山梨県東部の富士北麓地域一帯で織られていた織物は、かつて「甲斐絹(かいき)」の名を馳せ、明治~昭和初期には、羽織の裏地として全国へ流通し、海外にも輸出されていました。
そんな甲斐絹をルーツとし、生地を織る前の糸に染色を施してから織り上げる「先染め」は、プリント生地にはない光沢感が目を惹きます。
kichijitsuの製造を手掛ける「光織物」では、掛け軸用やお守り用の生地を受注生産しています。しかし、それだけでは立ち行かなくなり、地場産業の衰退に危機感を抱くように。
「掛け軸はそれ自体が主役ではなく、脇役なので地味なものが多い。和のテイストを残しながらも、これまでにない配色の小物を作りたかった」光織物の加々美琢也さんはそう話します。
カラフルで斬新な色遣いが印象的なご朱印帳のデザインは、大学院で染めの勉強をしていた、井上綾さんが担当。縁起物の代表ともされる「富士山」をはじめ、長命を意味する「蝶」、子孫繁栄を願う「猪」、男女の仲と開運祈願から「鹿」など、それぞれの柄の意味を大切にしています。
ご朱印帳として以外にも、文具のようにノートとしてや芳名帳として、また、写真を貼ったり、旅の思い出をスクラップするなど、使い方は自由自在です。