がっことは秋田弁で漬物を表す方言です。もともとその香りの良さから「雅香」と言われたのが語源という説もあります。いぶりがっことは燻した漬物という意味でスモーキーな風味が特徴です。
四方を山に囲まれた雄勝地区は、日照時間が短く、降雪の時期が早いため、家の梁に大根をつり下げ、囲炉裏の熱と煙を利用して干しあげて漬ける“でこ漬け(大根漬け)”が作られていました。
数100本の大根を高い天井の梁に持ち上げるだけでも相当な力仕事です。男たちで声を掛け合い天井に吊るした後は、5日間燻し続けます。
「小屋の中に焚き木台をどこに何個置くか、薪を何本ずつ燃やすか、木の種類は何を混ぜるかなど組み合わせは無限大です」。この木村さんの言葉に経験からくる知恵の奥深さを感じました。
網手の女性たちは大根の太さ長さを調整して、だいたい1束は7~8本の大根を編んで作られます。燻す男性たちばかりではなく、網手の女性たちも力のいる仕事です。
編む・吊るす・燻す作業は1週間ほどで終わり、干し上がった大根に米ぬかと塩を振り、2ヶ月漬け込み発酵させるといぶりがっこの完成です。素材そのものの自然の風味を感じていただけます。