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【直江津】上越市三和区・田ヶ久保さんの『育てる箸』|LOCAL MUJI

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2022/03/02

こんにちは、無印良品 直江津 です。

無印良品では、全国各地のスタッフが地域に根差したくらしを営む方々と出会い、生産者の方々の商品ひとつひとつに込められた思いに共感し、それぞれの地域の無印良品で紹介しています。
無印良品 直江津 にも、上越市三和区・田ヶ久保 隆道(タガクボ リュウドウ)さんの『育てる箸』が登場しています。
 
売場
メインレジ前にある「FOUND MUJI」コーナー横で、1膳 3,000円(税込)で販売中です。使い勝手を試してみてください。

2月下旬、木工作家『自然木工房 森のしごと人』として活動する田ヶ久保さんを訪ね、『育てる箸』や「モノづくり」への思いを聞いてきました。


 【田ヶ久保 隆道さんのモノづくり】

スタッフ:育てる箸を制作したきっかけは何だったんですか。

田ヶ久保さん:全国で家具の個展をしていたのですが、ネックレスやストラップ、鳥笛などの小物をたくさん作って持って行くと、各地のファンの方が喜んでくださって。
いろんな小物を作っていく中で生まれたのが『育てる箸』。
小物の中でも売り上げNo.1で、17年間ベストセラーです。
 
箸と作家さん

スタッフ:使っている皆さんからは、どんな声が届きますか。

田ヶ久保さん:今では、近所の子どもたちがお箸を持つ歳になると買いに来てくれるんです。
箸の持ち方は、鉛筆の持ち方と一緒。
書くときも、食べるときも、何も考えないでパッと持つでしょう。
五角形だから、面が手にフィットして、持つ部分を変えれば長さも自由に使い分けられる。
箸を使いこなすことで、自然と手先が器用になっていくんです。
 
箸手持ち

スタッフ:『育てる箸』は、九寸・約27センチとその長さも目を引きますよね。

田ヶ久保さん:九寸は割り切れないので、縁起が良いとされています。
さらに昔の文献で、「九寸の箸を使っていた」という文を目にしたことがあって。
気になって、あるとき医師に聞いてみたんです。
そしたらその方は、「人間の手の第二・第三関節の間にある骨は『基節骨』といって、身長が高くても低くても、他の部分に比べ長さがあまり変わらない」と言っていて。
それを聞いて、「箸の長さは手の大小に合わせて変える必要がないんだ」とずっと悩んでいたものがパッとクリアになったんです。
九寸だと見た目は長いと感じるかもしれませんが、手が小さい女性も、テコの原理で先端部分に力が加わりやすいので、食べ物をつまみやすいのでは、と気が付いた。
背が高い方にも好評で、身長2メートルほどあるバチカン市国の神父さんも気に入って、15膳ほど購入していかれましたよ。
 
笑顔

スタッフ:確かに、ある方のお宅で食事をいただいたときに、たまたま『育てる箸』を使ったのですが、長さは気になりませんでした。

田ヶ久保さん:皆さんからも同じ声を聞きます。
長さがあるので、持ち手の後ろの部分が交差したときにぶつからないよう、円錐状に削ってあるのも使いやすさの秘密です。
 
後方

スタッフ:それでこのデザインになったんですね。
『育てる箸』は、塗装を使用せず、オリーブオイルで仕上げてありますが、それは安心・安全のためですか。

田ヶ久保さん:それもありますが、一番は「すべらないように」です。
素材も手も自然なもの。
食べるときに簡単につまめ、「麺でもお刺身でも、何でも来い」なお箸です。
 
オリーブオイル

スタッフ:すべらないって、使い勝手を考えると大事ですよね。
家にきれいな赤の塗り箸があるのですが、ツルツルすべってうまくつまめないので、結局あまり使ってません……
『育てる箸』は、『鉄刀木(テットウボク・タガヤサン)』という固い木を使っているそうですが、理由はありますか。

田ヶ久保さん:国産の木材はすぐ曲がってしまうものが多いんですが、箸に使っている『鉄刀木(テットウボク・タガヤサン)』は、とても固くて狂いが出にくい。
使っていくうちに色が深みを増して黒くなっていく「経年変化」も楽しめる。
そして、一生ものとして永く使えます。
完成まで3年間、いろんな箸を作って、材質や制作方法を試行錯誤し、たどり着きました。
2年間、オリーブオイルでケアし続けると、より黒さが増し、味わい深く育ちます。
 
2年モノ
この日取材にうかがった、田ヶ久保さんの営むイタリア料理店『森のレストラン フォレスタ』では、“2年モノ”のお箸(写真向かって左)も販売しています。

スタッフ:育てる箸の一番のこだわりって何ですか。

田ヶ久保さん:全体的なバランスです。
材を見て、正目をとって角材を製材するんですが、木は一点一点質が違うので気を許せない。
精神を込めて作らないと、形が歪になるか、手をケガしてしまいます。

スタッフ:田ヶ久保さんは、木工のお仕事のほか、『森のレストラン フォレスタ』のシェフ、無耕田(耕さない)栽培の無農薬米作りなど、多岐にわたる活動をしていらっしゃいますが、根底にはどんな思いが流れているのですか。

田ヶ久保さん:人間は自然にはかなわない、自然に逆らわないという思いです。
なるようにしかならないから、あんまり物事にこだわらない。自分の思い通りにしたいと思うから、トゲが出る。
木工で言うと、怪我をしたり、木材を間違えて短く切ってしまったり、失敗します。
刃物は一日一回は人に向かってくるから、寝る前から精神的な準備をしないとできない。片手間ではできないものなんです。
デザインが出ないときは降りてくるまで待ちます。
実際の材を見て、何を作るか。テーブルか、イスか、それとも他の家具か。木と真剣に接すれば、一瞬で浮かびます。

スタッフ:分かります。デザインや文章って、本質を見つめてみると自然と降りてくることがあります。
無理やりアウトプットすると、仕上がりに納得できなかったり、疲弊してしまったり。

田ヶ久保さん:心で挫折する人は、悩み過ぎてる。無理をして何かをやろうとするからヒビが入る。
立木を伐採した後、枝払いをした後、木の特徴に合わせて一定の寸法に切断して丸太にすることを『玉切り』というんですが、失敗するとチェーンソーが壊れるんです。
下手すれば、失明したり、鼻がもげたり、足を切断していまう。
安易に仕事をしてはならない。
私は、伐って間もなく乾燥していない「生の木」を切るときは、必ず塩と酒を持って行って、万全を尽くします。
 
箸持つ

スタッフ:木の「あるべきよう」を見極めて、一膳のお箸にも心を込めて、全力でつくっているんですね。
田ヶ久保さんのモノづくりへの思いが伝わってきました。
今日は楽しいひと時をありがとうございました。

田ヶ久保さん:今日は大雪なので、気を付けて。
おたより楽しみにしてますね。

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■森のレストラン フォレスタ
住所|新潟県上越市三和区島倉2537
TEL|025-532-2000
営業時間|ランチ 11:30-ラストオーダー14:00 ※ディナーは予約のみ
定休日|月曜(祝日の場合は翌日)※不定休あり
店内
木工作家でもある田ヶ久保さんの営む、イタリア料理店。木のぬくもりに包まれたお店で、看板メニューの「世界一のボンゴレ」をはじめとしたパスタやピザなど、本格的な味を満喫できます。



田ヶ久保さんの『育てる箸』は、メインレジ前にある「FOUND MUJI」コーナー横で、1膳 3,000円(税込)で販売中です。詳細はスタッフまで、お気軽にお問合せください。

無印良品 直江津では、これからも地域の生産者さんに出会い、その土地で古くから受け継がれてきた技術や、昔ながらの製法で作られている食品や日用品などを発掘していきます。
随時おたよりでもお知らせしていきますので、お楽しみに。

無印良品 直江津

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