こんにちは。
先日紹介した井口農園さんに続き、練馬区の農家さんをご紹介をします。
今回ご紹介するのは、『関口いちごファーム』さん。

名前に“いちご”とあるように、関口さんは、井口農園さんや、後日ご紹介する農家さんとは異なり、多品目ではなく単品目、つまり、いちごだけを育てている農家さんです。
関口さん「うちの特徴は、井口和喜さんのところや、この後行かれる農家さんとはちょっと違っていて、多品目から単品目に変えたところです。元々、井口さんみたいにキャベツ農家さんだったのが、今の時代に沿って多品目になった中で、うちは、多品目もやっていたんですが、あえて切り替えて、単品目のいちごだけにしたんです。」
3月の『東京野菜マルシェ』では、販売直後に完売し追加納品するほどで、4月のマルシェでも大人気だった、関口さんのとちおとめ。
関口さんのつくるとちおとめが、なぜあまくてコクがありおいしいのか、その理由を伺ってみました。(以下敬称略)

関口「いちごはイベント性が高く、特に3月に入って桃の節句が終わると、大産地の人は踏ん張りどころで、先端がちょっと赤くなったくらいで、冷蔵庫に入れ、古いものから詰めていって、自然に赤くなるのを待つんです。3月から4月・5月のいちごが何故すっぱいかというと、完熟しないうちのいちごを採っているからなんです。それが産地でやるのと地場でやる、大きな大きな差です。棚もちも、完熟で採ったほうが、間違いなくいいんです。」
スーパーに並んでいる大産地のいちごも、赤いものが多いので、実のほとんどが白いうちから摘んでいたとは知らず、とても驚きました。
『東京野菜マルシェ』で売っている関口さんのいちごはもちろん、ヘタの根本まで赤くなったものを、当日の朝に摘み、販売しています。
店頭に並ぶ直前まで、栄養をたっぷりもらって育ったからこそ、棚もちもよく、味もしっかりしたいちごを販売することができるのです。
関口「厳冬期は、福岡のあまおうさんに然り、静岡の紅ほっぺさんに然り、寒い状況でいい味がのって出荷してくるのですが、春先は、確実に産地よりは味も良くなる、棚もちもいいという評価をいただいてます。お客様の評価=味の評価=棚もちの評価、トータル的に考えて、この東京でつくっているいちごには、かなり魅力があると思います。」

『東京野菜マルシェ』を開催していて、地場の野菜や果物の、新鮮さ故の美味しさを知り、今ではスタッフもすっかり東京野菜のファンになっています。
また、来店する方の中にも、「次の開催はいつですか?」と、問い合わせがあるほどに、東京野菜のファンが、じわりじわりと増えています。
いちご農園といえば、いちご狩りが浮かびますが、いちご狩りは実施していない関口いちごファームさん。
––なぜいちご狩りをしないのでしょうか?
関口「うちはいちごの苗も作っているんですよね。いちごの苗っていうのは、3月から始まって、いちごに携わる期間が1年5か月あるんです。1年中ずーっといちごに携わっているものですから、ある意味、情が湧くというか、手入れもしなきゃいけない、病害虫が入らないように管理しなきゃいけないなど、大切に育ててるからこそ、いちご狩りに踏み込めないんですね。」

大切に育てているからこそだという理由に、ほっこりすると同時に、関口さんのこだわりが見え、より関口さんのつくるいちごに魅力を感じました。
高設栽培ではなく、土壌栽培にこだわっているのも、いちごのためのようです。

関口「作業効率を考えると、確実に高設栽培の方が腰の負担も少なく楽なのですが、土壌栽培の場合は、土に含まれているミネラル分により、味の深さやコクが出ます。その味の深さやコクは、高設栽培の培養では限度があり、出せず、そこが大きな差ですね。」とのこと。
最後に、都市農家の魅力や楽しさをお聞きしました。
関口「チャレンジができるのが楽しいですね。作った分売り切るのが農家の醍醐味。形がわるいのがあればジャムや加工用にしたら売れるとか、チャレンジができる。もう、いちごをつくるのが面白くて。次は収量あげようかとか、これやったら味が良くなるんじゃないかとか、日々考えるのが楽しくて、13年。苦しかったことももちろんありますよ。虫にやられたり、土中病気になって、ひどい目にもあったけど……販路があるから頑張ろうと思える。大変だけど、チャレンジできる日々は刺激ですよね。鮮度がいいもの、味がいいものを日々研究して考えながら、いちごと見つめあって話しあって……っていうことを繰り返すっていうのは、農家として幸せだと思っています。」
こんなにも楽しんで、いちごと向き合っているからこそ、あんなにも美味しいいちごができているのだなぁと、とても感銘を受け、納得するお話でした。
『東京野菜マルシェ』は毎月第2土曜日の開催で、5月は11日(土)に開催します。
5月も、3月・4月と同様に、関口さんがつくった、とちおとめが入荷します。

次回の農家さん紹介は、体験農園『大泉 風のがっこう』を運営していて、農場脇にレストラン『La 毛利』があり、様々なお野菜を育てている、白石さんのお話です。
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