一面に並んでいるこの四角い土の固まりのようなものは菌床(きんしょう)と言い、ここからしいたけがにょきにょきと生えてきます。1回目の収穫ではぶわーっとたくさん生えたしいたけを間引きし、より良いしいたけができる状態にします。収穫が終わったら、水をたっぷり入れたプールに菌床を入れ、水を吸わせてから休養棟と呼ばれる部屋で一度休ませます。
菌床がなくなった棚はスタッフの方が歯ブラシなどを使って棚の裏側まで徹底的に磨き上げ、丁寧に洗います。栄養たっぷりの菌床はしいたけだけでなく虫も好みます。清掃は数ある業務の中でもより真剣に取り組んでいるそうです。2回目、3回目は1回目と比べると量は少ないですがその分栄養をたっぷりもらった立派なしいたけができます。
収穫を終えた菌床は廃棄となり、畑の肥料として地域の支援学校などに提供しています。しかし、提供するよりも廃棄される量が多く困っているのだとか。菌床の再利用についてもよろしい茸工房では一つの課題として問題解決に取り組んでいます。
収穫されたしいたけは、工房で選別を行います。割烹料理など、刻んだりせずにそのままの形で出されるようなしいたけで、かさが開いておらず、円の部分が切れていないのが特長です。 一方は炒めたり刻んだりして加工品として使いやすいしいたけ。どちらも全て手作業で、ひとつひとつスタッフの皆さんが選別しています。
そういえば、どうして『よろしい茸』なんですか?との取材スタッフの問いに、「おいしいよりよろしいのほうが馴染み深く感じたんよね。ほら、関西の人ってよろしいやんとかって言うでしょ」
今では名前の覚えやすさから、イベントでもよろしい茸を認知してくれている方が増えたのだとか。
大阪の真ん中にある西成でしいたけをつくることで、新鮮な状態で届けることができるし、なにより西成を盛り上げたかった。今では誇りを持っているし、自信をもって西成産ですと言える。と西成で始めた理由についても教えてくれました。
(記事:良品計画 藤林)