「小さい国だけに深堀しはじめると、どんどん手が触れられるというか、自分の領域が広がっていくのが実感できる。それでリトアニアを深く取材したいと思いました」と新刊の写真集をつくるきっかけを話してくれたのは写真家の在本彌生さんです。
今回は、先日開催した写真集『Lithuania,Lithuania,Lithuania!』刊行トークイベント(協力:アノニマ・スタジオ)の様子をお届けします。
ヨーロッパの真ん中に位置するリトアニア。北海道の80%ほどの面積で、自然享受権という権利があるほど自然と自由を大切にする国です。在本さんはそんなリトアニアに魅せられ、約10年前から定期的に訪れてきたといいます。
この写真集には在本さんが旅してきたリトアニアの人々のくらしや風景がつまっています。イベントではその写真集をみなさんと見ながら、旅の思い出をお話しいただきました。
まずはこれを撮るためだけにリトアニアを再訪したと在本さんがいう「冬を追い出すお祭」の話題に。
仮装をした一団が家々をめぐり、各家庭でごちそうがふるまわれると冬を追い出すおまじないを唱えてくれるというお祭りで、それはなんだか日本の節分やなまはげに似ているところがあります。言語も文化も違う、遠いヨーロッパの国がとても近くに感じますよね。ごちそうの定番は太陽の象徴とされているパンケーキに肉料理にお酒。この日は在本さんも一日で30枚はパンケーキ(小さな)を食べられたそうですよ。
モニターに映し出される在本さんのうつくしい写真は、飾ることのないそのままの姿やまなざしが切り取られていて、ページをめくるごとに素足で踏む土の感触や風のにおい、楽器の音が聞こえてきて、あたたかな記憶みたいなものが自分の中からわいてくるような気持ちになります。
ときに思い出したように笑いながら楽しそうに語ってくださる在本さんの様子に、リトアニアの人々の朗らかさが伝わってきました。それに、取材先の家族が焼いてくれたパン、郷土菓子、手渡しの巣蜜……。旅の思い出についてくる食べ物がどれもとってもおいしそう!
また、今回はリトアニアの隣国ポーランドのはちみつを取り扱う〈シェプロ〉の丹山梨花さんも登壇くださいました。実は風景や人と自然の距離などリトアニアと共通点の多いポーランド。
「ポーランドに行ったときに、生活の中の一部として(自然が)そのままある、その在り方がすごく魅力に感じたんです。在本さんのお写真をみたときにそれを思い出しました」と丹山さんもお話してくれました。
後半は無印良品の紅茶と〈シェプロ〉さんがご用意くださった紅茶に合うはちみつでティータイム。
蜂やはちみつはリトアニアでもとっても歴史が古く、特別な存在とされているんだとか。はちみつを薬として使ったり、そうやってヨーロッパでは自然が持つエネルギーを生活の中に取り入れるくらしが営まれてきたんですね。
琥珀色をしたヒースという品種と淡い黄色のアカシアという品種の食べ比べ。あたたかい飲み物を囲むとさらに心もほぐれ、後半は各テーブルでの会話も盛り上がっていました。
「リトアニアを象徴する1枚だなと思って写真集の最初のページに置きました」と在本さんが見せてくれたのは、木から落ちたたくさんのりんごを誰かが拾っている写真。
(こちらはぜひ本書でご覧ください)
「木になったりんごをもぐんじゃなくて、落ちたりんごを人が拾って食べて、糧にして、また循環していく、リトアニアらしい命の循環だなと思ったんです」
人間も自然の一部である。それはあまりにも当たり前すぎるがゆえに、普段は忘れてしまっていることかもしれません。自然や自由は与えたり、与えられたりするものではなくて、共に在ること。困難も少なくない国だからこそ、リトアニアの人たちの暮らしにはそれを尊びながら、いっしょに生きるやさしさと知恵があるのだと感じました。
「小さな国だが自由を求めて、自由を守るために、ひとりひとりが前向きに明るく暮らしている人々がいる国です」という在本さんの言葉がいまでも胸に残っています。リトアニアから遠く離れた、日本でくらす私たちも春を迎える準備ができました。
ご登壇くださったみなさま、イベントのお越しいただいたみなさまありがとうございました。
在本さんの『Lithuania,Lithuania,Lithuania!』は1階刺繍工房付近にて販売中です。引き続きパネル展も開催していますので、お立ち寄りください。
また、〈
誠光社〉でも1月31日まで『Lithuania,Lithuania,Lithuania!』の写真展を開催中です。徒歩圏内に〈
シェプロ〉さんもありますので、ぜひあわせて足を運んでみてくださいね。
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