堺市美原区で「古代米」という小豆色のおいしいもち米がつくられているのをご存じですか?
皆さまに古代米を知って、そして味わっていただきたい。その気持ちを伝えるべく、古代米をつくる農家さんを応援するPR 活動をはじめました。
堺市中区に工場を持つ『にじゆら』さんがこの活動に協力してくださり、古代米をモチーフとした手ぬぐいをつくっていただくことになりました。
今回は、その古代米手ぬぐいの製造工程を見学させていただいたレポートをお届けします。
堺市毛穴町の狭い路地にある、株式会社ナカニ。ぱっと見ただけだと、普通の住宅のようで通り過ぎてしまいいそうになりました。お願いしている古代米の手ぬぐいがどのようにつくられていくのか早く見たい……。とわくわくしていると、営業企画・デザインを担当されている中木さんが笑顔で出迎えてくれました。
にじゆらの手ぬぐいは全て「注染( ちゅうせん)」という伝統技法で染められています。「注染( ちゅうせん)」とはその名の通り染料を「注ぎ・染める」というもの。機械などなかった明治持時代から変わることのない技法が今でも大切に守られています。
二十数メートルほどの生地をじゃばら状に重ねることで一度に二十五枚の手ぬぐいを染めることが出来るのです。
工場の中に一歩入ると、まるで映画のセットのよう。今までつくられてきた手ぬぐいへの想いや色が何層にも重なりあい、この重厚な空間をつくっているんだなと思いました。
染めているところを説明してくださったのは、伝統工芸士の資格を持つ、板橋さん。折り重なった生地を染め台に置き「のり」と呼ばれるクリーム状のもので囲んで土手をつくり、そこに「ドビン」という注染用につくられた特別なじょうろで染めたい部分に染料を注いでいきます。
「よそと同じものを作ったらだめ。違いがないとふり向いてくれないんです。」
「中木さんから、お願いしたデザインのイメージ通りそのまま再現してくれてありがとう!と言われると、やっていてよかったとやりがいを感じる」と、板橋さん。
いつも中木さんと二人で、ここの柄をもっとこうして!とよりいいものができるように話し合うそうです。
たくさんの稲が豊かに実っていて、空に舞っているこのデザインには、古代米がもっと広まってほしい。という願いが込められているそうです。
そうして染めの作業が一通り終わると手ぬぐいは「川」と呼ばれる洗い場へ。重なり、ひっついている状態の防染糊と余分な染料を洗い流していきます。二月の突き刺すような寒さの中、職人が水に入り、移染しないように素早く洗い流しています。
一枚一枚たくさんの工程を経て私たちの手に届く手ぬぐいをおもうと、これから見る目が変わります。
職人ひとりひとりの技や、関わった全ての人の想いが詰まってできた手ぬぐいだから美しく、どこかあたたかく、私たちの手に馴染んでくれるのでしょうね。
無印良品 イオンモール堺北花田 2020.2.26