こんにちは。
無印良品 港南台バーズです。
今年もこの季節がやってきました。港南台でも恒例となった、梅しごとのワークショップ。
今年は、小田原・曽我梅林の梅農家・平澤さんが、収穫してくださったもぎたての青梅を使って、2つの講座を開きました。ひとつは、氷砂糖とホワイトリカーでつくる「基本の梅酒」。もうひとつは、ブランデーやウイスキーなど洋酒を使った「自分だけの梅酒」づくり。平澤さんが実際につけた、さまざまな風味の梅酒を味わいながら、素材によって変化する味わいの奥深さも体感していただきました。
青梅を選び、洗い、ヘタを取り、瓶に詰める。そんな静かな手仕事の合間には、平澤さんから梅のお話も。
「梅は木ごとに香りや味が違うんですよ」
「この土地でしか育たない風味があるんです」
一粒の梅に込められた時間と風土、つくる人の思い。その話に耳を傾けながら、参加者の表情も少しずつほころんでいきました。しかし今、そうした“梅のある風景”は失われつつあります。
“おいしい”の、その先へ。曽我梅林を未来につなぐということ。
神奈川県小田原市にある曽我梅林は、梅の花と富士山の風景で知られる、美しい梅の里。2月には一面の梅が咲き、6月にはたわわに実った実が収穫されます。古くから梅漬けや梅干しとして親しまれ、『東海道中膝栗毛』にも登場するなど、日本文化の一部として育まれてきました。そんな曽我の梅林を、未来へ残したい。そう考え、行動を始めたのが梅農家の平澤勉さんです。もともと自動車メーカーでエンジニアとして働いていた平澤さんは、ある事故をきっかけに「人生はいつ終わるかわからない」と痛感し、40歳で小田原に移住。ご縁から農業を始め、「この土地で、残りの人生をかけたい」と感じたといいます。
梅の木には1本1本個性があり、香りも味も異なります。自然のリズムに合わせて手をかけ、育て、分かち合うこと。平澤さんは、日々の暮らしの中で、この曽我という里山の豊かさと美しさを伝え続けています。けれど今、その風景は静かに失われつつあります。後継者不足、気候変動、梅の消費減少——
「10年後にはこの梅林がなくなってしまうかもしれない」。
そんな危機感のなかで、平澤さんは行動を起こしました。
梅酒や梅干しの体験、完熟梅を使ったシロップや塩づくり、レストランやジビエとのコラボレーション。「梅」という素材を、食だけでなく暮らし全体で楽しむ新しい提案を、少しずつ形にしています。その想いに共鳴し今回の講師をお願いしました。
さらに梅は、収穫して終わりではありません。食べる人がいて、台所で加工する手があって、はじめて次の季節へとつながっていく果実です。梅酒や梅干し、梅シロップ。かつてはどの家庭にもあった“梅しごと”の技や知恵が、今まさに消えかけています。だからこそ無印良品 港南台バーズでは、こうした台所の営みを、みんなで楽しみながらつないでいきたいと考えています。暮らしの中で季節を感じ、手を動かす時間。余計なものを加えず、素材の力を活かして仕込む梅酒の味わいは、安心できて、驚くほど美味しい。そして何より、少し先の季節を待つ楽しみを私たちに教えてくれます。
ワークショップの最後には、スタッフ手づくりのラベルを貼って瓶詰め完成。はじめての方も多いなか、「また来年もやりたい」という声が、自然と集まってきました。
港南台がある神奈川は、海・山・川・畑・都市が共存する、自然豊かな場所です。そんな土地だからこそ、季節とともにある暮らしや手仕事の風景を、大切に受け継いでいけたら。私たちが日々、何気なく手に取る“おいしい”には、どんな背景があり、どんな未来を支えているのでしょうか。
「おいしいって、なんだろう。」
その問いに向き合いながら、無印良品は“おいしいの、そのわけ”をこれからも見つめ続けたいと思います。
──そして、またこの季節に、みなさんと梅しごとで会えますように。
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