高知県四万十町 中間管理住宅リノベーション

- 時期
- 2024年3月
- エリア
- 高知県四万十町
- カテゴリー
- 宿泊施設
- 業務範囲
- コンセプト企画・提案、内装デザイン、家具什器納品、フルリノベーション
- #移住定住促進
- #国産材活用
- #オリジナル建材
- #フルリノベーション


民泊としても活用可能な、移住・定住希望者向け賃貸住宅
「日本最後の清流」と称される四万十川の中流域に位置する四万十町は、四万十川や田園風景が広がる風光明媚なまちです。
無印良品を運営する良品計画は、2022年10月に四万十町と「地域活性化等に関する包括連携協定」を締結しており、その一環としてこの度中間管理住宅のリノベーションを実施しました。
中間管理住宅とは、町内の空き家を役場が改修し、まちへの移住・定住を検討している方に一定期間貸し出す賃貸住宅です。今回の空き家は、敷地内に母家と離れの2棟が建っていたため、入居者には母屋と離れに住みながら、離れを利用しない期間は民泊として運営できることを想定し、良品計画の空間設計部が企画と改修プランを手がけました。



地元の材を取り入れたリノベーション
まず、入居者に四万十町に住む意味を感じてもらえるよう、リノベーションプランに地場の文化や資源を取り入れることをご提案しました。そして周辺地域でのフィールドワークを実施し、地元の工務店や移住者の方に話をうかがうなかで、この土地の資源を再発見していきました。
入居するご家族が心地よくくらしながら、宿泊客としっかりコミュニケーションをとれるようなリノベーションを施しました。
離れは、和室が3部屋と倉庫があり、水回りがなかったため、和室の1室をキッチンに、倉庫をトイレや浴室に改修し、民泊として利用する際に離れで生活が完結するようにしました。残りの和室2室はそれぞれ客室としても活用できる間取りにし、宿泊客がゆったりと長中期滞在できる間取りになっています。
母家、離れともに、もともと土壁だった部分は、地元の素材である土佐漆喰で再塗装しています。また、フローリングはすべて四万十檜を使用。ふしを活かすことで1枚1枚に個性を感じられ、経年変化で飴色に変わっていく様子も楽しめる材です。






四万十町の魅力を感じられるインテリア
内装は無印良品の商品を多く取り入れていますが、より四万十町の魅力を感じていただくため、一部は地域の素材を活かした家具を造作しています。例えば、キッチンのダイニングテーブルは四万十檜の1枚板からつくったもので、客室にあるスタンドランプは薄くて丈夫な土佐和紙を貼り、完成させました。
食器棚は、改修前の母家にあったものを修繕して再利用しています。使いやすいよう、無印良品の収納で仕切りました。
外壁は、景観規制にのっとって景色に馴染む色に仕上げ、母家と離れそれぞれに地元の作家の方に染めていただいた暖簾をかけています。母家は柿渋染、離れは藍染と、いずれも古くから伝わる天然素材の染料で染めたもので、味のある風合いが外観のアクセントになりました。
また、各部屋に飾っているアートは、インテリアブランドIDÉEの商品から、四万十川をイメージし青を基調にしたものをセレクトしています。




移住・定住したくなる、人間らしいくらしを叶える
今回のリノベーションにあたって、最初に打ち出したコンセプト、「くらしを変える、くらしに帰る」は、四万十町の自然のなかで、本来の人間らしいくらしに立ち返ることができるように・・・という思いを込めており、それが実現する住宅を目指しました。また、離れに宿泊される方も、四万十町の魅力を感じ、思わず移住したくなるような時間を過ごしていただけると思います。
<書き手のひとこと>
移住のハードルを上げる要因のひとつが、「仕事がない」という問題です。そこで今回、仕事としても活用可能な住宅をつくるという、四万十町でも初の試みを託されました。「MUJI HOTEL」や「MUJI BASE」において、独自の哲学のもと「宿泊客と土地をつなげるサービス」を提供してきたノウハウが活かされており、現代の生活様式のなかに、地域に伝わる素材や文化を取り入れたリノベーションは、良品計画の空間設計部が描く理想の四万十ぐらしを、形象化したものと言えるでしょう。(吉田真緒)
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