履正社国際医療スポーツ専門学校 十三キャンパス 新館ホールインテリア

- 時期
- 2024年4月
- エリア
- 大阪府大阪市
- カテゴリー
- 学校
- 業務範囲
- 造作家具什器設計、家具什器納品
- #壁面収納
- #造作家具什器設計
- #国産材活用
- #家具什器納品


シンプルながらも上質な空間をつくる
履正社は、高校野球で有名な履正社高等学校などを有する学校法人です。今回、大阪府大阪市の十三駅前に新設された「履正社国際医療スポーツ専門学校 十三キャンパス 新館」のホール内の家具什器及び、各教室の入り口に設置するゴミ箱や傘立てといったプロダクトのデザインをご依頼いただきました。一部既存の商品を入れていますが、基本的にお客さまのご要望に合わせてゼロから什器デザインをご提案し、納品しています。
いままでの校舎は、アイアンと木をメインの素材としたカジュアルな空間デザインが多かったため、今回の校舎については木をメインにラグジュアリーな空間にしたいという思いがお客さまにあり、「Café&Meal MUJI グランフロント大阪」の古材を基調にした内装の雰囲気や、インテリアブランドIDÉEのイメージを気に入ってご依頼いただきました。
「ラグジュアリーな雰囲気」と同時に、華美にはしたくないというご希望に沿って、家具はシンプルな形状で、かつ上質な印象になるよう素材と色味に配慮しながらデザインしていきました。


内装や場の使い方に合わせてデザインする
すでに校舎は建設中のため、ホールの広さや内装は決定された段階で什器家具のご相談が始まりました。ホールの空間は、普段は学生の食事や勉強、休憩の場として使い、ときにはイベントやセミナー会場にもできるようにと、フレキシブルに動かせる家具を想定していたことから、家具のサイズ感や動線の検証を進めていきます。
メインのテーブルとベンチは、用途に応じて動かせるようコの字型のシンプルな形状で、頑丈さは残しつつなるべく軽い構造としました。使用している木材は内装材と色味を合わせて、インテリアに統一感が出るようにしています。
また、自習できるカウンター席の設置を迷われていた際は、適した高さをご提案し、使いやすいレイアウトを追求していきました。壁一面の棚には、本を読みながら学生がくつろげるようにベンチを組み込みました。棚の前には、曲線が特徴的な白い一人がけのソファをレイアウトし、落ち着いた上質な印象を演出しました。


上質な空間に合わせたアート選び
壁面棚のディスプレイには、お客さまと一緒にどのようなオブジェやアートが空間のイメージに合うかを話し合いながらアイテムを選んでいます。イメージの参考にと、雑誌の切り抜きなどを見せてもらいつつ、最終的には店舗にお越しいただき、実際に商品を見ながらともにセレクトしていきました。お客さまのイメージに合わせて、原木や石などの素材感のあるアイテムを取り入れることで、ラグジュアリーななかにも無骨さがあるバランスを形にすることができました。
無印良品では、2023年「山のダイゴミ展」という通常の木材市場では流通していない、山の粗大ゴミと呼ばれる未利用材を使って、新しい価値を模索する公開型の商品試作イベントを企画しました。
そこでつくられた試作品はまだ商品化に至っていないなかではありましたが、今回の空間にぴったりだと思い、木を切り倒すときに出る受け口(木片)を一輪挿しにした作品を提案。ものの背景も含めて気に入っていただけました。


空間に溶け込むように配置する
各教室の入り口に置くゴミ箱と傘立てについては、存在感を控えめにしたいというお客さまの思いから、扉をつけて壁のなかに埋め込む形にしています。
また、材質は汚れが落ちやすく掃除をしやすいメラミン素材を選び、色は周囲の壁と同じ白にしました。上部にスペースが空いているのは、チラシなど情報発信ツール等を置くためです。
完成後のホールは、集中して勉強している方、ベンチでグループになって会話をする方など、同じ空間の中でも思い思いに過ごす学生の方々で賑わっていました。
<書き手のひとこと>
若い学生の方々が集う空間をラグジュアリーな雰囲気にすることは、一見不釣り合いに感じられるかもしれませんが、蓋を開けてみればみなさん居心地よさそうにしているとのこと。イベント等で訪れる父兄にも好印象でしょう。壁面棚のアート作品に日常的に触れることは、若い感性にとってもプラスになりそうです。(吉田真緒)
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