こんにちは、イデーショップ六本木店です。
朝一に飲むスープが身体の芯に染みる季節になりました。
気の早いショッピングモールでは、寒さを吹き飛ばすかのような鮮やかなクリスマスイルミネーションが点灯し始めましたね。
街がキラキラと瞬く今日この頃、皆様はいかがお過ごしでしょうか。
さて、前回のおたよりで予告した通り、11月のイデーショップ六本木店は
木彫刻作家の西浦裕太氏の展示会“prologue”の様子を、複数回に渡ってお届けしていきたいと思います。
今回は、ついにイデーショップ六本木店に並んだ作品たちを
ズラリとご紹介いたします。
元々映画を作りたかったという西浦さんの、ストーリー性溢れる
詩的な題名にもご注目下さい。
そしてそのストーリーの前後を、ぜひ貴方なりに想像してみてください。
それではどうぞ、ご覧くださいませ。
『永遠のようなじゃあなを交わし 半世紀ぶりに再会したように抱き合った僕らのかつては まだそんな遠くないところで輝いている』
『そうされるのを彼がずっと待っていたのを知っていたかのように 小さな風のかたまりが彼の背中をコツンと押した』
『無名の日 XVI』
『葉の取りこぼした光が音に変わって振り注ぎ 森という音楽になるという一節がある』
『10年後のボクたちは この闘いの真剣さと必死に守り抜いたこの場所のことを どんな気持ちで想い返すだろう』
『驚いて怒って喜んだキミの顔が待ち遠しいのに また今日も同じ場所で遠くの鐘の音を聞いている』
・・・以上、全作品20点のうち、スタッフ特に胸を打たれた数点でした。
如何でしょうか。
この怪しくも柔らかい、唯一無二の幻想世界。
まさに奇々怪々、決して一目では推し量ることのできない、
そして一目見たら忘れられない奥深さ。
そして何より魅力的なのは、こんなにも雄弁であるにも関わらず、
見る者に考え、想像する余地を与えてくれていることではないでしょうか。
昨今、電子機器の発達により、検索欄に何か言葉を入力すれば
ものの数秒で答えが導き出される味気ない時代。
ここまで気持ちのいい「分からない」「どういうことだろう」「こうじゃないか」をくれるものは、今となっては少ない気がします。
個人的な感想にはなりますが、
初めて西浦さんの過去作品を見たとき、抱いた感情は「怖い」でした。
恐怖という感情を抱くのは、何時ぶりだったしょうか。
幽霊の、正体見たり枯れ尾花…とはよく言ったもので、
物を知らない幼いころは、闇夜に響くウシガエルの声1つで震えあがったものです。
理解の範疇を超えたもの、分らないものに人間は怖いという感情を抱きます。
そのうち西浦さんのユーモア溢れるお人柄に触れ、また作品の中の暖かさをひとつひとつ見出すほどに、怖いという感情は薄れていきました。
今では純粋な美しいものに対する賛美の感情のみ。
ですが、大人になって胸をゾッとさせるものに出会えることは、嬉しい誤算でした。
今回撮った写真は、閉店後の様子。
皆様がイデーショップ六本木店に訪れてくださるのなら、明るい照明の下
彼らはまた違った顔を見せてくれることでしょう。
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20点販売していた作品も、なんと残り8点。
展示会終了までは、売約済みの作品も店にお預かりした状態でお待ちしております。
是非、この機会に
西浦氏の珠玉の作品の数々を、その目に映してみてください。
思い出すことも忘れていた何かの記憶、感情が、ふと蘇る…かもしれません。
イデーショップ六本木店スタッフ一同、心よりお待ちしております。
イデーショップ六本木店