「金継ぎ」と「ダーニング」で手放しかけた大切なものがよみがえる | 無印良品リペアカフェ部【修繕編】

「金継ぎ」と「ダーニング」で手放しかけた大切なものがよみがえる | 無印リペアカフェ部【修繕編】

おたより/手をうごかすよろこび 無印DIY部

2025/10/16

刺繍、工作、絵、料理……自分の手をうごかして何かを作ることに没頭していると、散らばっていた思考が少しずつ整っていき、ざわついていた心がすとんと落ち着く。作ることは自分と向き合う、豊かなこと。
5回目は「自分たちの持ち物をより永く使い続ける」をモットーに無印良品社内で立ち上がった「リペアカフェ部」が登場。部員のTさんとYさんに意外と(!?)簡単にできる「金継ぎ」と「ダーニング」のコツを教えてもらいました。
(取材・荒木にこ 撮影・表萌々花)

リペアカフェ部とは?


「金継ぎ」と「ダーニング」で手放しかけた大切なものがよみがえる | 無印良品リペアカフェ部【修繕編】

2025年9月より無印良品の社内で、有志による部活動として、資源循環への意識を広める取り組みとしてスタート。
誰もが挑戦できるリユース・リサイクルを目的としたワークショップや会合を行っている。現在メンバーは約70人以上!

部員Tさん/2017年に入社し、現在は循環推進部に所属。大切に集めていたコレクションが破損したのをきっかけに金継ぎをはじめたそう。
部員Yさん/2024年に入社し、現在は商品計画部に所属。糸と針を持ち歩き、会社の休憩中のほか、移動中(!)もダーニングをするのが習慣。


今回は修繕編。割れてしまったお皿、欠けたカップ、穴の空いたセーターや靴下……。もう使えないと思って手放してしまうもの、ありませんか?  実は、諦めていたものでも“見せる修繕”によって、新しい価値を与えられるんです。今回は、意外にも簡単にはじめられる「金継ぎ」と「ダーニング」の方法をコツを伝授。

接着剤で手軽に!器に愛着が湧く金継ぎ

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「茨城県水戸市の店舗に配属された時期に、地元の器の作家さんと出会う機会があり、そこから焼き物の魅力に引き込まれていきました。手元にコレクションが増えていくと同時に、自分はおっちょこちょいなのでうっかり割ってしまうこともあって……。決して安価なものでもなく、また直接購入しているから作り手の顔も浮かぶ作品ばかりで、破損した器をどうにかできないかと思ってたどり着いたのが“金継ぎ”でした。やってみたら自分で手を加えて直すせいか、これまで以上に愛着が湧くんです。普段は、漆で修繕しているのですが、今回は1時間半ほどでできる接着剤で貼り合わせる方法を紹介します」(部員Tさん)

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<修繕するもの>

  • 陶器の器

<材料>

<作り方>

①まず、割れた断面の角をヤスリで削る“面取り”の作業から取りかかる。

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②割れた断面に接着剤を塗り、破片をあわせる。ズレないようにしっかり合わせたら、マスキングテープで固定。そのまま接着剤が乾くまで、約1時間ほど放置。

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③乾いたのを確認後、表面にあふれた接着剤を「左利きでも使いやすいカッター」で削り、表面をなめらかにしていく。

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④大きく欠けた部分には、補填するようにパテを多めに塗布する。5分ほどして乾いたら、③と同様に表面にはみ出たパテをカッターで削っていく。

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⑤細い筆を使って、内側と外側の繋ぎ目に金を塗っていく。

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⑥両面に金色の線が引けたら、24時間ほど乾かして完成。

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大胆な割れも、美しい模様のように生まれ変わる。意図した形でないからこそ、唯一無二の表情に。

新たにデザインを加えるダーニング

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続いては部員Yさんがダーニング(衣類の穴やすりきれを修繕する針仕事)について紹介。
「もともと一つものを大切に手入れしながら、長く使うのが好きで。靴下のつま先に穴が空いたら、昔はつまんで縫い合わせて直していました。でもそうすると生地が吊って、履き心地も見た目もあまりよくなくて……。そこで数年前にダーニングの本を買って挑戦してみたら、これが意外と簡単で!  布を重ねるような感覚で塞いでいけるので、仕上がりもかわいくて気に入っています。私は、赤×青の糸を選ぶことが多いけれど、さまざまな色の組み合わせで印象ががらりと変わるのも面白い。なにより、修繕を通して自分ならではのデザインを楽しめるのが魅力です」(部員Yさん)

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<修繕するもの>

  • セーター

<材料>

<作り方>

①セーターの穴の部分の下敷きに、電球をいれる。カーブしたものなら代用可。2色の糸をそれぞれ、肘から指先くらいの長さにカットする。

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②①でカットした片方の糸を、穴を塞ぐように縦方向に通していく。穴が隠れたら余った糸はそのまま垂らしておく。

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③今度はもう一方の糸を横方向に通す。織物の要領で、糸を交互に重ねていく。全面を覆ったら②同様に余った糸はそのまま垂らしておく。

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④縦糸と横糸で塞いだあとは、残していた糸を四角く縁取るようにさらに織り込んでいく。

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「金継ぎ」と「ダーニング」で手放しかけた大切なものがよみがえる | 無印良品リペアカフェ部【修繕編】
内側の様子。縁取るように糸をしまうことで、玉結びをしなくてもほつれない。

⑤余った糸をすべてしまえれば完成。

「金継ぎ」と「ダーニング」で手放しかけた大切なものがよみがえる | 無印良品リペアカフェ部【修繕編】
隠すのではなく、見せるのがダーニング。異なる糸を使うことで、作業時にわかりやすい上に、デザイン性も高まる。

「金継ぎ」と「ダーニング」で手放しかけた大切なものがよみがえる | 無印良品リペアカフェ部【修繕編】_2dHpBG
こちらは、応用編。靴下をよく修繕するというYさんは、模様と同じキノコを手縫いで施した。スタンダードな四角い形だけでなく、さまざまなアレンジ方法があるのだそう。
「金継ぎ」と「ダーニング」で手放しかけた大切なものがよみがえる | 無印良品リペアカフェ部【修繕編】_H1G40p
ちなみにこちらは次回、「加工編」に登場する別の部員Kさんがダーニングしたトートバッグで10年もの。表面の刺繍だけでなく、擦れてしまったハンドル部分も糸を巻いて強度を復活させたのだそう。

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