京都橘大学|管理・特別教室棟ラーニングスペース

事例 No.022
時期
2021年9月
エリア
京都府京都市
カテゴリー
学校
業務範囲
コンセプト企画・提案、内装デザイン、造作家具設計、サイン計画、什器・家具納品
  • #国産材活用
  • #地域土着化
  • #ワークショップ
  • #DIY

「永遠に完成しない」をキーコンセプトに

2020年9月、京都橘大学様より、大学構内にある管理・特別教室棟の一部をリノベーションしたいとのご依頼をいただきました。
管理・特別教室棟は、1980年代から使用してきた地上4階建ての建物で、1階には大学のオフィスがありました。
老朽化にともない改修をすることとなり、学生が使用するCAD教室や演習室をリニューアル、1階のオフィスは別棟へ移動し、そこを学生が自由に集えるラーニングスペースに作りかえることとなりました。
今回空間設計部では、1階のラーニングスペースと2階の建築デザイン学科のコモンズのリノベーションを担当しています。
「永遠に完成しない」という考え方をキーコンセプトとして、学生たち自身が「ここをどんな場所にしていきたいか」を考えながら、変えていくことのできる余白を残した「倉庫」のような空間を作っていきました。

学生たちが考える仮設建築

今回、関わる方々を当事者にするということを大切にして、大学の職員や学生のみなさまにもご協力いただいています。
内装デザインがある程度固まってきた段階で、ラーニングスペースに学生たちの活動の道具となる仮設建築を、学生自身の手によって生み出していこうということで、特別授業を実施することができました。
無印良品 京都山科がファシリテーターとして入り、「つづく場・つなぐ場 ~活動から考える仮設建築~」をテーマに、5つのチームに分かれてプランを考えていきました。
チームの中には無印良品の店舗スタッフも加わり、意見交換をしていきました。
授業の中では、毎日この場所を実際に使っている学生ならではの「もっとこうだったら使いやすくなる!」といった仮設建築のアイデアがたくさん出てきました。
最終的に、約4ヶ月の期間をかけて各チームが考えた仮設建築を、それぞれパースや模型を交えながら発表していきました。
すべてのプレゼンテーションが終了後、実際にどのファニチャーをつくるかを決めるための投票が行われました。

自分たちの手で実際に形にしていく

投票の結果、不用品を必要な人に向けて循環させていくことのできる屋台と椅子、空間の使い方に応じて変形する掲示板などを実際に制作していくことに決まりました。
学生たちは、素材の特性や、初めて使う工具についてレクチャーを受け、手を動かしながら制作を進めていきました。
先に作業が終わった班は別の班を手伝うなど、チームを越えて協力し合いながら、丸一日をかけて仮設建築を形にしていきました。
また、リニューアルされる新校舎とラーニングスペースの名前も学生たち自身で考えています。
新校舎は、完成することがなく、時代に合わせて変化し続けるという意味の「未完」、京都橘の名前に由来して柑橘系の「みかん(橘の実)」「未来の館」など、様々な意味を持つ創造と学びの場として「mican」、ラーニングスペースは、この場所に集う人が、自由な挑戦や交流を通して、それぞれに意味を見つけてもらいたいという願いも込めて「UICK」と名付けました。

自由な挑戦や交流のある場へ

こうして、約1年間をかけてリノベーションが完了しました。
1階のラーニングスペースは、全てを新しくするのではなく、それまでの伝統を継承していけるように、元々使われていたタイルや柱の装飾は残しながら、空間をつくっていきました。
歴代の先輩方の残した秀作を展示したり、学生たちで企画展示ができるギャラリースペースも用意しています。
2階のコモンズには、課題をきちんと整えて収納できるスペースや、建築学生ならではのエスキースや模型制作を思いっきりできるような作業デスクを設置し、一部の壁面を鉄板にして、マグネットを使用して壁全面を使いながら課題の発表をすることのできるような仕様としました。
また、集中して作業をすることができるスペースを作りながらも、少し息抜きができるようなソファスペースも設けました。
今回のリニューアルで、ラーニングスペースがオープンな場所となり、全学生が自由に集える空間が生まれました。今後も、学生たちの意見を反映させながら、完成することなく時代と共に変化し続ける学びの場として発展していきます。

ご相談の流れ

  1. ご相談

  2. 現地調査

  3. コンセプトメイク・設計デザイン

  4. 見積もり・ご契約

  5. 施工〜お引き渡し

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