京都市山科駅地下連絡通路

事例 No.016
時期
2019年10月
エリア
京都府京都市
カテゴリー
業務範囲
コンセプト企画・提案、内装デザイン、造作家具設計、サイン計画、什器・家具納品
  • #国産材活用
  • #地域土着化

現状の地下通路の使われ方を考える

2019年に無印良品京都山科がオープンすることが決まり、それに伴って店舗のファサードから続く山科駅地下連絡通路の空間をリニューアルできないかということで、デザイン提案のご依頼をいただきました。
JR・京阪山科駅と市営地下鉄山科駅をつなぐ地下連絡通路は、地域の方々の日常動線となっていて、中でも朝と夕方は、通勤や通学のために利用される方がとても多い通路です。
多くの方が使う地下通路ですが、現状の様子を視察に伺ったところ、全体的に無機質で薄暗い印象だったり、もっと有効活用ができそうな壁面があったり、というような状態でした。そこで、せっかく日常的にたくさんの方が使う通路なのだから、もっと快適な空間にしていくにはどうしたら良いかを考えていきました。

外よりも快適な気持ちの良い空間をつくりたい

毎日使う通路だからこそ、シンプルで気持ちの良い空間づくりをしていきたいという考えから、「徹底的に気持ちの良い地下通路」をコンセプトとしました。
まず、考えたのは素材です。屋内空間でも自然を感じることのできるように、本物の木材などの天然素材を使用して、木ならではの素材感を、香りや手触りで体感できるように空間デザインを考えていきました。
素材を選んでいく上で、地域共創の空間づくりという観点から、地元の製材所や林業を営んでいる方のもとを訪問してお話しを伺ったり、京都市産の木材を見せていただきながら、内装材としてどのように取り入れていくかを考えていきました。
また、京都の工芸品でもある京焼・清水焼の工房も訪問し、どういったデザインのものを作ることができるか、どのような仕上がりになるかなど、詳しくお話しを伺っていきました。

木の香りや手触り、光から自然を感じる

通路の壁面には、京都産の木材をルーバー状に並べたり、木材の断面を見せて厚みに変化をつけたり、板材をランダムに貼ったりと、同じ木材でも違った表情が出るようにさまざまなパターンでデザインをしていきました。
また、休憩用のベンチには、京都産のみやこ杣木という木目の美しい杉材を使用しました。
角を大きく取り、丸みのあるやわらかい印象のデザインで、すべすべとしていて手触りがよいベンチが出来上がりました。
京都の工芸品の京焼・清水焼は、オリジナルでタイルを製作し壁面に取り入れました。
一つ一つのタイルの色味が少しずつ異なっていて、実寸でタイルのサンプルをいくつも作っていただいて、その都度確認をしながら完成しました。
また、明かりも素材の一つと見立て、トップライトから射し込む太陽光と蒼天を再現した、自然光に限りなく近い照明を入れて、窓がない地下通路でも開放感のある空間を演出しました。
駅の案内やマップなどのサインデザインについても、視認性は高くありつつ空間と調和したようなデザインに変更していきました。

愛着をもって長く使われる地下通路へ

こうして、地元で活躍されている多くの方に協力していただきながら、何度も打合せをしてやりとりを重ねていき、約1年をかけて地下通路のリニューアルプロジェクトが完了しました。
無事に空間が完成して、公開された後に訪問したところ、地下通路の利用者の方たちが「地下通路がすごく変わった!」「木の香りがいいね」と話している様子を拝見することもできました。
また、今回のプロジェクトをきっかけとして、京都府や市の皆様からは、無印良品に対して強い関心を持っていただくようになり、協業していただいた製材所の皆様とは、その後も無印良品の他店舗の造作家具や、資材調達といった面でもご協力していただいていて、地域との継続的なつながりも生まれています。
今後、この地下連絡通路が自然を感じる心地よい空間として、経年変化を楽しみながら、長く愛着を持って利用されていく場所となってほしいと考えています。

ご相談の流れ

  1. ご相談

  2. 現地調査

  3. コンセプトメイク・設計デザイン

  4. 見積もり・ご契約

  5. 施工〜お引き渡し

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