北垣さんは早朝に3隻で出港します。電波船と網船で八代海の中でも豊富な魚群が生息する上天草市龍ヶ岳町高戸漁場へ。リーダーの電波船を中心に2隻で1対の網船で魚群を囲うように網に追い入れながら船を走らせます。
イワシはいりこにすると鮮度の違いでハッキリと味の差がでます。それぐらいカタクチイワシは傷みやすいため、一気に水揚げし大量の氷を入れて素早く陸へと運びます。北垣水産は海に面したところに自社加工所を構えています。
カタクチイワシは死んでたったの1~2時間のものをいりこにすると腹が割れ赤くなります。このようにならないように、とにかく素早く水揚げをし、大量の氷で鮮度を保ちながら急いで工場へと向かい一気に加工します。
新鮮なカタクチイワシで作ると「へ」の字に丸くなり、腹が割れているものはありません。脂が乗っていない時期に作るものが上質で、身は引き締まり、加工しても銀色の皮がはげず、脂がないため酸化することなく綺麗で上質ないりこになります。
片口イワシの稚魚がちりめんじゃこなのですが、漁獲シーズンは年に二回(春:4月~6月、秋:10月~12月)。水揚げされたちりめんじゃこは新鮮なうちに自動釜でクルクルと迷路のお湯を回ることで一匹一匹に均等に熱が伝わりふっくらと茹で上げられます。
そこからさらに穏やかな潮風と天日干しで半日から丸一日かけて乾燥させ、ギューッと旨みが凝縮されます。ちょうどよい具合に乾燥したものを手作業で選別、酸化しないように脱酸素材を入れて丁寧に袋詰めします。