5・7・5・7・7のリズムで31音の言葉から構成され、その中に景色や心情を組み込む短歌。
俳句、川柳、短歌、都都逸と聞くと何だか敷居が高いような感じがしますが、とても庶民的でルールさえ守れば誰でもすぐつくることができます。
今では、雑誌の短歌募集コーナーから、SNS上に至るまで様々な人たちが、日々の喜びや憂い、気になっただけのことを短歌にしています。
感情の中に引き込まれそうになる抒情歌、思わずぷっと吹いてしまう歌、タイムスリップして思いを馳せれる青春歌。
人によって作品のスタイルが様々で、ありとあらゆる年代の人たちに向けて扉が開かれているのが短歌の世界です。
今回は初めてでも読みやすい現代短歌の歌集、エッセイを紹介いたします。
この本は、歌人 穂村弘さんと歌人 東直子さんの恋愛問答歌を往復メールというかたちで発表した短歌集。
これから恋人になる主人公たちの思いを時系列で短歌にされています。
短歌は31音で構成する歌なので、読む人の想像力や経験次第で全く違った景色を想像することができます。
10章に分かれているストーリー、すべて読み終えてから2人の解説を読んで新しい景色を想像するのも楽しいのではないでしょうか。
この本は、言葉遊びに関するエッセイで、クロスワードパズル、回文、リポグラム(特定の文字を使わないで文章をつくる)など文字の組み合わせでつくる言葉や文章の楽しさが書かれています。
その究極の言葉遊びが5音と7音の組み合わせでつくる短歌。
著者は日本文化としての短歌には興味がないそうで、あくまでもきれいだったりファニーだったりする響きが好きなよう。
言葉に対する熱い思いが書かれたこのエッセイは言葉好きの方にはぜひ読んでいただきたい本です。
2009年にこの世を去った歌人 笹井宏之さん。
笹井さんの短歌は言葉の組み合わせ方が美しく、読む人にとってはファンタジーに、また別の人には突きつけられる現実のように感じたり、その時の心のコンディションによっても印象が全く変わってくるかもしれません。
短歌にあまりふれる機会のなかった方にも、笹井さんの世界観をのぞけるこちらは、ぜひおすすめしたい一冊です。
ぜひたくさんの歌人の短歌を読んでみてください。
短歌に親しむうちに、自分も書きたくなってくるかもしれませんよ。
~今回ご紹介した本~
『回転ドアは、順番に』
著者:穂村弘×東直子
出版社:筑摩書房
消費税込638円
『ことばおてだまジャグリング』
著者:山田航
出版社:文藝春秋
消費税込1430円
『えーえんとくちから』
著者:笹井宏之
出版社:筑摩書房
消費税込748円
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