(閉)イデー東京

【IDÉE TOKYO】アーティスト・高山夏希 インタビュー(第2章)

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2022/07/14

IDÉE TOKYOに併設するIDÉE GALLERYでは2022年6月24日(金)から7月25日(月)まで、アーティスト・高山夏希さんの個展を開催中です。これに際して高山さんにお話しを伺いました。

第1章 作品のテーマ
第2章 現在のように制作するようになっていったきっかけ
第3章 アーティストとして活動するうえで大切にしていること

<第2章 現在のように制作するようになっていったきっかけ>
“IID世田谷ものづくり学校の存在が大きかった”


 
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(高山さんお気に入りの収集物を見せていただいた。アトリエ内には流木、動物の骨、フジツボの殻なども飾られている。)

―高山さんのお父さまはIID世田谷ものづくり学校(廃校となった中学校校舎を再生した施設で、新しい産業の活性化や創業支援などを目的とした活動を行っていた。2022年5月31日閉館。以下IID)の代表だったんですね。

父は私の制作の根底にいるような人なんです。父の会社が運営していたIIDの存在も大きくて。私は小さいころから作ることが好きだけど、なにかに属して仕事するっていうのが想像できなくて。2004年にIIDができて父親が連れて行ってくれて、面白い大人たちと出会って、物を作って、美大へ行って、作りながら仕事ができるっていう体験がすごく大きいです。そこにも自分の居場所がありました。

―高山さんは東京造形大学のご出身なんですよね。どんな学生生活でしたか?

まず美術類型のある高校に通っていたんですけど、常に友達といるという環境ではなくてひとりでいるのが普通っていうのが当たり前のような、環境でした。当時はすでにIIDへ行っていたので、自分もデザイン職をしながら作りたいものを作るのかなと思っていたんです。高校に入るときデザインとファインアートのコースがあったんですけど、そこで自分はファインアートだと気づきました。

一浪して美大に入ったはじめのころは馴染めなかったですね。気を張っているような人間関係のように感じてしまって溶け込めませんでした。自分がIIDでデザインプロダクトの人に出会ってものづくりの世界に入っているのもあって、美術から始まるアート談義に入り込めなくて。いま美術でこういうのが流行っているよね、という会話に乗り切れなかったんですよ。

友達つくりたいなって思ってたんですけど、つくるのは難しそうだったので諦めていました。とにかくものづくりが好きだったのと、目の前のひとと今はまだ対話ができなくても、自分が見ている画集の中の作家であったり、この先、出会う誰かと作品を見合ったり話したりできるようにことが大学時代はひたすら作っていました。そうはいっても友人はできたんですけどね。周りと張り合うっていうよりかは、いろんな視野を広くして、自分にしか作れないものを追求したいんです。

IIDにはかわいいものや素敵なプロダクトがたくさんありました。そういったものと、美術は深いところでつながりがあるはずなのに、なんで美術って暗いとか、ネガティブなイメージがあるんだろうって中学生の頃、疑問に思っていました。だからなおのことIIDに行って面白い大人たちと出会って、発信している人たちが面白かったんです。そういう方たちと出会わせてくれた感謝の気持ちがあります。今の自分を作っている場所だから、その感謝メールをIIDが閉館した日に父に送りました。そしたら「今まで関わってきてよかった」と言ってくれました。

―かなりIIDの存在が高山さんにとって大きかったんですね。

IIDではワークショップのボランティアスタッフをやったりもしてたんです。IIDに関わる人たちと仲良くなって、いろんなところ連れて行ってもらっていました。自分が作っているものの話をしたり、なにかを教えてくれたり、支えになってくれたりした人たちがたくさんいました。

大学時代は誰かと一緒に制作することはなかったんですが、修了した今は個人以外の活動もしています。パルナソスでの活動(パルナソスの池:池袋モンパルナスと呼ばれた千早町・椎名町・南長崎を拠点とするアーティスト・淺井裕介、高山夏希、松井えり菜、村山悟郎によって2020年に結成された。近隣性を活かした共同制作の可能性を探っている)やこういったコレクティブ以外にも、美術では、だれかと一緒になってなにかをつくることが無限にできるようにも感じます。

インテリアのお店であるIDÉEもそうですが、ファッションであったり、いろんな専門の人と何かを作ることができるんです。淡々とこもって制作もしますが、誰かとなにかを一緒に作れる仕事なんだと思います。こうして展覧会をつくるのも一人の力ではありません、人の縁によって発表の場があるので、人とのご縁は常に大事にしようと心がけています。
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(以前の展示会で制作中に着ていたというシャツを見せていただいた。様々な色がついたシャツは積み重なる時間すら感じられるような色鮮やかさを放っている。)


-展示会回数の多さにも驚いています

ほんとにご縁に恵まれているんです。大学時代も面白い作品を作る友人が多かったので、つくり続けていればいい作家になったかもって思うこともあります。けれど世の中に作品を送り出していくのって自分自身の力だけじゃなくて、人の力も必要なんです。だから私はご縁に恵まれていると思っています。
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 (2016年 “space time continuum” IDÉE SHOP 六本木 / 東京)


ものづくり学校で出会ったひとも大人になってから再会したひとも結構いるんですが、自分の縁ともすごく繋がっています。それも父親が頑張ってIIDを作ったからなんですよね。自分のアイデンティティの中に展覧会が繋がっているんです。


<つづく>

次は高山さんがアーティストとして大切にされていることについてお伺いします。高山さんの展示会は2022年8月29日(月)まで開催中です。ぜひご覧ください。


第1章 作品のテーマ
第2章 現在のように制作するようになっていったきっかけ
第3章 アーティストとして活動するうえで大切にしていること


instagram
IDÉE TOKYO @ideetokyo
高山夏希さん @natsuki_takayama

【Natsuki Takayama Exhibition “black view” 】
会期 2022年6月24日(金)~7月25日(月)
時間 10:00 - 21:00
作家在廊日 7月18日(月・祝)

<お店への行き方>
○場所
東京都千代田区丸の内1-9-1
JR東日本東京駅改札内
グランスタ東京 B1F スクエアゼロエリア 48番

①丸の内地下中央口から
改札入場後、銀の鈴待ち合わせ場所方面に直進。左手のはせがわ酒店を越えたら左折して直進。ピエール・エルメ隣。

②グランスタ地下北口から
八重洲・丸の内連結通路途中のグランスタ地下北口から入場し直進。右手のガトーフェスタ・ハラダをこえて左手。
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