この缶詰は、島根県の山間部で製造しています。少子高齢化、ハンターの減少などの理由でイノシシが里に下りる頻度が高くなり、農作物被害が深刻化。せっかく作った農作物を守りたいという想いから、イノシシの捕獲と利用を1999年から開始しました。
捕まえたイノシシは、里山を荒らす厄介者ですが、同時においしく食べることができる自然の恵みでもあります。イノシシを食べることで自然の循環を回し、地域経済も守り、里山の保全を実現することが私たちの想いです。
野生のイノシシは、同じ環境、餌を食べて育つ家畜とは異なり、獲れた時期や性別、年齢、その年の山の恵みによっても、肉質にばらつきが生じます。そういった個体差をうまく活用するために、調理済みのお料理を詰めた缶詰の製造を始めることにしました。
私たちが作る缶詰は、夏に捕獲したイノシシのバラ肉や、スジ肉、ウデ肉を使います。脂身が少ないため、流通には乗りにくい肉なのですが、旨みが濃く煮込み料理にはとても適しています。
美郷町では、おおち山くじらをきっかけして、様々な集いの場ができました。缶詰製造を行うのは、廃園となった地域の保育所、調理は地域のお母さんたちです。人が集い、商品を作る。地域住民が役割を持って活動することで生きがいを感じることができます。
自然からの大切な恵みであるイノシシ。肉はもちろん、いただいた命を残さずすべてを使い切ることが大事だと考えています。皮はレザー商品に、内臓はペットフードや飼料に利用することで、いただいた命を無駄にせずに使い切るようにしています。