日本海側に面する新潟県。枝豆栽培が盛んな理由は、豊富な水源と良質な土壌に加え、夏場の日照時間が長いことが挙げられます。これらの条件が合わさり、枝豆の成長期にたっぷりと太陽の光を浴びることで、旨みと栄養のつまった枝豆が育つといいます。
そんな新潟県の三条市で200年続く農家が「堀川農園」です。お米をはじめ、トマトやナス、きゅうりなどの野菜を育てていますが、12代目の堀川竜輝さんが新たに始めたのが枝豆栽培でした。建設業に従事した後、2017年に就農した堀川さん。もともと野菜が苦手で唯一好きだった野菜・枝豆を育てることに。「1年やってみてダメならスパッと辞めようと思って始めました」
栽培を始めてみると、枝豆との相性がよかったと話す堀川さん。いくつかの品種を試してたどり着いたのが「陽恵」との出合いでした。別名「香り枝豆」とも呼ばれる陽恵は、茶豆のような香りと甘みを持ち、歯応えのある食感も持ち合わせた味わい。堀川さん自身が惚れ込んだ枝豆でした。
一般的に、栽培時期に適した品種をリレー形式で切り替えながら続ける枝豆栽培ですが、堀川さんは陽恵のみに絞って栽培を続ける農法を生み出しました。長い期間出荷するために、苗に極力栄養を与えすぎないようにして、枝豆自体の生命力を高めるという独自の栽培法です。収量は1/3程度に減ってしまうそうですが、その分味を優先。肥沃な土壌から栄養を実にしっかりと溜め込み、色鮮やかでぷりぷりの豊かな実入りの枝豆に育つといいます。
惚れ込んだ陽恵のおいしさを伝えたい、と堀川さんがもう一つこだわるのが夜明け前の早朝に収穫すること。枝豆は「鍋にお湯を沸かしてから採りに行け」といわれるほど、鮮度が命の作物です。繁忙期には午前2時頃から収穫作業をスタートし、睡眠もそこそこに出荷作業に勤しみます。
「枝豆は熱を持ってしまうと風味が飛んでしまうので、涼しい時間帯に収穫して、最高の状態でみなさんにお届けしたいと思っています。届いたらできるだけ早く茹でて、冷蔵庫で冷やしてから食べてみてください。甘さが際立ち、はじけるような食感も楽しめますよ!」
枝豆に見える産毛は、新鮮さの証。堀川さんが丹精込めて育てた渾身の味わいを食卓でぜひお楽しみください。