天神大名

【天神大名】MUJI standard lover file.3 お茶と鈴カステラのルーティン

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その他

2020/04/07

お茶と鈴カステラ。
毎朝、その二つを買いに来られる紳士がいた。
スーツの小脇に新聞を抱え、朝のせいか表情はいつも険しい。
確かにみんな、朝は忙しい。
幾度かのレジ応対で、代金をきっちり準備されており、袋は不要だと分かり、毎回レジでは不要なお尋ねはせずスムーズさを心掛けた。
最後は、ありがとうございました、又お越しくださいませ。
お見送りのルーティンだ。
ある朝、その日はご優待もあり、レジには長蛇の列が出来ていた。
レジをこなし、少しずつ列が動いてゆく。
気づくと、いつもの紳士の順番で、なんだか一層険しさが増して見え別な緊張も湧く。
レジを終えながらも店内のてんやわんやに心苦しく、咄嗟に出てしまった、【いつも】ありがとうございます、のイレギュラーな言葉。
紳士は新聞を持った手を挙げ、背中越し、かすかに笑われた。
その日を境に紳士のルーティンの理由が解明した。
この無印良品が通勤途中に寄りやすい事。
実に男性らしく単純明快。
毎朝の新聞で、買ったお茶をくるりと巻き出社すること。
娘さんは、ここのバウムが好きな事。
そして、紳士のとっておきは休憩時間に、この昔懐かし、鈴カステラを食べるのが至福の時だと教えて下さった。
険しい顔の裏側は、働く、優しいお父さんの素顔だった。
 
いつもの風景といつものモノで何事もなく、一日が過ぎる。
そんな何の気ないルーティンを続けられる事自体が、至福のルーティンだ。
センシティブなこの頃、ルーティンの意味を優しく感じる。
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  今日のスタンダード 豆乳とおからの鈴カステラ


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