2020年8月21日、今回は毎週土曜日に魚を届けてくれる大阪・岸和田漁港にふたたび行ってきました。
目的は、私たちに身近な大阪湾にはどのような種類の魚がいるのかを知りたかったからです。
大阪湾は、大阪平野と淡路島の間に位置する湾です。
大阪の別称である“なにわ”は“魚(な)庭”を語源とする説があるほど、古来から魚介類が豊富な海として知られていたそうです。
午後2時過ぎ。朝の5時から漁に出掛けた漁船の栄丸が帰ってきました。
船の近くには、おこぼれを貰おうと海鳥や猫たちもやってきました。
栄丸は“板びき網”と呼ばれる底びき網で漁をしています。2本のロープに結び付けられた開口板(かいこうばん)で網の口を大きく開け、下部におもりを付けた網で漁をします。
それでは獲れた魚たちで魚種を見てみましょう。
海の深さの中ほどにあたる中層域で大きな群れになって泳いでいる姿が想像できます。
■真あじ
『真あじ』の体はじっくり見ると、ピンクや青の色味がきれいです。
■真鯛
6月の訪問時には“たい焼き”ほどの魚体だった『真鯛』も大きく育っています。
■このしろ
大阪では『このしろ』と呼ばれますが、江戸前にぎりでは『こはだ』として有名です。
■ひいらぎ
『ひいらぎ』の口は通常は折り畳まれていますが、伸ばすと長くなるのが面白いです。
■ねぶと
大阪では『ねぶと』と呼ばれますが、正式名は『てんじくだい』。瀬戸内地方で愛されています。雄が口の中で卵を保護し、孵化させます。
■がっちょ
『がっちょ』は尻びれを見れば雌雄を見分けることが出来ます。黒いのが雄、白いのが雌です。
■じゃこえび
『じゃこえび』は頭が大きく額角が短く上にそっているのが雌。雌と比べて細くて小柄なのが雄です。わかりますか?
■ひいか
小型の甲いかの『ひいか』は防波堤からも釣れる身近な“いか”です。
■たちうお
名前の通り、まさに“太刀”の姿です。
『たちうお』は、急いで泳ぐときは体をうねらせながら水平に泳ぎますが、急ぐ必要のないときは頭を上にして直立しながらゆっくりと泳ぎます。
■えそ・いわし・ほうぼう・きす
いろいろな魚が入っているこの箱は“いろもの”と呼ばれます。『えそ』『いわし』『ほうぼう』『きす』がいます。『ほうぼう』が手を挙げて話しかけてくれているようです。
午後3時過ぎ。こちらも朝の5時から漁に出掛けた漁船の住吉丸が帰ってきました。
船のテーブルの上では『じゃこえび』が元気に跳ねています。
住吉丸は“石げた網”と呼ばれる底びき網で漁をしています。袋状の網の“けた”と呼ばれる両端に、おもりとして大きな石を付けているので“石げた網”の名前がついているそうです。その網で海底を引っ張り砂泥をひっかいて、おどろいて出てきた魚たちを袋網の中に取り込みます。
それでは獲れた魚たちで魚種を見てみましょう。
海底に住んでいるのが想像できます。
■舌平目
大きな『舌平目』です。フランス料理ではムニエルの材料としてして有名です。
■はぜ
写真の海に住んでいる『はぜ』と、河口域に住んでいる有名な『まはぜ』は異なる種類です。はぜの仲間は、日本に500種類近くもいる最も繁栄している魚のひとつです。
■こういか
『こういか』の別名は『すみいか』。いくらでも墨を吐きます。
■にし貝
『にし貝』に混じって『やどかり』がいます。見つかりましたか?
■ほうぼう・舌平目・あなご・真さば・たちうお
こちらも“いろもの”です。『ほうぼう』『舌平目』『あなご』『真さば』『たちうお』がいます。
いろいろな種類がいると天ぷらなどの料理に、小さな家庭で重宝されるそうです。
大阪湾は私たちの都市生活に近い距離にあるので、こんなにもたくさんの魚たちが過ごしている豊かな海とは思いもよりませんでした。
今回の訪問で、地元・大阪の漁師さんと更につながりが生まれました。また、いろいろな魚たちと出会うことで多様性を受け入れ、自然との共生も改めて考えなおす機会となりました。
これからもまだまだ海や魚たちに魅了され続けそうです。
栄丸さん、住吉丸さん、取材にご協力いただきありがとうございました!
無印良品イオンモール堺北花田 2020.09.04