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【堺北花田】“大阪湾・冬の海の打ち上げ貝観察会”に行ってきました|さかな屋のはなし#番外編5

【堺北花田】“大阪湾・冬の海の打ち上げ貝観察会”に行ってきました|さかな屋のはなし#番外編5

食のお便り/入荷情報

2021/02/17

 2021年2月11日、きしわだ自然資料館主催の“大阪湾・冬の海の打ち上げ貝観察会”に行ってきました。

 昨年の夏、私たちの身近にある大阪湾にはどのような種類の魚がいるのかを調べに岸和田漁港で漁師の方々に話を聞いてきました。今回はきしわだ自然資料館の学芸員の方々と一緒に冬の大阪湾に繰り出します。
 
【堺北花田】“大阪湾・冬の海の打ち上げ貝観察会”に行ってきました|さかな屋のはなし#番外編5

 場所は大阪府泉南市と阪南市の境を流れる男里川(おのさとがわ)河口。
 当日は気温が15℃、風もなく突き抜けるような晴天です。
 日差しに負けないように帽子をかぶり、長靴を履いて軍手を付けたら準備は完了。見つけた生き物をじっくりと観察するのに使うバケツを持って出発です。
 
【堺北花田】“大阪湾・冬の海の打ち上げ貝観察会”に行ってきました|さかな屋のはなし#番外編5

 足元を見ると、波で打ち上げられた貝殻や海藻でいっぱいです。満潮になった時に、ここまで波が来たことがわかります。
 
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 石にぐるりと付いた『マガキ』には“フジツボ類”が付いているのがわかります。このように興味深いものが、あちこちに転がっています。
 
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【堺北花田】“大阪湾・冬の海の打ち上げ貝観察会”に行ってきました|さかな屋のはなし#番外編5

 開始から1時間、自分の好きなものを拾い集めたのがこちら。観察しやすいように同じ種類のグループに分けます。薄い桜色がなんともかわいい『サクラガイ』や、グラフィック模様の『イボニシ』、殻皮が取れて真っ白になった『サルボウ』など個性豊かな姿の貝たちが見つかりました。

 ちなみに、水色のものは『シ-グラス』と呼ばれるガラス片です。波にもまれて角の取れて小片となり、とてもきれいです。しかし、人工物である以上はゴミなので単純に喜んでばかりはいられません。海の環境や仲間たちを守るために“ゴミはゴミ箱へ”を改めて、肝に銘じます!

■巻貝
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 続いて、みんなで集めた貝を種類別に分けて、自然資料館専門員の先生に説明してもらいます。

 巻貝は大部分が右巻き。〇印で囲った殻の頂点は生まれた時からもっている殻で、順に下の方に貝殻を大きく成長させます。この『アカニシ』で生後5年ほどだそうです。

■二枚貝
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 〇印が付いた『アサリ』をよく見ると穴が開いています。この穴は肉食の巻貝たちが中身を食べた証拠だそうです。抱きかかえるように二枚貝を捕まえて、酸で貝殻を溶かし身の部分を吸い取って食べていきます。海の中での熾烈な争いが想像できますね。

■ムールガイ
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 ヨーロッパの食材として有名な『ムールガイ』は、もともとは大阪湾には住んでいませんでした。外国から船に付いてやって来て、そのまま住み着いてしまうものも居るようです。

■『カクレガニ』の仲間
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 にっこりと笑った顔に見える甲羅の模様のカニは『カクレガニ』の仲間です。生きている姿が見られるのは珍しいそうです。私たちが牡蠣を食べる際に遭遇する“牡蠣が食べた蟹”と思い込んでいたのがこちら。

 雌は『カキ』の貝殻の中で共存しています。雄は海の中を自由に漂い、雌を見つけると貝殻の中に入り込んでくるそうです。

■ツノナガコブシ
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 大阪湾では比較的深い水深で生活する『ツノナガコブシ』がきれいな状態で見つかったという事は、最近に風が強い時があって打ち上げられたとわかります。

■モミジガイ
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 『ヒトデ』の仲間の『モミジガイ』が生きている状態で見つかりました!

■男里川河口干潟で暮らす生物
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 貝殻を拾った海岸のすぐ横にある男里川河口干潟に移動しました。規模は小さいながらも砂質や泥質が広がっています。潮が引いて干上がっているので、葦が広がっているのがわかります。
 
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 足元には無数の穴が空いています。これらはカニの住処。寒い季節は奥深くで静かに過ごしています。
 
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 ちょっと石をのけてみると『アシハラガニ』が見つかりました。
 他にも大きなはさみで手招きする姿がユニークな『ハクセンシオマネキ』の生息地でもあります。
 
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 『フトヘナタリ』は汽水性の貝。貝なのに水に長時間つかるのを嫌う個性的な生態です。大阪では絶滅危惧種に指定されています。
 
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 最後に拾った貝の保存方法を教えてもらいました。
 まずは海水できれいに洗い、新聞紙で3日間ほど包んで乾燥させます。その後にクレンジングクリームを付けると海で過ごしていた時のような鮮やかな色彩になるそうです。そしてラベルには名前、採集地、採集日を記入します。

 今回は学芸員さんが丁寧に手伝ってくださいました。ありがとうございます!
 
【堺北花田】“大阪湾・冬の海の打ち上げ貝観察会”に行ってきました|さかな屋のはなし#番外編5

 環境によって住む生き物の種類が違うので、打ち上げられた生き物を見れば現在の大阪湾の環境状態がわかります。今回の観察会でも、本来は南国の方で生息する貝が見つかることで海水温の上昇を確認しました。
 また、関西国際空港を造る際に工事で壊されそうになった干潟を多くのカニたちが守り、今でも昔のままの景色が残されていることも知りました。
 少し足を延ばして自然の中に入り込むことにより、自然が直面している問題に気付くこともあります。豊かな大阪湾を大勢の人たちと再生出来るように、小さなことからコツコツと行動を起こしたいと感じました。
 皆さんも是非、家族や友人、大切な人と一緒に美しい自然に繰り出して、生き物たちの声をきいてくださいね。
 
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 きしわだ自然資料館さん、男里川干潟を守る会さん、取材にご協力いただきありがとうございました!

きしわだ自然資料館
〒596-0072 大阪府岸和田市堺町6-5
072-423-8100

ホームページ https://www.city.kishiwada.osaka.jp/site/shizenshi/ 
 
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