諸国良品
味噌づくりの文化を福井から発信する【三七味噌】
2023/02/10
お米や大豆の栽培が盛んで、水が綺麗な福井県。創業500年余りの麹店があるなど、現在も家庭で味噌をつくる人が多いといいます。そんな福井県福井市に「味噌づくりの文化を広めたい」と、新規創業した「三七味噌」はあります。代々続く蔵が一般的な味噌の世界で、新規参入するのはとても珍しいことです。三七味噌では、味噌や麹、甘酒などの製造・販売に加え、味噌づくりや各種発酵食品のワークショップを実施しています。
三七味噌の片山裕一さんは鹿児島県生まれ。社会人になって愛知県で過ごし、その後縁があって福井県に移住し、味噌蔵で4年ほど働いていました。当時、味噌づくりワークショップを担当していて感じたのは、味噌のつくり方が意外と知られていないということ。また、ワークショップに参加した人はみんな楽しんでいることも印象的だったと話します。
そして、「若い層や県外の人にも福井の味噌の魅力を伝えたい」と、ワークショップをメインにした味噌屋として独立。最初は店舗を持たずに出張ワークショップを開催していましたが、2017年に福井駅から徒歩圏内の場所に店舗をオープン。今では県外からも、観光ついでに味噌づくりを体験しにくる人がいるそうです。
やってみたいけれど、忙しくて味噌を仕込む時間がないという人にもおすすめな商品があります。「育てて食べる三七味噌」は、予め仕込まれた味噌の熟成を自宅で見守るというもの。透明の容器に入っているので、発酵具合を見て楽しむことができます。
福井の味噌は米麹をたっぷり使った麹歩合の高い味噌が特徴で、京都に近いことから京都の影響を受けた甘みの強い味噌が好まれる傾向にあるといいます。三七味噌がつくる味噌の原料は、福井県大野市にある上田農園の大豆「里のほほえみ」と、福井県池田町にある長尾農園のお米を使用。大豆自体の味が濃いので、熟成味噌も深みのある味わいで、甘みのあるすっきりとした後味が特徴です。
「味噌は大豆、麹、塩と材料もシンプルで作業も単純。だけど、作る人や発酵させる環境によって仕上がりが異なります。それが面白いですよね。つくっている時と食べる時の2回楽しみがあるのも、味噌の魅力だと思っています」と片山さん。三七味噌の商品で、味噌を育てる楽しさを味わってみませんか?
生産者紹介
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生産者名 三七味噌(さんななみそ) 詳細
2011年に愛知県から福井県に移住。4年間味噌の製造に携わり、2016年から三七味噌としてカフェやセレクトショップなどで味噌づくりワークショップを開催。2017年に製造所兼店舗をオープンし、味噌づくりや甘酒づくり、米麹を使用した酵素シロップづくりのワークショップを開催している。菌を育てておいしい味噌ができた時の感動を多くの人に知ってもらいたいという思いで、製麹時の温度37℃から「三七味噌」と命名。