「羽毛ふとん」はどうやって生まれ変わる? リサイクルの仕組み

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おたより/無印良品の活動

2025/09/25

2010年から衣料品のリユース・アップサイクルの取り組み「ReMUJI(リムジ)」を中心に、資源循環の取り組みを続けてきた無印良品。2025年3月からは、衣料品に限らず、資源循環の活動全般を「ReMUJI」と定義し直し、リサイクル対象商品の幅をさらに広げています。「羽毛ふとん」もその一つで、2024年12月から店舗回収が開始され、今後より力を入れていく予定です。とはいえ、羽毛ふとんのリサイクルって何をしているの?そんな素朴な疑問を、循環推進部の永戸順也さんに聞いてみました。
取材と文・山賀沙耶

回収して終わりではなく、自社の羽毛製品にリサイクル

——数あるアイテムの中で、羽毛ふとんをリサイクル対象にしたのはなぜですか?

永戸順也さん(以下、永戸):無印良品の資源循環の取り組みは2010年に衣料品から始まっていて、繊維素材のリサイクル・リユースに関してはかなり仕組みが整ってきた。では、次にリサイクルすべきファブリック(※1)は何かと考えたときに、販売量も多い羽毛ふとんではないか、という事になりました。 

※1:ファブリック:家具、衣類、カーテン、寝具など布地を使用したもの。
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また、羽毛ふとんに使用する羽毛は海外から輸入されています。リサイクルすることにより、廃棄物を減らす(※2)とともに輸送にかかるCO2排出量を削減することができ、環境保護の観点でも良いのでは、と。

※2:使用後の羽毛布団の多くは、廃棄され焼却処分されています。

 

——羽毛ふとんのリサイクルの流れを教えてください。

永戸:お客さまがお店に持ってきてくださった羽毛ふとんを集めて、リサイクル工場へ持っていきます。工場では、羽毛ふとんを品質ごとに仕分けして、中の羽毛をきれいに洗浄した後、もう一度商品としてよみがえらせ、再びお店に並び、お客さまにお届けしています。

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回収した羽毛ふとんをリサイクル業者に渡して終わりではなく、再度商品にして自社で販売するところまで責任を持って行っているのが特長ですね。

リサイクル羽毛と新毛、品質や価格はどう違う?

——リサイクル羽毛と新毛で、違いはありますか?

永戸実はさほどないんです。確かに、長年使用する中で皮脂やほこりの付着は起こりますが、丁寧に洗浄し、適切な処理を行うことでよみがえりますずっと使えるのが本来の羽毛の性質なんですよ。

むしろ、洗えば洗うほどにおいが抑えられ、一般的には新毛よりもきれいになると言われていて、リサイクル羽毛だから品質が劣るという事はないと思います。

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洗浄前(左)と洗浄後(右)のリサイクル羽毛。洗浄することで羽毛がふんわりとよみがえっている。

 

——リサイクルにはコストがかかるイメージがあります。価格に影響はないのでしょうか?

永戸:リサイクルの羽毛ふとんだからといって、必ずしも商品の価格が上がるわけではありません。実は今、新しい羽毛を手に入れるのが世界的に難しくなっており、貴重な資源として扱われています。

それらの背景もあり、羽毛を洗浄する方が、新しい羽毛を使用するより安価な調達が可能です。

また、リサイクルの活動が広がって、今後回収量が増えれば増えるほど、さらにコストは下がっていく。無印良品は資源循環の活動に本気で取り組んでいこうとしているので、たとえ最初に多少コストがかかったとしても長期的に続けていこうと考えています

 

——自社商品以外のものは回収していますか?

永戸:自社商品のみ回収していて、それには理由があります。ひと言で羽毛ふとんと言っても、会社によっていろんなものがあって、例えば羽毛の使用量一つをとってもまちまち

羽毛ふとんの詰め物には羽毛(ダウン)と羽根(フェザー)を使用するのが一般的で、無印良品の羽毛ふとんは羽毛を70〜85%使用していますが、その割合は会社によって違うので、適切にリサイクルできるとわかっている自社商品だけを回収対象にしています

粗大ごみにせず、次の人にバトンタッチできる

——羽毛ふとんのリサイクルにはいつから取り組んでいますか?

永戸:2024年の12月から一部のお店で回収を始めました。2025年8月から、実際の商品にリサイクル羽毛を使いはじめています。商品説明にも『無印良品で回収した羽毛を一部使用しています』と表記していますよ。

 

 

——回収を始めて、お客さまからの反応はありますか?

永戸:羽毛ふとんは一般的には粗大ごみ扱いで有料です。「ReMUJI」では、それを無料で回収でき、しかも次の商品につながるので、お客さまにも喜んでいただいています。季節の変わり目や買い替え時にお店に持ってきてくださる方も多いですね。

 

——羽毛ふとんのリサイクルに関して、今後取り組んでいきたい事はありますか?

永戸:リサイクル目的で回収した羽毛ふとんの中には、まだまだきれいなものもあります。分解してリサイクルまでしなくても、そのままリユースできるものもあり、そのほうがコストも環境負荷も少なくて済みます

今後の展望としては、羽毛ふとんのリユースをもっと進めていきたいです。2025年3月にオープンした奈良県のイオンモール橿原店では、すでにリユースの取り組みを始めていて、それをさらに全国に広げていきたいと思っています。

全国48店舗で羽毛ふとんを回収中

——回収のルールについて教えてください。

永戸:2025年9月現在、全国48店舗の無印良品の店頭で羽毛ふとんの回収を行っているので、そこに持ち込んでいただきます。持ち込むときはそのままでも、ビニール袋などに入れていただいてもOKです。

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無印良品で販売している羽毛掛けふとん全サイズが対象で、羽毛以外のふとん(ポリエステル綿、羽根まくら、ダウンジャケットなど)は対象外です。汚れや穴あきがあっても回収できますが、濡れているものは回収できません

お持ち込みいただいたお客さまには、MUJI GOOD PROGRAMのポイントを1回につき10ポイントを付与しています(1日1回限り)。無印良品の羽毛ふとんを廃棄するときは、ぜひ回収にご協力いただけるとうれしいです。

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