みんなみの里

それでも

【みんなみの里】それでも それでも それでも | MUJI BOOKS「里山良本」

MUJI BOOKS

2020/12/04

 写真家・齋藤陽道(はるみち)さんの写真と言葉で綴るはじめてのエッセイ集です。
 齋藤さんは都立石神井ろう学校を卒業し、障害者プロレスラーとしても活動中。近年はミュージシャンや俳優と作品作りをしたり、2013年には本人のドキュメンタリー映画『うたのはじまり』も公開されています。"ろう者"の著者と奥様が"聴者"の息子と向き合う中で、嫌いだった「うた」に出会うまでのドキュメンタリーとして描かれました。
 
それでも

 本書は雑誌「週刊金曜日」に掲載された作品を選出、構成したものです。400字のエッセイはさながら詩集のよう。写真からおのずと浮かぶ言葉を待って紡がれた言葉たちは、力強い命と優しさにあふれていて心にぐっと寄り添ってきてくれます。読者も著者と一緒に「結局のところ、心と心が交わるときにしか、見ることの意味は深まらない」という写真とそのストーリーを感じてみましょう。
 製本の紙の選び方もさすがナナロク社。ざらついていたり、透けていたり多様で心地よいです。
 
それでも

 著者は自身の写真においての行いを「たったひとつのそれだけを見る。いちべつだけでわかったつもりにならない。一方的に言葉をあてこむこともしない。それまで培ってきた価値観を頼りにしない。その存在と、ただただ出会う」と表しています。なんのめがねもかけないで世の中を見るには私たちの心は少々情報過多。頭と心を空っぽにしてパラパラ本作をめくってみると、ああ、そうだったとなんだか懐かしいような気持ちになる。

 おとなりのMUJI Cafeで是非あったかいココアと一緒に。
 この冬も本と楽しく暮らしていきましょう。


著書名:それでも それでも それでも
著者:齋藤陽道
発行所:ナナロク社