旅とMUJI
「キャリーケースは現地の食材でいっぱい。旅はいつもの道具をコンパクトに」| 携帯用発泡ウレタン石けん置き、携帯用シリコーンコップ ほか

2026/04/06
第1回は、ヴィーガンフードを提案する〈SUNPEDAL〉の小池陽子さん。世界中の “おいしい” を求めて各地を巡る彼女が選ぶのは、使い手のアイデアを限定しない、無印良品のフラットで実直なアイテムたち。
(取材と文・山田さとみ 撮影・リン・イーリン)
小池陽子(こいけ・ようこ)
ヴィーガンフードクリエイター。1990年、宮城県生まれ。ファッション業界での経験を経て、独学で食の道へ。2018年より、特定の国籍にとらわれないシュールなヴィーガンフードを提案する〈SUNPEDAL(サンペダル)〉を始動。乳製品や卵、白砂糖を使わず、各地の市場で出会ったスパイスやハーブ、発酵調味料を多用する独創的なスタイルを確立する。 〈森、道、市場〉〈FESTIVAL de FRUE〉などフェスへの出店や、アパレルブランドの展示会ケータリングなど、その活動は多岐にわたる。
Instagram:@sunpedal
旅は、自分をアップデートする“呼吸”
墨田区・立川を拠点に、ヴィーガンフードを提案する〈SUNPEDAL〉主宰・小池陽子さん。彼女の作る料理は、従来の「菜食」のイメージを鮮やかに覆す。スパイスやハーブを自在に操る多国籍な味わいは、食べる人の心に新しい風を吹き込むエネルギーに満ちている。
「ケータリング業から始めた〈SUNPEDAL〉ですが、2024年秋に店舗を構えてレストラン営業もスタートしました。でも、今も変わらず毎月のように地方出店を続けています。自分のお店があると、どうしてもインプットのためだけに時間を作るのが難しい。だから、別のチームの一員として働かせてもらえる機会は、客観的に自分を見つめ直せるし、よそのいいところを毎回吸収させてもらえるので、大切にしています」

そんな小池さんの料理のインスピレーションの源を探ると、「旅」という生き方に突き当たる。 彼女にとって旅は日常の延長線上にあり、各地の空気に触れ、感性を研ぎ澄ませることで自分をアップデートし続ける、呼吸のような存在だ。
常に仕事モードで、頭が休まる暇がないという小池さんにとって、店舗を持たずに活動していた頃、旅に出ることは唯一オフを作るための切実な手段でもあった。
「東京にいると、どうしても仕事のことばかり考えてしまう。でも、物理的に自分のキッチンから離れてしまえば、できることが限られる。そうやって強制的に環境を変えることで、ようやく気持ちを落ち着かせることができたんです。それが、自分にとってずっと必要な時間でした」

いつどこでも、自分の生活軸は崩さない。
小池さんが旅をするとき大切にしているのは、現地の未知なる刺激を楽しむ一方で、「自分の生活の軸」は手放さないこと。トラベル専用の使い捨て製品は選ばない。調味料や化粧品など、体や肌に触れるものは、日常の愛用品を工夫して携行する。
たとえば、彼女が長年の悩みだったと語るのが、石けんの持ち運びだ。
「髪も顔も体も、すべて固形石けんで洗うのですが、扱いにはずっと困っていました。水に濡れた石けんって、どうしてもドロッとして漏れやすい。でも最近、携帯用発泡ウレタン石けん置きを見つけて、その悩みが劇的に解決しました。中にスポンジが入っているから、水分を切ってそのままパッとしまえる。これひとつで済むので、荷物がグッとコンパクトになりました。旅からの帰り道、わたしのキャリーケースはいつも現地の野菜でパンパン(笑)。だから、少しでもスペースを空けておきたいんですよね」

海外製の大きな歯ブラシを収めるために見つけたのは、意外にもナイロンメッシュペンケース マチ付だった。歯みがき粉や舌クリーナーといったケア用品も収まり、何よりメッシュ素材の通気性のよさが、旅先での清潔感を保ってくれる。
「このペンケースのポケットに、携帯用シリコーンコップがぴったり収まるんです。旅先で使い捨ての紙コップを使わず済むよう、持参しています。友人の家やAirbnbに泊まることも多いので、シンデレラフィットするこの2つのアイテムさえあれば、どこでも自分専用の洗面所を作ることができるんです」


料理という、共通言語で繋がる世界。
どこへ行ってもいつもの道具を携え、現地の食材で料理をする。
そんな小池さんの旅のスタイルを紐解くと、宮城県の田舎町で過ごした幼少期に行き着く。海外出張が多かった父親は、現地で食べたおいしい記憶を、自宅のキッチンで再現してくれた。
「父は、アメリカのブルーチーズと自家製クルトン入りのシーザーサラダや、ノルウェーのロブスターのブラックビーンズソース炒めなど、当時の宮城の田舎では手に入らないような材料をどうにか仕入れて、世界の味を再現してくれました。海外から遊びに来るお客さんも多く、彼らが料理を振る舞ってくれることもありました」

その経験が、どこへ行っても物怖じしない、旅人としての素養を形づくった。旅先では国境を越えて友人を作り、スーパーマーケットへ行き、現地の食材で料理を振る舞う。小池さんにとって、料理は世界と繋がるための最強のコミュニケーションツールだ。
「飛行機で隣り合わせた人と意気投合して、旅の最終日にお礼として料理を振る舞うなんてことはしょっちゅうあります。現地のレストランでスタッフと仲良くなれば、わたしの滞在先に招待して手料理を出し、彼らがワインを持って遊びに来てくれたり。そうやって、どこの土地へ行っても、いつの間にか友だちが増えていくんです」

直感を信じた、しなやかな旅の在り方。
小池さんは、自身の料理を語るとき「ヴィーガン」という言葉をあえて強調しない。ヴィーガンだから食べるのではなく、純粋においしいと感じる心の動きを大切にしているから。
それは、彼女の生き方やモノ選びにも通じている。環境に良いからと義務感で選ぶのではなく、使いやすいから、心地よいからという自分の直感を信じて、道具を選び、場所を選び、人と出会う。
そんな彼女のしなやかな振る舞いは、無印良品のアイテムが持つ実直な機能美とも深く共鳴している。
「旅の準備だけじゃなくて新生活を始めるときも、具体的に何が必要かまだ見えていないときに、とりあえず無印良品に行けば、何かしらアイデアが見つかるんですよね」と彼女は言う。
そうして自分を整える道具が揃い、心身の呼吸が深まったとき、また新しい出会いが訪れる。
「これからも、さまざまな出会いを掛け合わせた旅をしていきたいですね。自分の直感を信じていれば、いい出会いがあったとき、迷わず飛び込んでいける。そうやって、自分の可能性をさらに広げていきたいです」

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