ここ数年間、パンデミックの嵐が過ぎるのを静かに待ち続けていました。ようやく明るい陽射しが差し込み出航の時がやってきました。久しぶりの海の仲間たちとの再会に心がわくわくしています。
2023年6月9日、地元・大阪を代表する水族館の海遊館が主催する“大阪湾スナメリ調査”へ行ってきました。
海遊館は大阪湾に位置する水族館として地元の海を知る必要があり、絶滅が心配されている大阪湾のスナメリを調べていくことはとても大切なことであると考えて2010年から本格的にスナメリの調査を開始したそうです。調査方法は海水運搬船からの観察や、漁師さんや皆さんの目撃情報の収集、そして今回の目視調査です。
集合場所はもちろん海遊館。大阪のランドマークにもなっている建物を見るとテンションが上がってきます。
今日は中には入りませんが、海遊館について少しご紹介します。
この建物はアメリカで活躍する建築家のピーター・チャマイエフが設計し、外壁の赤と青は火山と海水を表しているそうです。
エスカレーターで8階まで一気に上がって、ゆっくりと鑑賞しながら下の階に降りていくコース。まさに、地上から深海に潜っていくイメージが体感できる水族館です。
それでは、いよいよスナメリの調査へ。
まずはイルカなどの海獣を担当する飼育員さんからスナメリについてのレクチャーを受けます。
今回、会いに行くスナメリがこちら。愛らしい姿をしていますね。
スナメリは体長2m程度の小型のイルカの仲間です。体の色は灰色っぽく、体のわりに大きな胸びれを持ちますが背びれはありません。また、一般的なイルカのように突き出た口もなく、全体的に丸っこい顔をしています。
スナメリも他のイルカの仲間のように、エコロケーションと呼ばれる超音波を出して泳いでいる魚や泥の中に隠れている餌を探します。アジやイワシなどの魚類や、イカやタコなどの軟体動物など比較的なんでも食べているようです。
日本にすむスナメリは、ミトコンドリアDNAの塩基の並びによって5つのグループに分けられています。大阪湾に住んでいるスナメリは瀬戸内海系群に属すといわれています。基本は単独または母と子で過ごしていますが繁殖期は母と新生児、または雌雄の群れが形成されます。時おり、餌を捕る際には大型の群れが形成されるそうですよ。
基礎知識を学んだら、いよいよ出発です!
船は海遊館横の大阪港天保山岸壁から出航します。普段は大阪府の岬町と淡路島の洲本市を結ぶ“深日洲本ライナー”として活躍している船をチャーターしています。
乗船するとライフジャケットを着て、階段でデッキに上がります。
デッキは人数制限があるのでふたつのグループに分かれて観察します。
目指す場所は関西国際空港。周辺海域は水産動植物の採捕禁止区域になっているので、この区域の中では魚介類や海藻を捕ることは出来ません。つまり、魚たちの楽園。スナメリにとっては餌が豊富という事です。
また、スナメリは海底が砂や泥になっている水深50mより浅い海域に生息し、特に水深20mよりも浅い海域を好みます。これも条件にぴったりです。
出航して10分程すると『夢洲(ゆめしま)』が見えてきました。クレーンが忙しそうに働いているのが見えます。
隣に『新島』が見えてきました。ここは近畿2府4県のごみを使って埋め立てられています。全国的にも海を埋め立てる場所が無くなってきているという問題があるようですが、ここは大阪湾最後の埋め立て地と言われているそうです。
なんとそこに、環境省の絶滅危惧種に指定されている希少な海鳥のコアジサシが産卵や羽休めのために訪れているのが確認されています。鳥たちにとって、餌が周りの海にたくさんの好立地。
これからも毎年、飛来してくれれば良いのになあと思いながら島を見ていましたが、船は気にせずビュンビュンと進んでいきます。
こちらは大阪で盛んなチリメンジャコ漁の船です。2曹の船がぴったりの息で操業しています。
気分も乗ってきましたが、今日の話はここまで。スナメリに会えるかどうかは明日のおたより“大阪湾スナメリ調査に行ってきました(後編)|さかな屋のはなし#番外編11”までお待ちくださいね。
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無印良品 イオンモール堺北花田 2023.6.30