暮らしのQ&A
“まだ早い?”と思ったら読みたい、冬用インナーの始めどき

2026/10/18
取材と文・菊池美里
さとう・まりこ 文化学園大学服装学部、同大学院生活環境学研究科教授。お茶の水女子大学大学院人間文化研究科人間環境学専攻博士後期課程修了。博士(学術)。著書に『カラダにきくキモノ』(監修)、被服学事典(分担執筆)、衣服の百科事典(分担執筆)など。専門は衣服の快適性と機能性。
冬用インナーの始めどきは11月前後

毎日を快適に過ごすために、アウターだけでなくインナーも季節に合わせて変えることが当たり前になっているけれど、具体的にいつ頃から取り入れるのがベストなのでしょう?
「朝晩が冷え込むようになり、夏に暑熱順化した身体がうまく適応できず“寒暖差疲労”に陥っている人も多いのではないでしょうか。冷えの影響を強く感じやすくなる秋口からは、体温を一定に保つために冬用のインナーを上手に取り入れていくのが良いと思います。
着用開始のひとつの目安として、最高気温が20℃を下回り始めた頃(10月下旬)から薄手の保温インナーを準備し、最高気温が15℃前後に至る頃(11月上旬)にかけて本格的なあったかインナーへ移行していくのがスムーズです。ただ気温の感じ方には個人差がありますので、汗をかきやすい方や暑がりの方は、最高気温が15℃を下回るくらいまでは、羽織りものなどで調整する方が良いかもしれません」(佐藤真理子さん談/以下同)
寒さを感じるのは気温の影響だけじゃない?

気温を目安に冬用インナーを取り入れるのはベストな判断ではありますが、実は私たちが寒さを感じるとき、気温以外に様々な要因が関係していることは意外と知られていません。
「気流、気化熱、輻射熱(ふくしゃねつ)も、寒さに大きく影響しています。
気流の影響で、風が強く吹けば体感温度は必然的に下がります。また、汗や不感蒸泄※など皮膚表面の水分が蒸発する際に熱を奪う“気化熱”も体感温度に影響します。乾燥した環境では水分が蒸発しやすいため、湿度が下がって乾燥する秋冬にはより肌寒さを感じやすくなるでしょう。
そしてもう1つ、大きな影響を及ぼすのが輻射熱です。あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、温度の高い物体から低い物体へ、電磁波によって熱が伝わる現象を指します。室内にいて壁や窓の温度が自分の体温より低いときには、身体から壁や窓へと熱が奪われるため、たとえ室温(空気の温度)が高くても肌寒さを感じることになります」
※発汗などのように自分で気づくことなく、皮膚や呼吸(呼気)から自然に水分が蒸発して失われる現象のこと
綿の冬用インナーはとっても優秀

寒さを決める3つの要因は、体感温度にも影響を与えます。そこで活用すべきなのが冬用インナーなのです。最近では素材や機能が多様化し、目的に合った冬用インナーを選ぶことができるようになった反面、種類が多すぎてどれを選んだらいいのかわからないという声も。
もし肌触りのいい優しい素材の冬用インナーを求めているなら、コットン素材を選んでみてはどうでしょう。
「ご存知の通り、綿は吸湿性・吸水性にすぐれ、肌触りがやわらかい素材です。日常使いのインナーとして広く親しまれています。
専門的なお話をすると、綿の繊維の中心には「ルーメン」と呼ばれる空洞状の構造があります。この空洞があることで軽くてやわらかい感触が生まれ、中に空気を含むため高い保温性を発揮します。
さらに、綿繊維自体が水分(水蒸気)を引きつける優れた吸湿性を持つことに加え、ルーメンや繊維の微細な隙間から液体の汗を吸い上げる“毛細管現象”によって、高い吸水性も備えています」

冬用インナーはフィット感も大事

素材はもちろん、冬用インナーは体にフィットしたものを選ぶのも重要なポイントなのだとか。
「寒さ対策としてまずすべきなのは体幹部を温めること。インナーは体にフィットするものを選んでしっかりと体幹部を温めてください。また腹巻きのようなそっと押さえる程度の優しい圧は、安心感も得られるのでオススメです」

「冬用インナーの上に重ねる衣服は、ぴたっとしすぎず、適度な余裕があるものを選びましょう。人間は、皮膚と衣服、衣服と衣服の間にある微環境の温度・湿度・気流の状態を最適に保つことで、外が寒くても快適に感じることができます。これは“衣服内気候”を快適に保つための基本的な工夫です」
無印良品の冬用インナーをお試しレポ

ちなみに無印良品には、今年で3年目を迎える綿100%※の『あったか綿』という冬用インナーがあるのはご存知でしょうか?
※一部対象外商品あり
吸湿発熱性を高めた綿を使った人気のシリーズで、今シーズンは定番の薄手で暖かい『あったか綿』、厚みのある『あったか綿 厚手』、そしてウールとの混紡素材『あったか綿 ウール』の3種類での展開。
ここではエディター(身長167cm・体重54kg)が、3種類それぞれ(Mサイズ)を実際に着て本音でレポートします。初めての『あったか綿』シリーズの着心地はいかに?
あったか綿 Uネック八分袖Tシャツ グレイッシュブラウン


今まで化繊の冬用インナーしか着たことがなかったのですが、綿100%でこの伸縮性とフィット感には驚きました。しなやかに体にフィットして着心地がとても良いです。脇に縫い目がない丸胴仕様なので、肌当たりが気になりにくいのも嬉しいですね。寒がりなので10月中から着ようと思っているのですが、タンクトップやキャミソールもあるので、その2点から始める予定です。
あったか綿 厚手 クルーネック長袖Tシャツ ライトピンク


手に取ったときは薄手とそこまで差を感じませんでしたが、実際に着てみると、1枚で着られるカットソーのように肉厚でしっかりとした生地でした。インナーとしてだけでなくカーディガンの下に着用しても違和感がないので幅広い使い方ができそうです。さらに裏起毛が施されているので肌触りもやわらかく、着ていて癒されます。
あったか綿 ウール タートルネック長袖Tシャツ アイボリー

もっちもちの肌触り! 肌が喜んでいます! 厚手タイプと同様に裏起毛が施されているのですが、こちらの方がさらにふわふわ&やわらかい。一度着たら脱ぐのが嫌になります。かなりの冷え性で毎年困っていたのですが、今年の冬は『あったか綿 ウール』シリーズで乗り切れそうな予感がします。クルーネックも買い足します!


