こんにちは 天神大名です。
今回は、6月末にオープンしたとても気になっていた場所のご紹介です。
まだ少し強気な太陽と、てくてく歩いていきましょう。
天神大名から南方面へ歩くこと15分・地下鉄七隈線薬院大通り駅からもほんの少し。
平尾方面通り沿い、スタイリッシュなガラス張りと大きなソテツの木が目印です。
このソテツにも意味があるみたいですよ。
福岡の原田琺瑯さん製作、温かみのあるホーロー看板に(ALSO)と控えめな(MOONSTAR)の文字。
そう、ムーンスターといえば、ゴム産業の盛んな久留米市の代表的企業のひとつ、明治時代足袋(タビ)の生産から140年以上、時代と共に変革し続けるフットウェアメーカーです。
入口のソテツ~学校~体育館シューズ~みなさんもきっとお世話になったアイテムですね。
その靴づくりの哲学が具現化した旗艦店が(ALSO MOONSTAR)です。
今回はカテゴリーマネージャーの松永さんにムーンスターの旅へとご案内して頂きます。
入口扉のハンドルも、ラバー(ゴム)仕様なんて、早速、気になるポイントです。
店舗は久留米市の建築家・下川徹さんが手掛けた建築です。
日本建築の伝統様式を現代と調和させ、風土に寄り添う建築が注目されている方です。
当初の構想のイメージは、ファクトリー(ムーンスターの久留米工場)。
しかし本物の工場に勝るものはないとなり、それら無骨な断片を残しつつ、(職人の手間)をコンセプトに温もりと心地よさを重視したデザインとなりました。
1枚づつ板張り仕上げ、目地のピッチ(4㎝と2㎜)が美しいですね、大工さんの手仕事です。
その下に整然と並んだシューズも静かに呼吸をしているようです。
一見コンクリートのように見える棚、松永さんの説明で側面がフィッシュボーンのような模様になっているのに気づきます。
この模様、シューズ底面になる前のシート状ゴムを模ったもの、工場の断片ひとつめです。
そして、ウインドウに黄金色に輝くステップと鮮やかなシューズ、この黄金色こそゴムの原料、触ると弾力があります。
このゴム、シューズの各部位ごとに配合を変え、それぞれに適した性質のラバーパーツになります。
確かにスニーカーひとつにもラバーの部分がいくつかありますよね。
そこにも人が可能な限り自然な動作ができるように研究されています。
鈍く光るベルトコンベア、あたかも今、作品ができたようなアプローチです。
そしてこのシルバーのローラーと連動するように、頭上に昼光色のライト管がありました。
工場にいるような感覚になったのは、松永さんからムーンスターのモノづくりを教えて頂いていたからかもしれません。
生ゴムに硫黄を混ぜ、圧力と熱反応によりソールとアッパー部分を接着させるヴァルカナイズ製法、金型に流し込んだ樹脂を成型するインジェクション製法。
これらはかなりの手間がかかる為、国内でも採用しているところは希少なようですが、この製法ならではのしなやかさと耐久性は、久留米クオリティと呼ばれる所以です。
シューズを近くで見ると、ラバーと生地の繋ぎがとてもフラットで精巧です。
このラウンジのようなフィッティングスペース、めずらしいことに脱靴です。
足を踏み入れた時に心地よさを感じられるようにと石床になっています。
この石床、京都・桂離宮にも使われている(あられこぼし)とよばれる庭師の技法です。
熊本・球磨川河川敷から仕上がり分量の10倍以上の石を集めパズルのように組み合わせています。
このスペースを仕上げるのに1ヶ月かかったと聞き、思わずため息が、振り返ると松永さんも全く同じ表情でした。
奥の壁は土佐漆喰研ぎ出しとよばれるもの、ワラを入れた漆喰をなめらかな質感になるまで磨きあげる左官の技法。
ブルーの棚は顔料を入れたセメントに種石を混ぜ、同じように磨きをかけた人研ぎ、大理石のような雰囲気です。
真っ白なスニーカーがオブジェのようにみえますね。
松永さんが、是非とチェアーに揺れる靴ベラをみせてくださいました。
鹿児島にて、ご家族で木工に携わるアキヒロジンさんの作品です。
指に沿うような、ねじねじ棒に何だかほっこりします。
ひんやりとしたこの空間、きっと滞在時間がのびますね。
奥のシェルフには革靴やローファーも並んでいます。
アイテムのお話ではスクールラインから、業務用、驚いたのは自衛官の靴などにも関わっているそうで、ALSOのラインナップはこれらの背景を再構築した普段履き仕様です。
上段はイラストレーター辰巳菜穂さんの作品、ストリートビューから着想を得ての仮想現実の風景だそうで、最近テレビでお見かけしました。
仮想現実には、MOONSTARの看板もあるようで、皆さんみえますか。
気づけば、こちらの店舗、様々な職人さんや作家さんの想いが幾重にもリンクしています。
メイド イン KURUMEのシンプルで美しいデザインとクオリティ。
オリジナルのテキスタイルにも妥協なき探求がありました。
アッパーに使用されるテキスタイルは、製法上、高熱と圧に耐えれる基準が不可欠です。
窯の温度は120℃、その為200℃ぐらいまでも耐えうる生地を選定しています。
生地のこだわりは足に触れる内側にも、オリジナルの素材(ポンジ・ソフ)を使用しています。
市松模様は久留米絣の2020リミテッドモデル。
久留米絣の他の生地もみせていただいたのですが和柄というよりモダンで温かみのある北欧デザインのようなテキスタイルでした。
そして、愛好家の方が多いシリーズの限定色ブルー、こちらはムーンスターのコーポレートカラーです。
店内にさりげなく、コーポレートカラーのモノがあるのでご来店の際は見つけてみてください。
通常スニーカーは経年により、かかと部分などにヨレができるが、ムーンスターのヴァルカナイズ製法では、かかとの立ち上がりも維持され、その分長く愛用していただけるのです。
そう言われる松永さんの足元もいい具合に馴染んだムーンスター。
松永さんのオシャレで自然体な着こなしに人色(ひといろ)体現。
女性スタッフの方達も、自分らしくの佇まい、プラスの履きこなしが素敵です。
店名のALSOは(~も・また・さらに)という意味があり、真摯にモノをつくり、そこに使う側がプラス出来る(余白)を残しておきたいという想いをこめたものだそうです。
松永さんの繰り返す(余白)という言葉。
まだまだ新たな取り組みもあるようでした。
廃材をリブートした雑貨のプロダクトや、ここだから出来るワークショップや感度の高いデジタルメディアのIn Use。
よりよい暮らしのプラットフォームでありつづけたい。
スローでセンシティビティな薬院で、さらなる想いを届けていきます。
月夜には、まるで宇宙ステーションの様。
2020年ALSOの旅は、はじまったばかりです。
次回のてくてくも お楽しみに
ALSO MOONSTAR
住所 福岡市中央区薬院3-11-22
電話 092-401-0781
HP
https://inuse.jp/also_moonstar/
ONLINE STORE
https://store.moonstar.co.jp/
INSTAGRAM @also_moonstar
無印良品 天神大名