漁師の妻たちが作る万能調味料「ごまだし」

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諸国良品

2018/03/16

焼いたエソ類などの魚の身と胡麻をすり合わせ、醤油などを混ぜて作る、大分県佐伯市の調味料「ごまだし」。お湯に溶いて、うどんと一緒に食べる「ごまだしうどん」は、佐伯市の代表的な郷土料理です。地元では各家庭で「ごまだし」を手作りしますが、これを初めに商品化したのが「漁村女性グループめばる」。まき網漁で県内有数の漁獲量を誇る鶴見地区の漁師の妻たちで結成。代表の桑原政子さんは「水揚げ直後の鮮度抜群の魚で作れるのは私たちの特権」と話します。

ごまだしは、もともとうどんを作るのに出汁をとったり、味付けをする時間がないほど忙しかった漁家の女性たちが、豊かな魚の恵みを生かして考案した保存食。流れの早い豊後水道(ぶんごすいどう)が育てた魚を皮ごと焼き、身をほぐしてたっぷりのごまを加えて作るため、魚の旨味とごまの香ばしさが抜群です。

「原料がシンプルかつ素朴なだけに、調味料にもこだわって、多くの人に懐かしいと思ってもらえるようにこだわりました」と桑原さん。佐伯では“エソ”と呼ばれる白身魚を使うことが多いそうですが、主原料の魚の種類を変えることで、商品を多様化しています。「どこよりも新鮮な魚をどこよりもふんだんに使っているのが自慢です」。

漁村女性グループめばるが結成されたのは、2004年のこと。「水揚げされた魚で、小さなものや形が崩れたものが廃棄処分されている様子を見て、魚の命を大切にいただかないと」と、桑原さんは近隣の漁師の妻らに声をかけ、魚の移動販売からスタートしました。

そこで実感したのが、人々の魚離れが進んでいるということ。「少しでも多くの人に魚の食べ方を学んでほしい」と、その後は佐伯市の若い母親を対象とした「めばるの料理教室」も開始。魚の3枚おろしの仕方やごまだしの調理方法などを伝授しているといいます。

そうめんやお茶漬け、お味噌汁や卵かけごはんとも相性の良い、ごまだし。生クリームとオリーブオイルを加えてバーニャカウダソースとしても活躍してくれます。2014年9月には、10年間温めてきたごまだし料理のレシピ本を刊行。万能調味料としてのごまだしの可能性を存分に伝えています。

生産者紹介

  • 供給者画像:生産者名 合同会社漁村女性グループめばる

    生産者名 合同会社漁村女性グループめばる 詳細

    「日本の魚食文化を盛りたてたい」という想いのもと、豊後水道の魚を使った加工品の製造・販売を行うグループとして、2004年設立。「目がパッチリしてグラマラスなところが私たちに似ているから」と、名称の由来は魚のメバルから。最近では家庭で作られることが少なくなってきたごまだしを伝えるべく、子育て世代を対象とした料理教室を定期的に開催。代表の桑原政子さんは、「ごまだしに加えて、佐伯全体もアピールしていきたいですね」と語ります。

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