東武動物公園駅前

【東武動物公園駅前】 ローカルヒーロー 蛭田秀人さん

蛭田さん

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2021/10/28


蛭田秀人さん 蛭田農園


草加市出身。

サラリーマンを11年間経験ののち、宮代町の「ルーキー農業塾」の2期生として参加し、3年間の農業研修を受ける。

現在は専業農家として活躍する。

有用微生物を利用した農法や不耕起栽培といった持続可能な農業を目指して活動している。

昨年からはメタン発酵を用いてエネルギーと肥料を作り活用を始めている。

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宮代で活躍する方へのインタビュー。

第2回は宮代で農業を始め、さまざまの取り組みにチャレンジし続ける蛭田農園の蛭田秀人さんに農園を案内していただきながら、お話をうかがいました。

蛭田さんと畑



―29歳、自分が本当にやってみたいこと
 

高校卒業後サラリーマンとして働いていたとき、29歳になり本当に自分でやってみたかったことについて考えます。

サーフィンやアウトドアが趣味で広大な海や土地に親しみがあり、職人的な仕事へのあこがれを感じていたことから、真っ先に農業を仕事にしようと思ったそうです。

青空の下ですがすがしい気持ちで仕事ができたら、とイメージが湧きました。日々大変なことはあるけれど、晴れやかな気持ちで農業を始めたことを思い出すのだそうです。

「今ここで変えるチャンス」

そのチャンスを農業に見いだしました。

ハウス


宮代で農業を始めた蛭田さん。宮代の好きなところは「人」、とすぐに答えてくれました。ご近所さんは、新しく農業を始めたよそ者にも温かく認めてくれる。頂いたもので生活ができてしまうくらい。と当時を振り返っていました。

育ててもらった分、自分ができることで返したい、と懐かしそうに話します。会う人がみんな知り合い。声を掛け合う関係性が気に入っているそうです。

業種を超えたつながりも次第に広がっていきました。福祉・教育・農業。町を変えていきたいと行動する人はみんな前向き、そんな仲間も増えていったそうです。

雑草




―「おいしい」野菜ではなく、「健康に育つ」野菜

お野菜


目指しているところは「健康に育つ野菜」。

もともと農家出身ではない蛭田さんは、化学農薬と化学肥料を使うことに漠然と抵抗があったそうです。植物自身が健康であれば農薬は必要なくなるはず。野菜を自然に近い状態で育てれば、野菜自身の守る力が強くなり、虫にも病気にも負けずに育つ。自然の環境の中で健康に育った野菜はきっとおいしい、その思いを実現したいと化学的なものに頼らない農業に取り組んでいます。

まず始めたのは土づくり。
バランスの良い生きた土を作るため、乳酸菌・納豆菌・酵母菌などの善玉菌を使った「微生物栽培」や、地域の捨てられてしまう有機物(もみ殻やコーヒーかすなど)を再利用する「地域循環型農業」にも力を入れています。

肥料


また微生物の力で、生ごみや収穫後の茎や葉などを発酵させ、バイオガスを発生させる再生可能エネルギーの利用も始めました。

発酵ガス



地域との連携も大切にしています。学校で飼育しているウサギの飼料として販売できないニンジンを届けたり、子どもたちと畑で活動するイベントを企画したり、それがきっかけとなり、子どもの食への興味につながっていけばと考えています。

目の前のことではない、子どもたちや地球環境のこと。蛭田さんは「その先」を見据えて日々の仕事に取り組んでいます。
 

畑



―農作物の声を聴く化学者
 

化学農薬を使うことをやめた現在も、何年も同じ畑で栽培していると病気や害虫が発生し、農作物が収穫できなくなるという連作障害に悩む蛭田さん。
実際に農業を始めてからは、農薬を使うことは仕方がないと思っていたそうです。
農薬を使うと病害虫に耐性がついていき、使いだしたらどんどん強いものを使わないと効かなくなっていくとのこと。
そこにせめぎあいを感じながら農業を続けています。
たった一度の農薬で今まで積み上げてきたものがリセットされてしまう。
今回の一作が上手くいかなかったとしても、次の作がよりよくなればという思いでいる、と現在抱えている苦悩を教えてくれました。

自分が学んだことを実際に活かしてみると、植物が応えてくれる。
ちょっとした化学者になった気分がおもしろい。食べた人がおいしいと言ってくれるのが一番ありがたいですよ、と

笑顔をのぞかせました。

笑顔


日々の仕事の中で変化を感じることにうれしさを感じ、学んだことを仕事に体現し、続けていく蛭田さんの農業。

取材をさせていただく前に、蛭田さんの野菜を買って何度もいただきました。

本当に、おいしい。

農業や化学に精通しないわたしたちも畑の柔らかな土や生き生きと育つ農作物に触れ、作り手の熱い思いを間近で知ることで、本能的に蛭田さんが作る物のおいしさの理由を感じ取れたような気がしました。

おいしいものに触れる。わたしたちはそんな幸せを当たり前に思いつつあります。
しかし、どんな人がどんな思いをもって作っているのか。それを知っていく必要があると思います。

 

●スタッフTのつぶやき●

インタビューの当日は湿度の高い晩夏。蛭田さんは大粒の汗をかきながらも、まっすぐにわたしたちを見つめながら丁寧に言葉を重ねてくださいました。途中から奥様の真由美さんも合流して一緒にお話をしていただきました。

ご夫婦の2ショットをメタン菌発酵機の前で。

ご夫婦


農業に対する思いを熱く話してくださる蛭田さんに続いて、それを優しく柔らかい言葉で包みこむように話す真由美さん。

そんなお二人の関係性がとても素敵でした。


蛭田農園の詳しい情報は下記リンクをご覧ください。
instagram @hirutafarm
facebook  蛭田農園


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