人にも環境にも優しいオーガニック栽培、平松さんちの「木なり甘夏」

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諸国良品

2017/02/10

熊本県水俣市にある「平松農園」は甘夏ミカンを中心とした専業農家です。30年以上甘夏ミカンの栽培を続けてきた平松辰弘さんですが、娘のあきこさんと一緒に栽培をするようになった4年ほど前から、以前から疑問に思っていた農薬使用を止め、無農薬有機肥料栽培を行っています。甘夏ミカンは、中国原産の橙 (ダイダイ) が日本の土壌と改良を通じて食べられるよう変化した日本原産の柑橘類。「元々橙は免疫力に当たる花の香りが高く樹勢も強いため、農薬や化学肥料がなくとも健康に育ちたくさんの実をつけます。女性が安全に農作業をできて、子どもが安心して食べられるような、人にも環境にも優しい栽培をしていきたいと思っています」とあきこさんは語ります。

海の幸・山の幸に恵まれた水俣市。もともと人々は半農半漁で生活をしていましたが、1950年代に発生した水俣病以降禁漁となり、農業のみになっていたそう。そして、この時期にスタートしたのが甘夏ミカンの栽培です。

水俣地域では、自分たちが化学物質の怖さを知っているからこそ、周囲から無理だと言われていた甘夏ミカンの無農薬栽培に取り組み始めた人も多かったといいます。ただし、無農薬での栽培は販路の開拓含めて難しいのが現実で、現在無農薬で甘夏ミカンを栽培しているのは、農家のおよそ1割だとか。

そんな貴重な無農薬有機肥料栽培の平松さんちの甘夏ミカンは、果皮まで安心して使えるため手作りマーマレードの材料にも最適です。さらに、ミカンだけではなかなか経営が難しいなか、専業農家としてやっている珍しい存在の平松農園では、ミカンの花や青ミカンを有効活用して芳香成分を抽出する活動にも協力しています。

ミカンの花と青ミカンは同じ水俣市でオーガニックアロマやコスメを企画・販売する「ネローラ花香房」に提供。「ネローラ花香房」の代表・森田恵子さんは「散るに任せていた花や青ミカンを活用した甘夏ネロリの商品化は、栽培農家に副収入をもたらしたほか、 生産者の高齢化による耕作放棄地の有効利用にも寄与し、水俣の環境保全と地域振興につながっています」と話します。

通常1~2月のうちに収穫して定温倉庫で保存し、4~5月に出荷するという甘夏ミカン。しかし一番おいしいのはやはり木で熟す「木なりミカン」です。平松農園では、甘夏みかん本来の甘さと酸味とのバランスがとれたみずみずしいミカンを食べてほしいと、木に実を持たせるにはギリギリまで待って収穫します。

生産者紹介

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    生産者名 平松農園 詳細

    父母と娘の二世代で甘夏ミカンを中心とした農作物の生産に取り組む農家。平松辰弘さんと奥様は元青年海外協力隊として、それぞれバングラディッシュとネパールでの活動経験があります。そうした経験から、経済優先の社会の在り方に疑問を持ちながら農業を行い、生産者と消費者の心身ともに豊かな地域づくりについてもいろいろ取り組んでいます。