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【IDÉE TOKYO】UNDERSON UNDERSON デザイナー・中西孝史さん インタビュー

中西さんビジュアル

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2021/07/07

UNDERSON UNDERSONは和紙素材を使った商品を展開するアパレルブランドです。長い期間をかけて開発された新素材WASHIFABRIC®の機能性を活かし、無駄をそぎ落としたシンプルなデザインの洋服の数々は、時代に流されず、長く使い続けられるものを探している方の暮らしに寄り添います。

*WASHIFABRIC®
和紙繊維の研究開発をするITOI生活文化研究所が16年の歳月をかけて生み出した、新素材の和紙布。消臭、抗菌・防臭、吸水・速乾などさまざまな機能を備えており、伸縮性と強度にも優れている。蒸れにくく、濡れてもすぐ乾くことから長時間身につける肌着において、特にその特徴を感じることができる。

instagram @underson.underson
公式オンラインストア

今回はUNDERSON UNDERSONデザイナー・中西孝史さんにブランドについてお話しを伺っています。

―どのようなきっかけでWASHIFABRIC®を使うようになったのでしょうか。
弊社は女性向けだけで10を超えるブランドが存在しているのですが、そのうちのヨガ・ウェアブランドに提案いただいたことがきっかけでした。WASHIFABRIC®は消臭、抗菌・防臭、吸水・速乾、などさまざまな機能を備えています。とくに吸水・速乾のスピードは優れていて、コットン以上に速く水を吸収して乾きます。しかも環境にも優しい。この優れた新素材を、さまざまな素材のうちの1つとして使うのはもったいない、WASHIFABRIC®に焦点をあてたブランドでこの素材をより多くの方に知ってほしいという話になり、UNDERSON UNDERSONというブランドが新たに立ち上がりました。

私はこれまでストリート、モードのアパレルデザインをしてきました。そのうちに時代に左右されない、流されない、素材ありきでできることがやりたいと思いました。WASHIFABRIC®はそういう素材でもあります。

―中西さんも数々の素材をご覧になってこられたと思いますが、WASHIFABRIC®のような素材は初めて見たのでしょうか。
20年くらい前から和紙素材自体はありました。当時から珍しくて面白い素材でしたが、柔軟性に欠けていたのでなかなか日常着で欲しいという方はいませんでした。それから20年たちましたが、ITOI生活文化研究所が作った糸は進化しています。日本に現存する数少ない撚糸機の改造を繰り返して作られたのが、今のWASHIFABRIC®です。

 
糸巻き
WASHIFABRIC®を提案いただいたとき「ずいぶん進化したな、これだったら下着としても着られるな」と思いました。丸編みの機械で編立できるのがかなり驚きでした。糸に伸縮性がないと編立できないんですよ。糸井さんの熱意を感じました。

―WASHIFABRIC®を見た瞬間から「まずはアンダーウェアだな」と思いついたのでしょうか。
WASHIFABRIC®自体が持っている特性を活かすには、肌に直接触れるものがいいなと直感的に思いました。和紙を使ったアウターではなく、薄くて、臭いを取ってくれるインナー、アンダーウェア、あとは靴下やベビー用品とか。

 
ナロートライアングルブラトップ
(人気アイテムのひとつであるナロートライアングルブラトップ。締め付けすぎないフィット感と華奢なシルエットが、着け心地のよさとデザインのよさを両立させている)

 
前開きショートボクサー
(メンズアイテムのなかで人気なのが、この前開きショートボクサー。汗を吸い、早く乾くので、コットン素材の下着の蒸れが気になる方に特におすすめ。)

―WASHIFABRIC®はコットンや化学繊維と比較してもかなり違いますが、デザインする上で難しかったことや大変だったことは多かったのではないでしょうか。
難しいと言えば全部難しいです。染色、織り、編立など、工程のすべてにおいてとても繊細な糸なんです。強く引っ張りすぎると切れてしまうので、 “この糸で何ができるの?”と考えたときに織物、編物、パイル、ワッフルといったバリエーションがどこまでできるのかを知るには、試作を続けるしかありませんでした。

コットンってわりと何でもできちゃうんですよ。細番手から太番手までたくさん種類がある。けれどWASHIFABRIC®は他に種類がないから、生地にできるようになるまでには根気がいります。本当に好きな職人がやらないとだめなんです。作業効率次第でコストが出てくるので「1日に数mしか織れません」ってなると、効率が悪くてやってくれないんですよね。

こうして生地にするところがまず大変なので、苦労して作った素材に余計なことをせず、WASHIFABRIC®を最大限生かすためによりシンプルなデザインであることに集中してものをつくっています。

 
ダブルクロスSスリーブシャツ
(ダブルクロスショートスリーブシャツ 半袖より少し長めの六分丈が上品かつ落ち着いた印象)

―糸井さんのところで作られた糸を生地にしていくのは、また別の場所で作られるのでしょうか。
そうですね、丸編みは和歌山と一ノ宮、織物は富山県など、ものによって様々な産地でご協力をいただいております。特に尾州は変わったことを一生懸命協力的にやってくれる人が多いので、そちらをメインにして、今アンダーウェアで使っている薄手の生地を作っていただいています。

―その工場を探すのも中西さんたちご自身で探されるんですか?
僕の知っている工場もありますし、人とのつながりで知った場所もあります。現場に行くことも好きなんですよ。「こういうところでやってるんだ」っていうのを想像しながら作っています。
だからBUAISOUさんの展示を見て、今度一緒に何かやりたいなって思ったんです。本藍を使って製品にするって、かなり大変だと思うんですよね。徳島に行ってみたいと思っています(笑)
 
BUAISOUアパレル展示
(2021年6月18日から7月6日までIDÉE GALLERYで開催していたBUAISOUの展示。天然藍で染められたシャツや暖簾などが美しい)

―WASHIFABRIC®を藍染で染めたらどんな生地ができ上がって、それが中西さんたちの手でどのようなプロダクトになっていくのか興味があります。おもしろそうですね。

―トップスやインナーなどものによって生地自体や織り方も変わってくるのでしょうか。
はい、肌に直接触れるインナーやアンダーウェアは細番手で肌当たりが優しいものにしています。番手を変えるだけじゃなく、表裏も意識して変えています。Tシャツとか天竺の編み目って表と裏があるんですが、実は、あたりが良いのは表の方なんですよ。

裏って凹凸があるんですよ。綿だとわかりづらいんですけど、和紙だとそれが分かりやすく出るので、表が内側にくるようにするようにしています。

―最初はインナーから始まって徐々にウェアを作られていったのですか?
はい、そうです。ひとつの世界観を作るのにはシーズンごとのアイテムやカラーがすごく大事なんです。インナーだけじゃ表現しきれないので、羽織るものを作ったり、生活雑貨を作ったり。その流れで商品がどんどん増えていきました。

―これまでデザインしてきたものの中で思い入れがあるものはなんですか?
簡単に言うと全部です。全部思い入れがあって。だから特定のこれが、というよりは、今まで生み出してきたもののなかで苦労しなかったものはなかったです。

―今後ブランドでやっていきたいことはありますか?
今回のIDÉE TOKYOでのPOP UPと同じように、さまざまな場所で一緒にPOP UPを開催して、これまでUNDERSON UNDERSONのことを知らなかったお客様にも知っていただけるようにしたいです。

―WASHIFABRIC®という新素材を使ったUNDERSON UNDERSONのプロダクトがたくさんの方に知っていただけるよう、その魅力を私たちも広めていきたいです。今日はありがとうございました。


UNDERSON UNDERSON POP UPは7月19日(月)まで開催中です。ラインナップは公式instagramアカウント@underson.undersonより、インスタライブ見逃し配信でご覧いただけます。
6/25配信インスタライブ
7/1配信インスタライブ


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