南房総の農村部では、背中の大きな竹籠に収穫した農産物や道具をいれて運ぶ農家さんが昔ながらの風景を今に伝えています。農業だけでなく、漁業にも用いられてきた竹籠は、軽くて丈夫で長持ちする便利な運搬具。
作り手が少なくなる中、友人がたまたま持っていた竹籠に興味をもったのが、「紅の実工房」の山口久美子さん。館山市に住む竹籠制作者のおじいさんを訪ねると、一緒に作ってみないかと誘われたのが制作の始まりです。
竹籠の素材は節と節の間が比較的長い「真竹(マダケ)」という竹の種類。竹工芸は、竹を選ぶ所から制作が始まっており、目利きの技術をもったおじいさんたちと協働して竹籠の制作を行っています。
ポイントは太く長く伸びた真竹を縦に割り、長さを残しながら細く薄く加工した「竹ひご」。傷がついて痛んだ箇所は除いて、注意深く一本一本割っていきます。この竹ひごがしなやかに曲がり竹籠の側面をなすのです。
技術を習得した山口さんは、より身近に竹籠を利用できるように様々な形を試してきました。竹籠は頑丈で軽いので、壊れやすかったり柔らかいものを運ぶのにぴったり。もちろん防腐剤や薬は一切使用していません。
特に昨今は、スーパーの袋を利用せずにエコバッグを利用して買い物をする方も増えています。そんなお買い物のお供に、竹籠はいかがでしょうか。