SOMPOケア株式会社 SOMPOケアラヴィーレ駒沢公園

事例 No.028
時期
2019年11月
エリア
東京都世田谷区
カテゴリー
福祉施設
業務範囲
コンセプト企画・提案
  • #内装デザイン
  • #造作家具設計
  • #サイン計画
  • #什器・家具納品

住みたい家にしよう

2018年より、感じ良い介護付きホームを目指し、高齢な入居者の方のくらしと働くスタッフのつながりを考えるため、無印良品、IDÉE との共同プロジェクトが立ち上がりました。
SOMPOケア様との取り組みは今回で3件目となり、建物の老朽化に伴いリノベーションをしたいということでご依頼をいただきました。
認知症の方が多く入居するこの施設では、「認知症にやさしい介護施設」というテーマから空間づくりを考えていきました。
まず、認知症に良くないとされていることについて振り返ってみると、たとえば運動をしないこと、昼夜逆転、過度な喫煙や飲酒などがあります。
考えてみれば、これらは高齢者の方や認知症に限定して良くない習慣ではなく、全世代に対して良くないと言える習慣なのではないかと感じました。
そこで、居室の中では、「よく食べ、眠り、歩き、掃く」といった本来当たり前の人間の生活をきちんとこなすことのできる空間を、共用部ではそれに加えて「話す」というコミュニケーションの場を作ることとしました。
こうして、「住みたい家にしよう」というコンセプトのもと、プランニングを進めていきました。

使う人に寄り添った空間づくり

今回のプロジェクトでは、事務所、相談室、食堂などのある1階全ての改修と、モデルルームとして居室の1部屋を改修していきました。
居室の床には、裸足で過ごしても気持ちの良い麻畳と天然木のフローリングを敷きました。
高さの揃った収納家具を設置し、扉には何が収納されているかを把握できるようにアイコンのサインを貼っています。
高齢者の方には使いづらい高さにあったワードローブは、服を取り出しやすい高さのものに作り替えました。
また、アクセントウォールとして、一部の壁を自然素材からできた塗料でペイントしています。
ペイントの色は5色の中から好きな色を入居者の方が選べるようにしています。
居室の入口には、これまでご自身が住んでいた自宅の扉をプリントしたものを貼っています。
認知症の方がご自身の部屋であることを認識しやすくなり、これから暮らす居室に愛着を持てるような工夫をしました。

明るく開かれた過ごしやすい共用部

共用部には天然木のフローリングを貼り、壁紙を貼り替えていきました。
照明の明るさだけでなく、なんとなく暗い雰囲気だった空間が明るい印象に変わりました。
エントランスには少し無骨な印象の杉材を貼り、見る人によってイメージが異なる抽象的な印象の絵画を設置したり、事務所の扉には、本物の葉っぱが芽吹いているような繊細な金属製の作品を取り入れるなど、日々の中でさりげなくアートに触れられるようにしています。
食堂には会話がしやすいよう円卓を配置しました。
視野が狭くなり周囲の人を認識しにくくなってしまう認知症の方でも、円卓にすることで認識がしやすくなり、会話を楽しむことができます。
また、普段あまり外出することができない入居者の方も自然を感じられるような工夫もしていきました。
室内にいながら、自然光に限りなく近い、天窓から光が差しているような照明の導入や、壁面にグリーンを取入れています。
食堂から続くウッドデッキでは、車椅子の方でも土いじりがしやすい高さのプランターを設置し、植物栽培などを通して、活動の幅が広がり、入居者同士の交流に繋がります。

自分ごととして考える

そして、スタッフのみなさんが使う事務所や休憩室も改修していきました。
今まで使ってきた事務所内で、本当に必要なものと、処分しても良いものは何かを改めて見直し、整理することで、すっきりとして使いやすい働く場が生まれました。
また、スタッフのみなさんにも空間作りに参加していただきました。
事務所内の天然木のデスクにオイルを塗る作業や、各フロアの目印となる壁面のペンキ塗り作業をワークショップ形式で行いました。
初めはうまくできるか不安と言っていたスタッフのみなさんも、進めていくうちに楽しみながら仕上げ作業をしていました。
自分たちが毎日使う空間を、自身で手を加えて作っていくことで、愛着を持って大切に使うことができます。
こうして、「家」で過ごすようにリラックスしながら規則正しい暮らしができる、コミュニケーションが取りやすい明るく開かれた介護付きホームが完成しました。

ご相談の流れ

  1. ご相談

  2. 現地調査

  3. コンセプトメイク・設計デザイン

  4. 見積もり・ご契約

  5. 施工〜お引き渡し

まずはご依頼ページよりお気軽にお問い合わせください。