無印十年物語
「もっと生きるのが上手になりたい。そんな私を支えてくれたアロマディフューザー」小菅くみ(刺繍作家)

2026/01/11
今回は、刺繍作家として人気を集める小菅くみさん。夢中になればなるほど、深夜まで針を動かし続けてしまう小菅さんの暮らしに、そっと息継ぎの時間をつくってくれたのが、超音波アロマディフューザーでした。
(写真・小菅くみ 取材と文・浦本真梨子)
小菅くみ
こすげ・くみ 刺繍作家。人物や動物の繊細な表情までを刺繍で表現している。繊細な中にどこかクスッと笑えるような作品を生み出し、様々なイベントや個展を開催。美術作品の他、アパレルブランドとのコラボレーション、衣装、広告、メディアなどその発表の場は多岐にわたる。著書『小菅くみの刺繍~どうぶつ・たべもの・ひと~』(文藝春秋)。サウナ通いがライフワーク。
Instagram:@kumikosuge
“枠と針と糸さえあれば、ベッドの上でもできる”。そう思い、入院生活の気分転換として、20代前半で始めた刺繍。作品を発表するうちに、ファニーな世界観が話題になり、あっという間に人気刺繍作家になった小菅くみさん。刺繍は大好きなことだからと夢中になる一方で、製作には膨大な時間がかかる。締め切りに追われ、夜中まで作業を続けることも珍しくない。
「製作は深夜を過ぎることも多く、『さぁ寝よう』と思ってもアドレナリンが出てしまって、なかなか寝つけない。でも、無印良品の超音波アロマディフューザー(本文中の製品は以前のモデル。リンク先は現行モデル)に精油を入れてベッドに入ると、自然とオフモードに入る。明かりの柔らかさもちょうどよくて、そろそろ休もうって体に教えてあげている感じです」
超音波アロマディフューザーと出合ったのは、商品が発売されたばかりの頃。
「もともと香りのアイテムが大好きで、家でお香を焚いたり、ルームスプレーを使ったり、アロマストーンを置いていたりしていたんです。ある時、無印良品に行くと、店中がすごくいい香りで、すごく気になって」
当時の小菅さんにとっては、少し背伸びをする買い物だった。何度も店舗に通っては棚の前で立ち止まり、ようやく決心して自宅に迎え入れた。
「家で使ってみてびっくり。自宅は店舗より狭いから、スイッチを入れるとあっという間にいい香りが満ちて、『買ってよかった!』って心から思ったのを覚えています」
好きな香りは、ユーカリや柑橘、ヒノキなど。その日の気分でアロマを選ぶ。
「夜は気分を緩めてくれて、朝はシャキッと目覚めさせてくれる。メイクをしながら香りを楽しむこともできる。同じディフューザーなのに、使うシーンで役割が変わるのもいいですよね」

ここ十年を振り返ると、小菅さんは「だんだん生きるのが上手になった」と笑う。
「今でも友達から“休まなすぎだよね”って言われるくらい動き回っていますけど、10年前は、もっと頑張らなきゃって常に力が入りっぱなしだった気がします」
寝る間を惜しんで誘いを優先。フットワークの軽さが自慢だったが、仕事もプライベートも常に忙しく、疲れ果てて帰宅し、むなしくなることもあった。
「今より若かったのに、いつもクタクタ(笑)。でも、歳を重ねていくうちに、行かなくていい場所や頑張らなくていい場面が分かるようになってきた。楽しいかどうかをちゃんと選べるというか、力の配分が上手になったんだと思います」
小菅さんを楽にしてくれたのは、サウナとの出合いも大きい。一人で仕事をしていると、どうしても行き詰まることもある。そんな時、上手に気分転換できるのが、サウナだった。
「10年くらい前、サウナ好きの友人に勧められて、タナカカツキさんの『サ道』を読んだ通りにサウナに入ってみたら、びっくりするくらい頭がスッキリして。やり場のない怒りや悲しみみたいな感情もうまく手放せる場所だと感じたんです」
モヤモヤしたらサウナに行く。落ち込んだらサウナに行く。「サウナに行けば大丈夫」という自分ルールができてから、生きるのも仕事を続けるのも、ぐっと楽になったという。
「サウナに行けないときは、家でアロマディフューザーを炊いて、サウナ気分を味わっています。ミストが立ち上る感じがロウリュみたいなんです。あと、友人のミュージシャン・とくさしけんごさんの『ミュージック・フォー・サウナ』をかけると、心が落ち着く。あまりにリラックスして、5〜10分で眠くなっちゃって最後まで聴けないのが申し訳ないんですけど(笑)」。
壁にかけられた無印良品の壁掛式CDプレーヤーは、音楽を聴くために欠かせないアイテム。深澤直人がデザインした名作だ(現在は終売。無印良品を代表するブロダクトとして紹介いたします)。
「家の壁が白なので、このCDプレイヤーが自然となじむ。主張しすぎないデザインなんだけど、CDがくるくる回っているのを見ているだけでも楽しい気分になります」
以前、音楽を聴くのはストリーミングが多かったという小菅さん。最近、推し活を始めたこともあり、好きなアーティストのCDを聴く楽しみも日常に戻ってきた。
「CDを再生する機会が増えて、このプレーヤーがあってよかったなってしみじみ思います。十年以上経っても壊れないし、飽きないし、生活にちょうどいい距離感でいてくれます」

そして、超音波アロマディフューザーやCDプレイヤーと同じくらい長く付き合っているのが、「マンスリースケジュール帳」。
「予定も、アイデアも、全部手で書きたいタイプ。なので、手帳はずっとアナログ派なんです。文字を打ち込むより、書いたほうが頭に残るし、アイデアも膨らむ気がして」
見開きで1カ月が見渡せること、後ろにメモスペースがあること。小さすぎず、大きすぎず、バッグにもすっと収まるサイズ感が気に入っているという。
「打ち合わせには必ずこの手帳を持って行きます。メモには、打ち合わせで決まったことや、刺繍の図案のラフをささっと描けるので便利。表紙に名刺入れを付けているので、この手帳ひとつ持っていけば忘れ物がないんです」。

十年前の手帳を開くと、その頃の自分が何に悩み、どんな仕事に取り組んでいたかが、一瞬で蘇る。
「当時はがむしゃらで、疲れてるのに止まれなくて。今、見返すと、『よくやってたね』って声をかけたくなるんですけど、その時の精一杯がちゃんと残っているのが愛おしいですね」。

なんとなくの付き合いをやめた分、今はもっと純粋に好きなこと、新しい世界に飛び込めるようになった。
「『やってみたい』と思えるものに出合えること自体がすごく幸せだなと思っていて。だから、興味のあることは我慢したくない。年を重ねるごとに、どんどんアクティブになっているけど、本当に好きなことだからあんまり疲れを感じないですね。楽しみに力を惜しみたくないから、休む時はとことん自分を緩める。その切り替えを支えているのがアロマディフューザーだと思います。頑張りたい自分も、ちょっと立ち止まりたい自分も、どちらも肯定してくれる存在です」。
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