『クマアナニコモル』
これは二十四節気・七十二候で、今の季節をあらわした言葉です。
いよいよ冬ごもりをはじめる動物たち。
山や森も、だんだんと雪におおわれ、気がつけば真っ白に。
まだまだコートのいらないような日もありますが、本格的な冬はもうすぐそこまでやって来ています。
さて、今日私がお話しするのは、ブナ材のスプーンについてです。
いつだったか、少しまえのこと。
長く使っていた木製のスプーンが、立て続けに壊れたり、なくしてしまうという出来事がありました。
わが家の食器は木製のものが多く、ことカラトリーに関しては、あえて選んで使っていたのでした。
その理由の一つが、熱かったり冷たかったりする食べものを、口の中でまろやかにしてくれる気がしていたからです。
おなじ素材でも、種類によって口あたりは変わってくるので、今回はどうしようか悩んでいたところ目についたのが「ブナ材ティースプーン」でした。
仕事帰りに買って、さっそく翌日の朝ごはんのとき、ヨーグルトといっしょに子どもたちに渡しました。
スプーンを口にふくんだ子どもたちは、「やさしいなー。」と満面の笑み。
この言葉に、なんだか私までうれしくなったのでした。
ブナの木は森の女王ともよばれ、その実はとてもおいしく、栄養価があるといわれています。
冬ごもりをする動物たちのおなかの中は、ブナの実で満たされているかもしれません。
そんなことに思いを馳せつつ、お昼ごはんのスープをブナのスプーンで食べるのでした。

