経済新報社)『不調がデフォな私たちの背骨リセット』(主婦と生活社)『気象病ハンドブック──低気圧不調が和らぐヒントとセルフケア』(誠文堂新光社)など。
自律神経に負荷がかかる秋の気候
夏から秋へと移り変わる季節の変わり目は、気温差や台風などによる気圧の変化も重なり、自律神経の働きが乱れやすく、心身のコンディションが揺らぎやすい時季。
自律神経は、体温や呼吸、心拍、消化、代謝など、意識しなくても行われている体の働きを調整し、活動時に働く交感神経(=アクセル)と、休息時に働く副交感神経(=ブレーキ)が、状況に応じて切り替わることで、体は環境の変化に対応しています。
その働きは、食事、睡眠、運動といった生活習慣、気温、気圧といった気象条件のほか、仕事や人間関係などあらゆる外部刺激の影響を受け、自律神経の乱れは、疲労感や頭痛、不眠、めまいなど、さまざまな不調を引き起こす可能性が。
「発汗などで体温調整が必要とされる高温多湿の夏から、気温が低下し、秋冬仕様の自律神経へと切り替えなくてはいけない9月〜10月はただでさえ不調が出やすい時季。
そこに台風や秋雨前線による気圧差、朝晩の寒暖差など、環境的な負荷が続くので、しっかりこのタイミングで自律神経をケアしないと、晩秋、冬まで不調を引きずってしまいます」こう話すのは、せたがや内科・神経内科クリニック院長の久手堅司先生。
「スマホやPCの長時間使用、生活リズムの乱れなど現代のライフスタイルは自律神経に負担をかける要素は確かに多いですが、不調の出やすさには個人差があります。
ただ、診察をしていて長時間同じ姿勢になりやすいデスクワークの方は不調が出やすいと感じますね。それくらい、姿勢の影響は大きいです」
ストレートネックは自律神経にダメージ大
自律神経は、脳の中央底部にある「視床下部」から出て、背骨(脊椎)の中を通り、各器官へ巡っているため、姿勢が崩れると、自律神経が圧迫され、その働きにも悪影響が。
「本来、背骨は緩やかなS字カーブを描き、その真上に頭が乗っていることで、4〜6kgもの重さを分散しています。
しかし、デスクワークやスマートフォンの長時間使用により、頭部が前に出た『ストレートネック』の姿勢が続くと、てこの原理により、頭が真上にある状態よりも何倍もの重量が首に集中。
自律神経に大きな負担がかかるだけでなく、首や肩まわりの筋緊張が続くことで、交感神経のスイッチがオンになりっぱなしになってしまいます」
そこで、久手堅先生がすすめるのが「1時間に1回は立ち上がる習慣」。

「立ち上がってモニターから目線を外し、正面を見る。それだけで、姿勢はニュートラルに戻ります」
また、立ち上がるのが難しい場合は「頭が風船になったイメージで、真上に引っ張られているように意識し、こまめに頭を背骨の真上に戻しましょう」
睡眠と目覚めをサポートする、朝晩の呼吸ケア
日中の姿勢改善習慣に加え、取り入れたい「最も簡単なケア方法は朝晩の呼吸法」と久手堅先生。
「呼吸は、自分の意思で自律神経をコントロールできる唯一の方法です。深くゆっくりした『腹式呼吸』は、副交感神経を優位に導き、リラックスモードへの切り替えをサポート。一方で、胸に空気を入れる『胸式呼吸』は、交感神経を優位にし、活動モードへ切り替えたいときに役立ちます。
深く呼吸をすると肋骨や背骨が動くのを感じませんか? 現代人は姿勢不良により胸周りの動きが悪くなっている人が多いので、意識的な深い呼吸で動かすのが大切。
今回は、ベッドに横になったままできる簡単な呼吸法を紹介します。起床前、就寝前に、呼吸法を使い分けて心身のモードを上手に切り替えましょう」
胸式呼吸も腹式呼吸も、まずは鼻から3秒かけて息を吸い、鼻、もしくは口から6秒かけてゆっくり吐くことを意識して、慣れてきたら秒数を伸ばしても◎
夜の呼吸ケア
夜は腹式呼吸を多く行い、副交感神経にスイッチを。仰向けで膝を立て、胸式呼吸を2回くり返したら、腹式呼吸を3回行う。

お腹に手を当て、吸うとお腹がふくらみ、吐くと戻る感覚を味わいましょう。心地良いと感じる範囲で回数は調整してOK。ただし、胸式呼吸より腹式呼吸の回数が多くなるように。
朝の呼吸ケア
朝は胸式呼吸を中心に行い、交感神経にスイッチを。仰向けで膝を立て、腹式呼吸を2回くり返したら、胸式呼吸を4回行う。肋骨に手を当て、広がる感覚を意識して。
また、体が重たくて、朝起きるのがつらい人は、寝たまま手を5秒ほどギュッと握ったり、足に力を入れたりした状態から、パッと力を抜く動作を繰り返してみましょう。

全身の血流が促進され、交感神経モードにスムーズに切り替えられます。起き抜けにめまいやふらつきを感じる人にもおすすめです。
※症状が強い場合や繰り返し起こる場合は、セルフケアだけで済ませず、医療機関に相談しましょう。
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