「整いすぎない、派手すぎない。“ちょうどいい”は一日にしてならず」キム・ヨンウンさん

「選び続けた先に見えたのは、シンプルの中に宿る私の個性」キム・ヨンウンさん

おたより/部屋は私でできている

2025/11/09

緑を眺めているとき、あるいは友人や家族を呼んで過ごすひととき。家や部屋にはその人が大切にしてきたものが集積し、いわば年輪のようにその人の生き方や変化が刻まれている。力まず、少しずつ、居心地のよい空間をつくってきた人と部屋のこれまでとこれからを紹介。

今回は、韓国・ソウルで暮らすキム・ヨンウンさんの家へ。大都市で働きながら、自分のペースを大事に暮らすキムさんのマンションには、無印良品の家具や家電、日用品がたくさん活躍しています。整いすぎても、退屈。派手すぎても、落ち着かない。使い手の個性を引き立てる無印良品のアイテムが、心地よい生活を支えている、というキムさんの自宅を訪ねます。
(取材・浦本真梨子 撮影・松沢みお)

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キム・ヨンウン
大邱出身。2017年からソウルで自分の空間を育てながら会社生活を続いている、8年目のデザイナー。
SNSでは日常のライフスタイルを記録しながら、無印良品のアイテムを活用したインテリアなどを紹介するクリエイターとして活動している。
YouTube:jelly universe
Instagram:@jellyjellly


私に“ちょうどいい”を探して。

「整いすぎない、派手すぎない。“ちょうどいい”は一日にしてならず」キム・ヨンウンさん
キッチンと居室がひと続きになったワンルーム。玄関の扉に掛けている氷の吊り下げ旗は日本を旅したときに購入したそう。
「整いすぎない、派手すぎない。“ちょうどいい”は一日にしてならず」キム・ヨンウンさん
キッチンとリビングを仕切るのは無印良品の「ステンレスユニットシェルフ」。

人口約1,000万人を抱える韓国・ソウル。最新のトレンドが街のあちこちで生まれるカルチャーの発信地でありながら、路地裏の食堂や市場では昔ながらの雰囲気が残り、人の温もりを感じさせてくれる。エネルギーに溢れた都市の中で働き、暮らすこと。そこではどんな日常が営まれているのだろう。今回訪ねたのは、UIデザイナーとして企業に勤めるキム・ヨンウンさん。彼女の住まいは、繁華街から少し離れた静かな住宅地にある。

「同じ敷地に二つのマンションが建っていて、その一つの棟に友達が暮らしていたんです。彼女の家を訪ねたときに、“ここ、いいな”と思って、引っ越しを決めました」

都会での一人暮らしでは、友達が近くにいると安心感がある、とキムさん。彼女の家は一人暮らし用の間取りとしては珍しく、正方形の形をしている。

「縦長の家に慣れていたので、最初は家具が置きにくいなと思っていましたが、奥行きと幅が同じくらいだから、自由なレイアウトを試せて、個性が出しやすい。ネガティブだと思っていたところが、今ではこの家の魅力のひとつになりました」

部屋の中で最も長く過ごすのは、光がやわらかく入るダイニング。最近レイアウトを変えて、キッチンのそばにテーブルを移した。

「以前は窓際に置いていたんですが、キッチンの近くに置いたら、家事の流れが自然になって。愛用しているテーブルとチェアは、どちらも無印良品のものです」

キムさんは小柄な体格のため、一般的な椅子では足が浮いてしまうことも多いという。

「このチェアは重心が低くて安定感があるから、長く座っていても疲れにくいんです。一人のときは二脚を並べてソファのように、友人が来たときは向かい合わせにして使います」

実はこの椅子、中古サイトで偶然見つけたもの。
「気に入りすぎて、この椅子に合うテーブルを新品で買いました」

キッチンにはステンレスのユニットシェルフがあり、収納としてだけでなく、リビングとのゆるやかな仕切りにもなっている。

無印良品の家具や家電、日用品。どこを見ても、彼女の暮らしのそばにはその存在がある。

シンプルだから、自分の色を重ねられる。

「整いすぎない、派手すぎない。“ちょうどいい”は一日にしてならず」キム・ヨンウンさん
最初に買った無印良品は寝具。今も大事に使っている。持っているアイテムの中で、一番長く使っているアイテムです。(2018年に購入)
「整いすぎない、派手すぎない。“ちょうどいい”は一日にしてならず」キム・ヨンウンさん
無印良品の商品説明シールは小さなファイルに入れて大事に保管。

2017年、故郷の大邱(テグ)からソウルに移り住み、一人暮らしを始めてから頻繁に無印良品を訪れるようになったキムさん。

「最初は寝具を買ったのを覚えています。それから、数年に一度のペースで引っ越しをしてきました。新しい家に合わせて、家具や日用品を買い足したり、手放したりする中で、常にどんな空間にもなじむ無印良品のアイテムが自分の生活に寄り添ってくれていると感じて。シンプルだから、自分の色を重ねられる。人と同じアイテムを使っていても、使う人次第でまったく別の雰囲気になる。そこが好きですね」

そして、よく見ると、アイテムのいくつかは商品説明シールを貼ったまま。

「外国人の私の目から見ると、無印良品の商品説明シールは情報や文字というより、ひとつのイメージとして映るんです。プロダクトにシールが添えられた状態こそが完成形に感じられる。だから、剥がさずにそのまま使っています」

グラフィックデザインを専攻してきたキムさんにとって、商品説明シールの文字や紙の質感さえ、暮らしを彩る要素になっている。

「洋服についているタグもスプーンの持ち手についた小さなシールも、グラスの底に貼られた丸いラベルも。どれもかわいくて、捨てられずに保管しています」

“好き”を通して、つながっていく。

「整いすぎない、派手すぎない。“ちょうどいい”は一日にしてならず」キム・ヨンウンさん
一人で鍋料理を食べる時のちょうどいい「深型ホットプレート」。
「整いすぎない、派手すぎない。“ちょうどいい”は一日にしてならず」キム・ヨンウンさん
食品ストックのケースには「手作りキャラメルプリン作りキット」と「炒めキムチ」、「カボチャ&小豆茶」など韓国の無印良品のオリジナル商品も。

「炒めキムチの缶詰やかぼちゃとあずきのお茶、パウチに入ったナムルとか。無印良品の韓国オリジナル食品も多くて、常にストックしています。日本の友人たちへのお土産としても人気ですね。先日は無印良品で購入した抹茶プリンを作って動画で紹介したら、すごく好評でした」

こんなふうに写真を撮ったり、動画を編集したりして、無印良品のある生活をSNSで共有しているキムさん。最近、反響が大きかったのが、日本で購入した深型ホットプレート。

「韓国で売ってないアイテムだから、“どこで買えるんですか?”と質問がたくさんきました。1人暮らしにちょうどいいサイズ感で、よくこれで鍋をしています。これに、たこ焼きプレートが付いていれば完璧なのに」と笑うキムさん。

SNSの発信を通じて、新しいコミュニケーションも生まれるという。

「無印良品の投稿ばかりしているから、日本のスタッフの方から『店員さんですか?』と連絡をもらったこともあります(笑)。その後、やり取りを重ねていくうちに、仲良くなって、実際に会ったこともあるんです」

無印良品を愛する人同士が、国境を超えてつながっていく。その不思議な繋がりに、「無印良品を好きな人に悪い人はいない気がする(笑)。好きなものが一緒というのは安心感があります」とキムさん。

一人暮らしの部屋は、心を充電する場所。

「整いすぎない、派手すぎない。“ちょうどいい”は一日にしてならず」キム・ヨンウンさん
もともとあった押し入れにハンガーラックを取り付けてクローゼットに。「ポリエステル麻 ソフトボックス フタ式 L」にはキャップやバッグなどを入れている。
「整いすぎない、派手すぎない。“ちょうどいい”は一日にしてならず」キム・ヨンウンさん
押し入れにカーテンを取り付けて、目隠しに。
「整いすぎない、派手すぎない。“ちょうどいい”は一日にしてならず」キム・ヨンウンさん
家族で行った慶州の写真を壁に。目に見える場所にあると、家族と過ごした幸せな時間を思い出せる。

今の家はそれなりに築年数を重ねているため、壁紙には年季が入っていた。そこで、自分でクロスを貼り替えたという。

「一人で作業したので、よく見ると皺が寄っているところがありますが(笑)」

そして、一面に備え付けられた押し入れも自分仕様にカスタマイズ。

「最初は押し入れをどう使っていいのかわからなくて、うまく活用できなかったんですが、それはもったいないと思って。webで日本の押し入れの活用事例を見ていたら、いろんなアイデアがあって、参考になりました。ちょっとしたアイデアで、暮らしの風景がやわらかくなるんだなと実感しています」

少しずつ、工夫を重ねながら、住まいを整えてきたキムさん。
壁には家族と旅したときの思い出の写真を。ベッドサイドには季節の花を忘れずに。
この家では家事をして、寝るだけではなく、自分を癒す場所にしたいという。

「毎朝、通勤ラッシュに揺られて、会社に着く頃にはヘトヘト(笑)。でも、1日仕事をしてどんなに疲れても、家に帰ってくると、家族や友達と過ごした楽しい時間を思い出せる。そして、植物の世話をしていると、自分のことをきちんと大事にしている気がします」

ソウルというエネルギーに満ちた都市の片隅で、静かに息づく、ひとりの暮らしのリズム。

「この家にいると家族の愛情や友人とのつながりを感じられる。心を充電できる場所なんです」


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