私たちが古くから慣れ親しんでいるウールは、羊の毛です。羊は世界に3,000種類以上いると言われていますが、その毛を繊維として活用しているのはメリノ種をはじめとした数十品種です。その中で、無印良品が注目したのがアンデスウールでした。標高3,800~4,800mという高地の厳しい自然環境で育まれたアンデスウールは、かさ高な膨らみと弾力性を持っています。
自然と畜産動物と共存するアンデスの人々
アンデス山脈は南米大陸の西側を縦断する長大な山脈で、高度によって豊かな地形と生物多様性を生み出します。このうち、ペルーの標高3,800~4,800mという寒暖差が激しく乾燥した厳しい自然環境にある牧場に、アンデスウールを生み出す羊たちがいます。
この羊を育てているのは、古代インカからつらなる伝統を大事にするアンデスの人々です。石垣の段々畑でとうもろこしやジャガイモなどの農作物を育て、羊やリャマ、アルパカといった畜産動物たちと生活をともにしてきました。
しかし近年、世界的なアルパカの毛の需要拡大にともなって、これまで育ててきたアンデスウールの消費が落ちてきていました。無印良品では、未利用素材の積極的な活用を進めてきた経験を活かし、このアンデスウールを使うことで、現地の産業を再生し、羊とともにあるアンデスの人々の伝統的な暮らしを支えることができるのではないかと考えています。
厳しい自然が育む 特徴的なウール
アンデスの厳しい自然環境は、ここにしかない特徴をもったウールを生み出しました。寒暖差が激しく乾燥した環境で育つ羊の毛は、しっかりと太く長いため、アンデスウールのかさ高でふっくらとした素材感につながります。
また、アンデスウールに限らず、ウール繊維に特徴的なのが「クリンプ」と呼ばれる縮れです。ウールは2種類のたんぱく質で作られているため、その2つの収縮差が細かく波打つような形状を作ります。このクリンプによってできた空気の層が外気を遮断するため、ウールには断熱作用があり、暑さや寒さを防ぐ機能を持つ理由となっています。
無印良品では、これらの特長を生かした暖かなセーターを揃えています。
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