秋田県仙北市にある「ストロベリーファーム」では、2013年から夏いちごの栽培を開始。夏いちごというと残念ながら、甘くない、酸味が強いなど、おいしくないというイメージが先行しがちです。まだ夏のいちご栽培が難しかった頃、量産型の加工用品種が流通してきた中で、いつしかそう言われるようになってしまったのです。
そんな日本の夏においしいいちごを、と「せとか」や「シャインマスカット」の生みの親でもある、農研機構の東北農業研究センターが優良品種「なつあかり」を開発しました。「なつあかり」は糖度が高く、夏に希少な生食用品種。「夏の希望の明かりになるように」と名づけられました。
おいしさが自慢の「なつあかり」ですが、栽培の難しさから生産量は夏いちご全体の1%未満だといいます。「ストロベリーファーム」は夏いちご専門農園として、この「なつあかり」の安定栽培技術を、独自の研究や農研機構との連携によって確立。
自社農園で栽培するだけでなく、この品種の普及を目指して「なつあかり」を作付けする農園事業者向けに苗を生産・販売したり、地元で新しく「なつあかり」の栽培を始める方の支援に取り組むなどしています。
「高品質のいちごを栽培して、仲間を増やしてなつあかりを仙北市の特産品にしたい。これからもたくさんの方に“こんな夏いちごがあってよかった”と感じてもらえるよう、なつあかりを全国に届けていきたいですね」と生産者は話します。