名古屋名鉄百貨店

【名古屋名鉄百貨店】LOCALTOUR『土をめぐる旅in瀬戸ー瀬戸本業窯編ー』|イベントレポート

器の写真

イベント・地域情報/イベント

2026/01/27

無印良品 名古屋名鉄百貨店では、EXHIBITION『土の声を聴くfrom瀬戸』という愛知県瀬戸市の“やきもの”に焦点を当てた企画展を開催しました。※終了しています。
この企画展に伴い、12月13日(土)にはLOCALTOUR『土をめぐる旅in瀬戸-瀬戸本業窯編―』を実施しました。
 
本イベントでは、250年続く歴史ある瀬戸焼の窯元『瀬戸本業窯』を訪れ、自然の恵みでできた土や釉薬を使ったものづくりの文化について教えていただきました。
瀬戸市出身の私も参加し、地元で有名な“やきもの”について、改めて新たな学びや発見を得ることができました。
このおたよりを通して、瀬戸について少しでも興味を持ってもらえたらうれしいです。
 
窯垣の写真


集合後、瀬戸本業窯へ向かう道中では『窯垣の小径(かまがきのこみち)』を散策しました。『窯垣』とは、使い古した窯道具を積み上げてつくられた塀や壁のことで、その窯垣が約400m続く細い路地を『窯垣の小径』と呼びます。
 
 
南さんが説明している写真


「この窯垣は、やきものを大量につくった証しであると同時に、やきものの町に生きる人たちの道具への慈しみでもあります。」
こうお話しくださったのは、ヒトツチ代表の南慎太郎さん。

 
南さんのお写真

南さんからも、このイベントを通して瀬戸への深い愛情が伝わってきました。
 
窯垣の小径を抜けて瀬戸本業窯に到着すると、瀬戸本業窯 八代後継の水野雄介さんが温かく迎えてくれました。


 
水野さんのお写真


水野さんは、【暮らしに寄り添った手仕事】を大切にしながら、日々作陶に励んでいます。

 
はじめに水野さんからお話いただいたのは、『民藝(みんげい)』と『民藝運動』について。
民藝運動とは、1926年に思想家・柳宗悦(やなぎむねよし)らによって提唱された生活文化運動のこと。彼らは、名もなき職人の手から生み出された日常の生活道具を【民藝(民衆的工芸)】と名付け、美術品に負けない美しさがあると唱えました。
 
 
水野さんが説明している写真


「私の祖父である六代・水野半次郎は柳宗悦の民藝思想に感銘を受けたことをきっかけに、瀬戸本業窯の器も、華やかさより実用性を重んじるようになりました。瀬戸本業窯では、今でも長く使い続けられることを大切にしてきた民藝の精神が息づいています。」
私は水野さんのお話を聞き、時代の変化とともに美しさは変容していきますが、民藝のように変わらない美しさも存在するのだと実感しました。
 

その後、登窯(のぼりがま)を見学しながら、焼成方法について説明を受けました。
登窯とは、斜面に沿って複数の焼成室を階段状に連ねた窯であり、上からみた焼成室は房の形をしているため連房式(れんぼうしき)とよびます。

 
登窯の写真
連房式登窯


この連房式登窯こそが『本業窯』。1979年まで使用されていました。
下段から上段の窯に向けて火を焚いていき、何日もかけて焼成を行うとのこと。

窯の中の位置や炎の当たり方によって、1つ1つの器が異なる表情に。機械による大量生産が主流になった現代において、瀬戸本業窯では手づくりかつ複数の窯で一気に焼き上げる“中量生産”を強みとしています。
 
最後に、陶器づくりに使われている土と釉薬についてお話を伺いました。
 
粘土の写真
 
瀬戸本業窯の陶器に使われる土は、すべて瀬戸で採れるもの。
 この土地の土は粘土中の鉄分が少なく、白い焼き物を生み出せることが特長です。 

また、瀬戸は中世期において、釉薬を施した陶器を生産していた唯一の産地。
 
釉薬の写真

瀬戸本業窯では、現在でも釉薬の原料には木や藁、鉱物など、可能な限り瀬戸の自然素材が用いられているそうです。
自然の恵みを釉薬にするには、材料集めから焼成、灰の加工など、時間や手間暇がかかります。このことからも、瀬戸本業窯が大切にしている民藝の心(手仕事)を肌で感じることができました。
 
 
参加者の集合写真
 

今回のイベントを通して、瀬戸のやきものは、自然の恵みと人の手仕事によって、長い時間をかけて育まれてきたものであると感じました。決して特別なものではなく、日々の暮らしの中で使い続けられてきたからこそ残ってきた文化だと思います。
 

私は瀬戸で生まれ育ちながらも、どのようにやきものが作られてきたのか、職人の方たちのものづくりに対する思いなどを知る機会はありませんでした。水野さんや南さんのお話を聞き、作り手や売り手だけでなく、私たち消費者も、ものづくりの背景について考えることが大切であり、そこから新たな価値が生まれるのだと学びました。
 

みなさんにもぜひ瀬戸を訪れ、民藝の心を体感していただきたいです。


 
無印良品 名古屋名鉄百貨店
 

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