夜の時間がより自由に。「カフェインレスコーヒー」を試してみたら

夜の時間を自由に、より豊かに | オーガニックコーヒー カフェインレス

おたより/レビュー

2026/06/11

食と料理、おしゃべりが大好きな、エッセイストのマッシさん。
日本に住み始めて20年。イタリア料理も、日本のグルメもこよなく愛するマッシさんに、おすすめの食品を試してもらいました。今回は、『オーガニックコーヒー カフェインレス』の豆、粉、ドリップ、カフェオレベースです。
(文・写真/マッシミリアーノ スガイ)
マッシミリアーノ スガイ
マッシミリアーノ スガイ
エッセイスト。1983年イタリア北部ピエモンテ州生まれ。2007年に日本に移住し、日伊通訳者の経験を経てからフードとライフスタイルライターとして活動。
日本食文化の面白さや魅力、グルメの紹介などの記事とエッセイを年間約400本執筆。
著書に『イタリア人マッシがぶっとんだ、日本の神グルメ』(KADOKAWA)などがある。

僕にとってコーヒーは、血液のようなもの。イタリアで生まれ育った人間にとって、エスプレッソは日常の絶対的な主役であり、生きるリズムそのものだからだ。朝、バールのカウンターで店主と短い挨拶を交わし、濃厚な一杯をクイッと飲み干して一日を始める。仕事の合間に、あるいは食事の締めくくりに、あのガツンとした苦みで脳を覚醒させる。それは人生を駆動させるためのエネルギーのよう。

日本に渡って20年、僕は「カフェインレスコーヒー」という存在を、どこか遠巻きに眺めていた。カフェインを抜いたコーヒーなど、炭酸の抜けたシャンパンや、塩のないフォカッチャのようなものではないか、と。どこか物足りず、味も香りも妥協された「代用品」というイメージが、どうしても拭えなかったのだ。

しかし、無印良品のこの4つのパッケージ「豆」「粉」「ドリップ」「カフェオレベース」を自宅のテーブルに並べ、その封を切った瞬間、僕の頑な偏見は、わずかな驚きとともに消えていくことになった。

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妥協のないアロマが、夜の部屋を満たす

平日の夜、デスクでの執筆仕事がひと段落した午後10時。かつての僕なら、ここでコーヒーを飲む選択肢はなかった。イタリア人と言え、真夜中に強いカフェインを摂取すれば、その後に待つ穏やかな睡眠の質を損なってしまう。しかし、僕の心と舌は、あの焙煎された豆の香ばしさを求めていた。

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そこで、無印良品の『オーガニックコーヒー カフェインレス 豆』をミルにかけ、じっくりと手で挽いてみる。ガリガリと小気味良い音が響くと同時に、部屋の空気が一変した。広がったのは、通常の深煎り豆と何ら変わらない、力強く、どこか甘やかで芳醇なアロマだ。

ホンジュラス産の有機認証豆を100%使用し、カフェインが97%カットされたコーヒーを一口飲む。最初にやってくるのは、芯のある心地良い苦み。そして、その後を追うように、すっきりとした爽やかな酸味が鼻を抜けていく。ボディもしっかりとしていて、口当たりがとてもなめらかだ。目をつぶって飲めば、これがカフェインレスであるとは誰も気づかないだろう。

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無印良品のコーヒーの見事なところは、その味わいのクオリティだけでなく、僕たちのくらしのゆらぎに合わせた「」「」「ドリップ」、濃縮タイプの「カフェオレベース」と、4つの選択肢を用意してくれている点にある。

少しだけ心に余裕がある夜は、豆を挽く贅沢に浸る。しかし、明日も早い、あるいは疲れて指一本動かしたくないような夜には、「ドリップ」の出番だ。カップにセットしてお湯を注ぐだけで、部屋の中に静かなカフェの特等席が現れる。道具の後片付けを気にしなくていい手軽さは、夜の時間をより豊かで自由なものにしてくれる。

そして、日本の蒸し暑い季節の夕暮れや、お風呂上がりのリラックスタイムに、僕を虜にしたのが『カフェオレベース 無糖』だ。

グラスに氷を満たし、このカフェオレベースに冷たい牛乳をそっと注ぐ。白と茶色の液体がゆっくりと混ざり合い、美しいマーブル模様を描く時間を眺めるのが好きだ。3倍に希釈してもしっかりと主張するコーヒー豆の深いコク。無糖だからこそ、ミルクの自然な甘みが引き立ち、まるで贅沢なドルチェを味わっているかのような満足感がある。カフェインレスであることを完全に忘れてしまうほどの濃厚なコクは、一日を頑張った自分への、これ以上ないご褒美となる。

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くらしの主導権を取り戻す、静かなる意思表示

このコーヒーたちが教えてくれたのは、無理に飾る必要のない、等身大のくらしの心地良さだ。
僕たちは毎日、社会的な役割やタスクに追われ、常に「外の時計」に合わせて生きている。しかし、一日の終わり、無印良品のカフェインレスコーヒーを淹れるときだけは、その時計を止め、自分だけの時間を生きることができるだろう。

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