(閉)イデー東京

【IDÉE TOKYO】第3話 STIRのものづくりとこれから

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2021/06/09

洋服に興味を持った小学6年生の頃からファッションの職業に就くことを目指すようになったSTIR代表の渡邉さん。

ジャケットスタイルに合わせられるTシャツがないことに気がついてから「ドレスTシャツ」というスタイルを新しく作りだした渡邉さんですが、現在のように活躍されるまでどのようなことがあったのか気になります。

第3話の今回は、STIRの商品についてもう少し深くお話を伺っていきます。


●これまでのお話
第1話 ファッションスタイリストになりたい
第2話 本当にやりたいことってなんだろう

STIR instagram @stir_japan
STIR 公式ウェブサイト


―商品のサイズはどのように基準を決められているのでしょうか?

一般的なジャケットのサイズ基準から裾が2cmくらい出るのを基準にしています。フィット感を重視して作っていて、一般的なTシャツと比べると縦長のシルエットだと思うんですけど、着たときのバランスがいい寸法でやっています。

ジャケットスタイルにも合わせられるように腕周りが細くなっていたり、かつ身頃がすっきりしていて、ジャケットを着てもモタつかないようにしています。その点、新作のリラックスTはゆったりとしているので、どちらかといえばアウターです。正反対に思えるデザインですが、STIRの基本コンセプトは「一枚で着飾る」ことなので、Tシャツ単体でも着てもらえる商品づくりをしています。

―私は普段シャツばかりでTシャツを着ないんですが、STIRの生地はいいシャツを着るのと同じ感覚、ちょっとよそへ着ていく服という感じがあります。

僕も同じような感覚があります。Tシャツで出かけることはまずなかったし、そもそも着ないぐらいのレベルでしたから。
 
オーセンティックドレスTブラック
(オーセンティックドレスTはSTIRを代表とする商品)

―今のデザインに至るまでに、何パターンか作られたんですか?

アークテールはブランド立上当初から採用しようと思って作っていました。ポケットはその後に追加したんです。だから1番最初の試作品はポケット無しで、アークテールも今ほどカーブがきっちり出るようなものではなかったです。アークテールは非効率かつ難しいつくりなんですよ。
 
アークテール
(STIRの意匠であるアークテール。中央あたりに見える切り込みはポケット。スマホやサングラスなどを入れることができる)

―それでもアークテールを採用し続けようと思った理由はなんでしょうか?

Tシャツは差別化が難しいんです。見た目的な楽しさもないと、選ぶ理由が少ないじゃないですか。生地の違いは当然あるんですけど、そういったところって選ばれる要素としては少ないと思うんです。やっぱり見た目が第一かな、アークテールにしようと思って作りました。

―生地にもこだわりがあるようですが、どういう経緯があって今の素材になったんですか?

まず「ジャケットに合わせることができる」という基準があります。ジャケットに合わせたときに、Tシャツだけ無骨にならないようにきれいな素材を中心に選んでいます。

あとは感覚ではあるんですけど、買って頂く方に楽しんでもらえるように「この生地はこういう特性があります」と説明できるような生地を選ぶようにしています。コットンによって性質が異なるので、違いがわかりやすいものを選んでいます。
 
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―生地は実際に見に行ったりするんでしょうか?

国内のいろんな生地屋さんに行きます。カットソー生地の生産地は和歌山が1番有名かもしれません。デニムと言えば岡山みたいなもので、カットソーと言えばここっていうのがあるんですよ。

オーセンティックドレスTは最初に作ったモデルなんです。使っているギザコットン(エジプトで栽培されている高級綿)はシャリ感と光沢感があって、使いたいのはダントツでこれだ、という生地だったんですよ。 

たくさん見てきた中で理想の生地が見つかる瞬間はとても嬉しいです。オーセンティックドレスTがベースにあるので、他の生地はこれと被らないように差別化を意識して選ぶようにしています。

―新作のリラックスTやワンピースを作られたのは、家の中で過ごす需要に向けてシフトチェンジされてきたんでしょうか?

リラックスした雰囲気のものを探されてる方が多いと思うので作りました。着心地のいいSTIRを常に着ていてもらいたいなというのがあるので。

―「部屋着すぎず、そのまま外に出られる」という基準で選ばれる方もいらっしゃるので、ちょうどいいんだろうなと思います。生地によっては商品化するのが難しかったり、製造ができる会社も限られたりして工場を見つけるのは難しかったのではないでしょうか?

何度も失敗しています。工場によって得意・不得意があるので、一回やってみないと分からないんです。

アークテールを描くのが難しくて、この曲線を出すのに欠かせないのは縫製力ですね。細かいところを見るとやっぱり全然違うんですよ。なので信頼のおける会社さんに依頼しています。ここに至るまでは結構苦労しました。

工場は新潟と青森にあります。新潟は地元なので嬉しいです。

―以前、今後はブランド店舗を持ちたいと話されていましたが、気持ちに変化は起きていますか?

はい、今は店舗よりも海外進出を早くしたいです。2019年頃から香港にも卸したりしてたんですけど、それがきっかけで海外からの問い合わせや要望もあったりするので可能性はあるなと感じているんです。
 
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―実店舗を持つと言うよりも、海外のセレクトショップに卸すということでしょうか?

オンラインショップでやっていきたいです。店舗というよりもショールームをやるのが理想ですね。

―ショールームを構えて、お客様が買っていく場所はオンラインショップで、全ラインナップをショールームで見て世界観を知ることができる感じなんですね。

そうですね、工夫は必要だと思うんですけど。将来的には商品を見れる場所があって、それをネットですぐ買える環境にしたいと思います。

―香港に卸すことになったきっかけはなんですか?

お店の方からインスタグラムで問い合わせをいただいて取引を始めました。香港では日本のブランドの人気がかなり高くて、日本のブランドのセレクトショップがわりとあるんですよ。だから馴染み深いのかもしれません。

―オンラインショップでも海外発送は増えてきていますか?

フランスの方がけっこう買ってくれます。フランスのファッションブロガーさんお2人に記事を書いていただいたためか、フランスからの問い合わせが1番多いです。

最近は自然と広がっていってくれてるなと感じます。
 
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―2020年は大手アパレルブランドまでもが次々閉業して、ますます販売業は厳しい時代になってきました。けれどもファッションが好きで、これからファッション業界で働くことを志している若い方もいると思います。STIRというブランドを育ててきた渡邉さんの経験から、そうした方々に向けて、厳しいと感じる時でも一歩進む勇気が出るようなアドバイスを頂けないでしょうか。

ファッションが好きで、ファッション業界で働いていきたいという方は是非目指してください。ファッションが楽しいと感じるなら向上心に繋がりますので、その気持ちを大切にしてほしいです。

服は人々の生活と密接に関わる要素なので、これからもアップデートしていける部分が大いにあると考えています。皆様も一緒にファッションを楽しみながら、ファッションで何ができるか考えていきましょう。

―好きな気持ち、楽しむ気持ちは大事ですね。今日はありがとうございました。


<おわり>


全3回にわたってお届けしたSTIR代表・渡邉瑛希さんへのインタビューは今回にて終わりです。会期も残りわずかとなりましたが、実際に商品を見られるこの機会、ぜひご活用ください。

商品は商品代+配送料500円で通販も可能です。お電話またはインスタグラムDMでお問合せの上、通信販売でもご購入いただけます。下記番号までぜひどうぞ。
TEL 03-5224-8861

*STIRの商品は以下からご覧いただけます
オーセンティックドレスTシリーズ
肌触りの良いワンピースとドレスTシャツ
涼しげなドレスT

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