無印良品のスキンケア

MUJI 無印良品

無印良品「わたしの顔」
スキンケアトークイベント

2016年10月29日(土)、東京国際フォーラムで行った「無印良品『わたしの顔』スキンケアトークイベント」。
第一部では雑誌『Marisol』編集長の杉野潤子さんと、人気メイクアップアーティストの早坂香須子さんをゲストにお迎えし、ライフスタイルやエイジングケアについてお話しいただきました。

現実と未来をバランスよく考えることがアラフォービューティーの考え方

――Marisolのカバー撮影で顔を合わせるお2人。どんなこだわりを持ってお仕事に臨んでいらっしゃるのでしょう。

早坂:Marisolのモデルさんたちは、みなさん芯を持っていらっしゃるかっこいい女性ですよね。杉野さんも同じで、いつも絶対にぶれない軸があるんです。それは“笑顔”。必ず「笑顔で」って声をかけていらっしゃいますよね。モデルさんたちがどんなにかっこいい表情を作っていても「笑顔じゃないと表紙にならないので」って。

杉野:笑顔は人を元気づけるものだという確信があるからなんです。そこにはすごくポリシーがあって。うちのモデルはみんなアラフォーで、結婚していたり子供がいたり、いろいろなものを背負いながら仕事をしています。そんな彼女たちには、やっぱり笑顔でいてもらうことで大人としての強さを表現できるんじゃないかと思っています。そこはすごくこだわっているところですね。

早坂:私も撮影のときにいつも心がけているのは、その人が持っている本当の笑顔でいられるようなメイクをすること。そのためのマッサージだったり、そのためのメイクルームでの会話だったり。笑顔は本当に人を元気にするもので、そこに年齢は関係ないですよね。心もそうですけど、もちろん体もヘルシーでないと本当に美しいとは言えないんじゃないかな、と思っています。

杉野:それから、女性は現実と未来の両方を大切にしていかなければならないと思っていて。アラフォーやそれ以上の女性でもまだまだ綺麗になれると私たちは信じているんですね。そのためにどうすればいいかということをしっかり考える。それが未来。もうひとつは、老け顔の未来予想図を受け入れること(笑)。 10年後から20年後、(顔が)デーモン型になるかおたふく型になるか。女性はこの2つしかないのが現実です。ですが、たとえそうなったとしても素敵なデーモン、素敵なおたふくになるということをみんなで考えることが大事です。現実と未来。両方をバランスよく考えていくことがアラフォーのビューティーの考え方なんじゃないかなと思っています。

早坂:だから40代でできることはたくさんありますよね。10年後の自分のためにできることはたくさんある。

杉野:その10年間でどう努力してきたか、何をつかんでどれを捨てたかによって生きやすくなって、 50歳と言うハードルがすごく楽になったという女性を、私たちはたくさん取材してきたんですね。“あれもこれも”はできないですし、それが負担になってしまいますよね。何を得て何を捨てるかによって、本当の意味で(生き方が)楽になることでキラキラと活躍されている50代の女性はたくさんいるんです。

ちょっとした心がけで生活は丁寧になる

――素敵な暮らしや丁寧な暮らしに憧れますが、忙しかったり疲れて寝てしまったりすると、それが実行できない自分にがっかりしてしまうことも。でも今のお話のように、捨てることと拾い出すことを自分のコンディションやライフスタイルに合わせて取捨選択していくことが大事なんですね。

早坂:私も日々疲れていますよ(笑)。だから生活に取り入れているのは本当にちょっとしたことです。たとえば家に帰ったら、アロマオイルとお水を入れてボタンを押して30秒。アロマディフューザーにスイッチを入れることで、漂ってきた香りで「あぁ、私の時間が始まるんだな」と思えるんです。それからお気に入りの入浴剤でお風呂につかったり、お花を飾るのもいいですね。お花をテーブルの上に置いておくだけで「片付けよう」と思ったり、気持ちが変わる。そういうちょっとしたことを取り入れることが“丁寧に生活する”ということで、自分をいたわっている感が得られるんです。自分をいつくしんでいるという実感がライフスタイルを作っていくのかなと思います。

杉野:私もつい最近、黄色のスタンドを買いました。実際の生活はぜんぜんゆったりしていないんですけど(笑)、そうやって生活に色を差すことによって、とてもゆったりした気持ちになれる気がしました。

美しくなるためには足すだけでなく、引く

――スキンケアに関してはいかがでしょう。

早坂:以前、40代の女性から質問を受けたことがあります。「子育てをしながら仕事をしていますが、家に帰ると疲れてしまってメイクを落とせません。でも綺麗になりたいです、どうしたらいいですか?」と。……すみません、やはりリセットはすごく大事で、肌はゼロに戻しておかないと良いものが入ってこないんですね。いくら高価なお化粧品を使っても、肌は毎日リセットしないとせっかくの化粧水や美容液は入っていかない。ちょっと詳しいことを言うと、たしかに皮脂はとても必要なものです。ですが皮脂は時間が経つと、外気やお化粧品と混ざって酸化し、特にTゾーンからは脂がどんどん出てきます。そうするとその酸化した脂で毛穴が開いてきます。それが40代からはどういうことが起こってくるかというと、毛穴って丸いものではなく涙型だった!? って気づくんです。年齢を重ねると思わぬ方向に毛穴は広がっていくんですね。それはきちんとお化粧を落としていないことが原因です。ですから、毎日クレンジングと洗顔をして肌をリセットしてあげることが、明日の綺麗につながっていくということです。それが面倒だと感じる方は、スキンケア用品を何種類か用意するといいと思います。たとえば時間をかけられる日のケアと、忙しい日のケアを変える。「今日は化粧水だけで拭き取ってしまえ!」という日もあっていいと思います。でも丁寧に時間をかけられる日はしっかりとクレンジングをして、シートマスクなど特別なスキンケアをプラスするとか、そんな感じで日々に変化をつけて、自分のお疲れ度合をみながらスキンケアを変えていくといいですね。肌にいろいろなものを足すのではなく、きちんと“引く”ことを毎日心がけてほしいなと思います。

杉野:よくありますよね。ついうっかりメイクをとらないで寝てしまって、翌朝にものすごく後悔したり、前の日のストレスのようなものを引きずったままだったり。リセットして断つ、ということができないまま朝を迎えると、気持ちもすっきりしないんですよね。

早坂:そうなんです。本当にメイク落とさないと前の日のモヤモヤまで顔にくっついている感じがして、その疲れを隠そうとするじゃないですか。くすみを隠すためにファンデーションを塗り重ねて厚化粧になって、また会社に行って……というバッドスパイラルに陥ってしまうんです。やっぱり40代の美しさは、自分で持っているものが表に出てくる年代だと思うので。日々、丁寧なケアをしてハリのある健康的な肌こそが美しいんだと意識していれば、薄いベースでも肌は本当に素敵に見えます。それから、私はいつもモデルさんには必ず服を着てもらってからメイクを決めていくんですが、それは普段にも同じことが言えます。毎日同じメイクではなくて、一度その日の服を着てみて「今日は明るい色が素敵かな」とか「今日はアイメイクをポイントにしようかな」とか、そんな時間を楽しむとファッションとメイクがリンクして、肌もファッションの一部になれるんですね。ですからヘルシーでナチュラルに輝く肌は本当に大切。年齢を重ねるほど大事にしたいですね。

ひと呼吸おいて立ち止まる時間を作る

――次の10年に向かってまたイキイキと、今の自分より素敵に生きていくためにどんなことを意識していらっしゃいますか。

杉野:気持ちの問題なのかなと思っています。自分ではゆったりしているつもりでも、仕事の量が増えていくと常に「やらなきゃ!」と焦ってしまって、想像以上にものすごいスピードでその焦りが自分の中でぐるぐる回っていることに気がつかなかったんです。でもあるとき「私、すごく焦っているな」と自覚してしまったんですね。そんな自分がなんか嫌だなぁと思って普段から深呼吸を心がけたり、ホットヨガをやることによって深く呼吸をすることで、気持ちをペースダウンするようになりました。

早坂:それはすごく大事ですね。呼吸は自律神経の切り替えにもなるので。実は自分が気づかないうちに呼吸は速くなっているんですが、そういうときには空気を吸うことよりも吐くことに集中すると、酸素は自然に入ってきます。ヨガをすると気がつきますよね。

杉野:自分は焦らない人なんだと勝手に決めつけていたんですけど、そうじゃないということにあるとき気づいてからは、きちんと「焦っているな」と自覚して、少しペースダウンをすることを覚えましたね。

早坂:焦ってもいいから「はぁ」と、ひと呼吸おいて立ち止まる時間を作ることは大事だなと、私も最近気づきました。「焦ってもいいんだ」って認めることにしました。

杉野:そうやって自分を楽にしてあげることが大事なんですよね。

早坂:今の自分にダメ出しばかりしていると素敵にはなれない。自信を持つということは「私、すごいでしょ」ではなくて、「私はこうなんだ」って何か揺るがないものを持っていることだと思うんです。その自信を持つために日々を丁寧に過ごしたり、深呼吸することが大切なのかな。私も40代になってやっと自分を認められるようになって、ライフスタイルが整ってきたように思います。そこで大事なのは好きなことを自分にやらせてあげること。どこかへ行きたいと思ったら短期間でもパッと海外へ行ったり、食べたいものがあったら「太るかも?」なんてあまり制限をかけずに「今日はこれを目一杯楽しむ!」と思ってたくさん食べたり(笑)。自分に好きなことをさせてあげると、本当の自分と外側の自分とが噛み合ってくるんですよね。そんな風に過ごしていくなかで50代が素敵になればいいなと思っています。ここにいる今の私からは50代は遠い存在だし、そこに行くのも怖いなと思っていたんですけど、素敵な50代は歩いていけばそこにあるものなんだ、と思っていればいつもの生活がすごく楽しくなる気がします。

杉野:誰でも50歳にはなるんです(笑)。私はまだまだ未熟な50代ですが、早坂さんが言ったように、自分を認められるようになったのはとても良いことだと思っています。

お母さんの顔、妻の顔、働く顔……女性の生き方にはいろいろな立場があり、人それぞれ。スキンケアにしてもライフスタイルにしても、自分を認めながらちょっとした“丁寧なくらし”を気に留めることが、心と体のエイジングケアにつながることを教わりました。「とにかく日々を楽しむこと。自分で楽しくすること。そこにあるのは笑顔です」とニッコリほほえみながらステージをあとにする杉野さんと早坂さんの姿はとてもイキイキしていて印象的でした。