「ユカルヒ農園」の吉川貞雄さんは、元吹きガラス職人という経歴の持ち主です。吹きガラスというと手づくりグラスなど、私たちの身近な日用品をイメージしますが、吉川さんがつくっていたのは工業用のガラス製品で、イカ釣り漁船の集魚灯や電子管など。「エンドユーザーにもっと近いものづくりをしたい」とたどり着いたのが農業でした。
子育て真っ盛りの吉川さん夫婦が新規就農する地として決めたのが、奥さんの実家がある千葉県東金市。花農家さんから温室ハウスを引き継ぎ、いちごを育てることに決めました。
2024年で5作目という「ユカルヒ農園」、吉川さんは「毎年いろいろ試行錯誤してやっていますが、まだまだこれから」とハウス内を案内してくれました。
ハウス内では定期的にミストシャワーが噴射されて、いちごがキラキラと輝いています。温度管理をすることで光合成を促し、糖がより生成されるようになるといいます。そして、乾燥しないからいちごもツヤツヤとなんだかうれしそう。
また、千葉県のエコファーマーに認定されている「ユカルヒ農園」では、天敵をフル活用しています。粘着シートにつく虫をモニタリングし、特定の害虫を食べてくれるさまざまな虫を投入。さらにハウス内の各所にバンカープランツを置き天敵を定着させる、という好循環を生み出しています。
そんな「ユカルヒ農園」では、「品種の個性を楽しんでほしい」と、千葉県オリジナル品種の「チーバベリー」をはじめ、上品な香りが楽しめる「かおり野」や、まだまだ生産者の少ない新品種「スターナイト」など複数品種を育てています。
「完熟よりも少し酸味を残した味わいのいちごを目指しています。自分たちがおいしいと思えるいちごを届けて、みんなが笑顔に、そして良き日になるよう引き続き努力をしていきたいです」と語ってくれました。