無印良品 名古屋名鉄百貨店では、EXHIBITION『土の声を聴くfrom瀬戸』という愛知県瀬戸市の“やきもの”に焦点を当てた企画展を開催しました。※終了しています
今回は企画の一環として現地イベント LOCALTOUR『土をめぐる旅 in瀬戸―加仙鉱山編―』 を実施。
瀬戸市に民間鉱山を持つ企業『加仙鉱山』さんを訪れ、実際に土の掘削を行っている現場を見学させていただく、非常に貴重な機会となりました。
私自身も現地イベントに参加し、瀬戸焼ややきものに使用する『土』の現状について、多くの学びがありました。
このおたよりを通してみなさんにもその一端をお伝えできればと思います。
【25年】
この数字が何を指しているか、ご存知でしょうか。
実は、やきものなどに使われる“白い土”が日本で採れなくなるまでのおおよその期間だそうです。※諸説あります
25年後、私たちが日常生活で使用している陶器や食卓に並ぶお皿が、今のように当たり前に目にできなくなるかもしれません。
さらに、現在流通している全国のやきものには瀬戸で採れる『蛙目粘土(がいろめねんど)』が使われていると言われています。
それほどに実用性の高く、欠かすことのできない素材にもかかわらず、その価値が評価され、価格に反映されているとは言いがたい現実があります。
「こうした実情を普段の生活の中で知る機会はなかなかありません。
だからこそ今回の企画を通してみなさんに少しでも知る機会になれば……」とお話されるヒトツチ代表の南慎太郎さん。
瀬戸市の魅力を発信するため、宿泊施設『Masukichi』を瀬戸で運営されています。
加仙鉱山へ向か道中では、瀬戸の街並みとともに、この地に根付いたやきものの文化について案内していただきました。
少し歩くだけでも建物の壁や足元に陶器やタイルがあふれ、町全体がやきものとともに栄えてきたことを実感します。
いよいよ『加仙鉱山』さんの見学へ。
株式会社加仙鉱山 代表の加藤さん。
『蛙目粘土』についてのお話をお伺いしました。
蛙目粘土は、白くて、可塑性や耐火性に優れ、
“やきもののために生まれてきた”といっても過言ではないほど、陶器づくりにとって最適な土です。
個人的に驚いたのは、最終的に粘土は天日干しで乾かした状態で出荷されるということ。
現在、製土業を行っている事業者は数えるほどしか残っておらず、加仙鉱山さんはやきものの文化を支える存在として奮闘されています。
鉱山見学へ向かいます。
その前に拝礼と御神酒(おみき)をするのだそう。
目の前にある鉱山が決して“当たり前ではない”ことに感謝します。
坂を下り採掘現場に立つと、先ほど上から見ていた光景とはまったく異なり、山の広大さに圧倒されます。
次は原土から粘土を製造する工場へ。
現在は作業工程の一部を他社に委託している為稼働していない機械も多く残されています。
長年の間使用されてきた機械の錆や塗装の剥がれ、修復を重ねてきた跡からやきものという産業の歴史の深さを感じます。
普段はこの広い工場を、わずか4人で運営しているそうです。
「一度、全部なくなってみないとわからない」
加仙鉱山の工場長を務める藤井さんが、ふと口にされていた言葉が強く印象に残っています。
もし土がなくなり、陶器がなくなったら。
お茶碗を使わずにご飯を食べる想像ができますでしょうか。
【当たり前の裏側を知るということ】
今回の参加者には、普段からやきものに携わる方が多くいらっしゃいました。
それでも、このイベントは私自身を含め、普段やきものに関わりのない方にも参加いただきたいと今回実際に参加して感じます。
毎日何気なく使っている陶器や磁器。
それが“どこで生まれ”、“どのようにして作られているか”を知ること。
それは、ものを大切に使うこと、そしてこれからの暮らしを考えるきっかけになるのではないでしょうか。
無印良品 名古屋名鉄百貨店